症例報告(9/12UP)

2024-03-16 11:30:00

中指指節骨骨折~応急処置から整形外科対診、リハビリまで

中指指節骨骨折(手指の骨折)

転倒による指の損傷。緊急来院にて応急対応後、医科連携。
固定・紹介・リハビリの流れを一例としてご紹介します。

受傷経緯と初期対応

朝から指の骨折で緊急来院。予約患者さんの合間に応急対応を行いました。
転倒時に手をついた際、指が過伸展(反り返る)してしまったとのこと。
ご本人いわく、「指が短くなったように見えたので慌てて引っ張った」とのことで、一時的な脱臼を伴った可能性も考えられました。

第2〜第4指にかけて腫脹と皮下出血が著明。PIP関節掌側部に限局性圧痛を確認しました。
これだけの皮下出血があると骨損傷の疑いが濃厚です。

エコー観察と応急固定

超音波エコーで確認したところ、骨の不整像を確認。
応急的に固定処置を行い、近隣の整形外科へ紹介しました。
ご本人は当院での継続施術を希望されたため、医師へその旨を伝達しています。

手指骨折の場合、多少オーバーなくらいの固定がちょうど良いと考えます。
整形勤務時代、恩師から「プライマリーの処置は最悪を想定して固定を」と教わりました。
検査後に固定範囲を縮小すればよく、初期対応は安全第一が原則です。

その後の経過とリハビリ来院

受傷から3週間後、ギプス除去後のリハビリ希望で再来院されました。
紹介先の医師にて2週間固定を行い、骨癒合は良好。
しかし、指のこわばり・可動域制限が残り、動かすと痛むとのことでした。

医師のリハビリ同意が未取得だったため、当院から直接医師へ連絡し、当院での施術同意を得ることができました。
医師先生のご理解に感謝申し上げます。

骨折後リハビリの考え方

手指骨折後のリハビリは慎重さと精度が求められます。
固定期間が短くても腱・靭帯の癒着は起こりやすく、無理な可動訓練は痛みの記憶を残してしまうことがあります。
痛みがトラウマとして残ると、動かす恐怖が回復を遅らせる原因になります。

ラジオ波による温熱アプローチ

痛みを抑えつつ関節の可動域を広げるため、ラジオ波温熱機器を活用します。
遠赤外線やホットパックでは届かない深部の温度上昇が可能で、腱や関節包の柔軟性向上に効果的です。
広範囲を短時間で温められるため、骨折後の拘縮予防に非常に適しています。

現在、ラジオ波を用いた骨折後リハビリ対応を行う接骨院はまだ少なく、医科でも珍しいアプローチです。
当院では医師同意のもと、骨折後の機能回復を目的に安全に行っております。

費用について

医師の同意を得た骨折後リハビリは、保険施術内で対応(ラジオ波5分まで無料)が可能です。
受傷部位・経過に応じて、個別にご案内いたします。

骨折後の可動域制限・指のこわばりでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

※本ページは柔道整復師による応急対応・リハビリ施術の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により、医療機関での精密検査や医師との連携が必要な場合があります。

 

 

2024-01-06 16:21:00

小趾基節骨骨折(足の小指の骨折)

足の指の骨折(小趾基節骨骨折)

今回の症例は、日常生活でも起こりやすい「足の指の骨折」です。
段ボール箱や家具などに足をぶつけただけでも骨折に至ることがあり、
放置すると変形や可動域制限を残すことがあります。

受傷の経緯

患者さんは40代男性で、もともと四十肩の治療で当院に通院されていました。
その日、足を引きずって来院されたためお話を伺うと、
「2日前に荷物の入った段ボール箱に足をぶつけてしまった」とのこと。

右小趾基節骨部に強い圧痛と皮下出血を認め、
外転や屈曲での運動時痛も著明でした。
荷重時痛も伴っており、臨床所見から骨折を疑いました。

エコー観察

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右小趾基節骨部に骨の不整像を確認。軽度の転位を伴う。

エコー観察の結果、基節骨の骨皮質に不整像を確認。
軽度の転位も見られたため、応急的に牽引整復を実施。
その後、テーピング固定(バディーテーピング)を行いました。
固定後は紹介状を添えて整形外科での受診を指示しました。

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医科での診断と連携

整形外科でレントゲン検査を受け、小趾基節骨骨折の診断を受けました。
医師より後療の同意(口頭)を得られたため、
当院での施療を開始しました。

LIPUS(低出力超音波パルス療法)による施術

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当院使用機器:伊藤超短波「オステオトロンV」(厚生労働省認可)

