症例報告(3/9UP)

2023-07-26 09:47:00

指の怪我〜指節関節の靭帯損傷〜

 

DIP関節側副靭帯損傷

 

★問診★

 

20代男性で2日前にスポーツ中に指を痛めたとのこと。受傷機序から大きな外力が一度に加わったというより、繰り返して投げていくうちに痛くなったようです。

 

★視診・触診★

 

ぱっと見、右手第一指のDIP関節部に腫脹が認められ、圧痛もありました。熱感はハッキリするようなほどではなく、屈曲や伸展動作でも若干の痛みは誘発されるも特に強い痛みはありませんでした。

 

★エコー確認★

 

臨床経験的に骨が折れている可能性は低く思えましたが、念のためエコーで確認。

患者さんも、画像での骨折の有無が特に知りたかったようです。

整形外科に行かれるのも良いですが、エコーを備えている接骨院でも骨折の有無の判断は可能です。

 

エコー画像.png

 

エコーでも骨折の所見はないようです。

DIP関節の橈側の側副靭帯部に肥厚が見られ、靭帯損傷の所見が見られます。

強い内出血等もなく、部分的な靭帯損傷と見て良いでしょう。

 

★処置★

 

骨折や靱帯断裂による強い関節動揺性はなかったので、このままテーピング固定でも可能ですが、シーネ固定をした方が治りが早いこともあります。

テーピング固定とシーネ固定療法のメリット、デメリットを説明した上で、患者さんとしてはいち早く治したいとのことでしたのでシーネ固定を選択されました。

当院のシーネ固定は、整形外科基準での固定となります。シーネ素材には水に漬けると固まるスプリント材を利用(整形外科で使われるものと同じものを使用しています)。指節関節固定の場合は、包帯を使わずネットを利用した簡便に取り外しができるものです。指を包帯で巻かれると、朝顔を洗ったり、食器洗い等で大変ですよね。どうしても外す必要があるときは、簡単に外せるようにして、また簡単に取り付けられるように配慮しています。

 

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★期間★

 

目安ではありますが2~3週間の固定、腫れや拘縮等が無ければそのまま良ければ治癒となります。

 

★費用★

 

外傷によるお怪我ですので保険適用になり、今回の患者様は3割のご負担となり、初診料、検査料、固定料、あと今回は腫脹減退、治癒促進のためハイボルテージとマイクロカレントもご利用になられたので、4,600円となりました。次回来院時より650円~500円となります。

保険負担割合や自費利用により費用は上下致します。

 

 

★所要時間★

 

18時に来院(ご予約あり)され、お会計は18時40分でした。接骨院の強みは、問診から検査、処置、お会計まで一連の作業でできてしまうところにあります。

 

 

★まずは接骨院で確認★

 

・骨折しているかどうか不安

・骨折していないとは思うけど少しだけ見てほしい

そんな方では、是非当院へご来院ください。「ひとまず確認だけ」でも大丈夫です!

 

検査後、骨折が判明した場合は、適切に応急処置を行った後、近位の整形外科をご紹介いたします。

 

 

 

 

2023-07-13 10:19:00

変形性膝関節症~決め手はラジオ波とLIPUSと運動療法~

 

~変形性膝関節症への施術例~ 70代 女性

 

昨年10月くらいから右膝の痛みが強くなりはじめクリニックにてヒアルロン酸の関節注射を定期的に行っていたとのこと。

 

注射直後は良いがしばらくするとまた痛くなり、その繰り返しでなかなか良くならない気がしていたところ、ホームページで近所に開院したばかりの当院をみつけ、5月上旬に来院されました。

 

まずは問診にて、長時間の歩行や荷物を持って歩いた際に特に膝が痛むとのこと。夜間痛もしばしばあり、また朝起き始めの痛みも強い。

エコーを撮ってみると・・・

 

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左:膝蓋骨上部の関節水腫像 右:膝内側の関節列隙における変型像

 

お膝の関節お水が溜まっている状態を確認できました。ご高齢者でお膝の痛みが長く続く場合、大腿骨骨壊死なども考えられますが、今回はそのような状態ではないようです(事情により画像が載せられません)。また、変形も見受けられますが、年相応とみて良いようです。

 

 

当院としては、保存療法で十分に対応できると判断し、患者様に説明。

 

 

①変形性関節症に対しての施術ですので、自費治療が主体となること。

②少なくとも1か月ほどのラジオ波に利用が必要になること。

③変形性は治るものではなく、現在のお膝の状況に合った筋肉や靱帯、関節軟骨に順応させる施術となること。

④痛みが無くなった後も、大腿四頭筋訓練やリハビリの為、定期的に通う必要があること。

 

上記を説明し、理解していただいた上で施術を開始していきました。

 

 

★治療経過★

 

最初の一カ月は、ラジオ波と自費施術(30分)を合わせた施術を週2回行いました。

約一か月後の6月上旬には右膝の痛みが減少、膝の可動域も良くなり、起床時痛は皆無となりました。

その後は、ラジオ波施術を終了し、自費施術(30分)+大腿四頭筋訓練(EMS)を週1回行うことに。

7月、現在、痛みはほぼなく、日常生活で困ることはなくなりました。ただ、階段を降りるときの不安定性が残っているため、引き続き大腿四頭筋訓練を行い、現在も週1回でリハビリ通院を行っております。

 

 

★料金の目安★

 

今回は自費治療とラジオは併用、またEMS利用もあり、一回当たり3,000円~4,000円(初回時は別途初診料等が加算されます)、施術時間は1時間ほどでした。

変形性膝関節症をもともとお持ちの方でも、急性によるお膝の痛みの場合、保険適用となる可能性もございます。くわしくはお問い合わせください。

2023-06-17 23:52:00

肩関節腱板損傷~なかなか治らない、根気のいる治療~

先日来院された患者さんですが、1年前に右肩が急に痛くなり、四十肩だと思い医療機関にはかからず良くなるのを待っていたそうです。その間、趣味の野球を肩が痛いながら続けていましたが、2カ月ほど前に強くボールを投げた際に、右肩の痛みが強くなってしまい、腕の上りが悪くなってしまい、心配になり来院されました。

まずは徒手検査で、有痛弧は陰性でしたが、挙上時痛が強く、屈曲で110°、外転で95°、後挙(伸展+内旋)では母指がL5までしか挙がりませんでした。他、スピードテスト、ドロップアーム、リフトオフの各テストは陰性でしたが、インピンジメントサインで陽性。

また、棘下筋筋腹部と大結節外側部に圧痛、外旋内旋ともにROM制限が見られました。

有痛弧での陰性が引っ掛かりますが、もちろんエコーでも確認。

すると・・・棘上筋は綺麗な状態でしたが、棘下筋腱部での損傷が認められました。

 

エコー画像 (4).png

 

 

おそらく、いわゆる四十肩で肩の変性が起こっていたところに、投球により腱板に強い負荷がかかり損傷を起こしてしまったようです。

エコーにて棘下筋の連続性はみられるため、完全断裂はしていないようなので、このまま保存的治療で様子を見ていくことに。

もちろん、肩関節を使わないことに越したことはないですが、それではROMの低下を招くし、そもそも肩を使わない場合、QOLが著しく低下してしまいます。

当院では、運動療法+ラジオ波で関節の柔軟性確保と治癒促進を、痛みに関してはハイボルトをあてて、治療を行うことにしております。

そうすることで、治療期間が長引くことが多く根気と忍耐力が必要と言われる肩関節損傷に、少しでも楽な状態で、後遺症も残さず、長い治療期間を乗り切ってほしいと考えております。

2023-05-07 05:33:00

腓骨裂離(剥離)骨折 〜捻挫と間違われやすい骨折〜

今回は、足首の捻挫と間違われやすい足関節骨折症例を紹介します。

足首を捻った場合、最も多いのは前距腓靭帯損傷、いわゆる捻挫ですが、とくに小児の足関節捻挫には前距腓靭帯損傷の中に腓骨の裂離骨折が潜んでいることがあります。

 

しかもこの裂離骨折はレントゲンでは判りにくく、病院でも捻挫と診断されることが多いと考えられます。

 

通常、足関節損傷のレントゲンは3方向〜4方向撮ることが多いと思われます。即ち、正面像、側面像、右斜位像、左斜位像ですが、私が勤めていた整形外科のドクターは、小児の足関節損傷の場合、前述の4方向に加え、足関節底屈位像も撮っていました。そうすることで、見逃されやすい腓骨の裂離骨折もフォローしていたのです。

 

当院は接骨院のためレントゲンは撮れませんが、エコーでの撮像によってその見逃されやすい腓骨の裂離骨折が判別できることがあります。

 

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腓骨下端部が靭帯に引っ張られ剥がれるように骨折している。以前は剥離骨折とも言われていた。

 

その点では、足関節損傷においては靭帯損傷もわかるだけでなく骨折も判別できるので、エコー画像がとても使いやすい判別方法だと思います。

 

裂離骨折がわかった場合、「捻挫」ではなく「骨折」となりますのでそれに準じた治療が必要です。即ちギプス固定となります。

 

骨折が見逃され捻挫として治療を受けた場合、固定方法や固定期間等が不足し、裂離骨片が癒合せず離れたまま治癒となります。その後は捻挫癖が残りやすく、大人になった頃にひどい捻挫をして病院でレントゲン撮影をしてみて昔骨折をしていたことに気付く、というパターンです。

 

当院では、まずエコー画像にて骨折を疑った場合、近くの整形外科を紹介し、ドクターの指示を仰ぎます。ドクターが処置や後療法を当院に依頼、指示された場合、ウォーキングキャスト等のギプス固定やLIPUSを行い、適切に施療を行なっていきます。

 

処置や判断によっては、患者さんに負担を強いる難しい場面もありますが、将来も見て「患者さんの不利益にならない事」、を第一選択として患者さんと向き合いながら施療を進めていくことにしています。

 

2023-04-15 15:21:00

足底腱膜炎(筋膜炎)~足の裏が痛む!難治性になる前に~

先日、当院に踵が痛むという患者さんが来院されました。
50代男性の方で仕事はトラックドライバー。荷積みや荷下ろしも行うそうです。もともとは腱板損傷で当院にて施術を受けていた方ですが、今日は踵が痛むとのこと。調べてみると、足の裏、踵と土踏まずの間あたりに圧痛があるようです。この時点で足底腱膜炎とほぼ判断できますが、念のためエコーにて確認。
足底腱膜炎.png
健側画像を取り忘れてしまい、健患比較ができず申し訳ありませんが、やはり、足底腱膜が肥厚し、fibrillar patternにも乱れがあるように見えます。
足底腱膜炎(筋膜炎とも)は、教科書的にはスポーツをしている学生さんに多いイメージですが、実際の臨床の実感では、50代~70代の男性にも多く見受けられるように思います。
学生さんの場合は、下腿部の筋も固く、オーバーユースとして捉えられますが、後者の場合は、年齢による変性も関係してくるのかもしれません。
当院では、まずは痛みを取るためハイボルトを当て鎮痛、つづいて下腿部の筋からアプローチし、足底腱膜にラジオ波を用いてしっかりと柔軟性を出して再発の予防を行います。
なかなか良くならず、難渋することの多い足底腱膜炎、根気よく治療を行うことが必要となります。
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