LIPUSは、骨折部位に微弱な超音波を断続的に照射し、
骨癒合を促進させる施術法です。
臨床研究では、骨癒合期間を約40%短縮すると報告されています。
無痛・非侵襲的で、副作用もありません。

施術経過

施療開始から5日目で圧痛と運動時痛が軽減。
1週間後には痛みがほぼ消失しました。
固定を外し、屈曲・伸展の動きを確認したところ、
わずかな制限があったためROM訓練を行いました。

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施術後2週。骨皮質の連続性が回復し、骨癒合良好。

受傷後22日目には圧痛が完全に消失。
エコーでも骨癒合を確認できたためLIPUSを終了しました。
ROM制限もほとんどなく、経過観察に移行しました。

まとめ

足趾の骨折は一般的に「3週間固定・4週治癒」と言われますが、
これはあくまで骨癒合の目安に過ぎません。
固定期間が長くなるほど関節拘縮のリスクが高まり、
回復後も違和感が残るケースがあります。

LIPUSを併用することで、固定期間の短縮・拘縮の予防・
日常生活への早期復帰が期待できます。
「足指の骨折は放っておいても治る」と言われますが、
できるだけ早く・安全に・確実に治すことが大切です。

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LIPUSは骨芽細胞を刺激し、骨癒合を促進します。

※本ページは柔道整復師による施術・応急対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により、医療機関での精密検査・処置が必要な場合があります。

 

 

2023-12-05 15:10:00

アキレス腱炎~放っておいてはダメ!~

「放っておいては危ない」アキレス腱炎

今回来院された方

  • 30代・男性/週1回のバスケット(練習・大会に出場)
  • 8月:サンダルで長時間歩行後からアキレス腱部に違和感→一度は通院するも中断
  • 10〜11月:再び気になり整形外科へ。レントゲン後に「アキレス腱炎」と言われ湿布のみ。
  • 痛みが改善せず不安となり、当院での超音波(エコー)観察を希望し来院。

まずは状態把握(エコー)

医療機関での所見をふまえ、当院でも超音波(エコー)で状態を確認。
レントゲンは骨や石灰化の把握に有用ですが、腱実質の変化はエコーの方が得意です。
稀に「腱炎だと思っていたが部分断裂が隠れていた」ケースもあるため、画像での補助確認は重要です。

エコー画像 (7).png
アキレス腱の長軸像。右が患側。腱実質の肥厚炎症所見を確認。

放置のリスク

  • 慢性化しやすく、違和感が長引く
  • 腱の柔軟性低下 → 動作時の負担増
  • スポーツ再開時に部分断裂・断裂へ進むリスク

気になる痛みを「様子見」で繰り返すと、回復に必要な期間が長くなる傾向があります。
早めの状態確認と段階的なケアが、競技復帰への近道です。

当院の対応(状態に合わせた使い分け)

エコーで腱の状態(腱実質の肥厚/炎症の有無)を確認し、下記を組み合わせます。

① ラジオ波(深部温熱)+手技

腱実質の肥厚傾向が強い場合は、ラジオ波の温熱で局所循環と柔軟性を高め、
前後の筋・筋膜を含めて滑走性の改善を目指します。

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ラジオ波は腱炎系のケアと好相性。柔軟性の回復をサポート。

② ハイボルト/マイクロカレント

  • 炎症反応がある場合:ハイボルトで鎮痛・炎症の沈静化をサポート
  • 炎症が落ち着いている場合:微弱電流(マイクロカレント)で回復環境を整える

通い方の目安(期間と頻度)

  • 急性寄り(痛みが強い・発症間もない)
    太く短く——最初は間隔を詰めて集中的に。短期で収束を狙います。
  • 慢性寄り(長く続く・再燃を繰り返す)
    細く長く——週1〜2回を目安にマイペースで継続。セルフケアも併用。

※「2週間に1回」「月1回」程度では、慢性例の改善は難しいことが多いです。
改善実感には一定の頻度と継続が欠かせません。

セルフケアのポイント

  • 痛みが落ち着くまではジャンプ・全力ダッシュを回避
  • ふくらはぎ(ヒラメ筋・腓腹筋)の軽いストレッチを痛くない範囲で
  • 運動再開はウォーク → ジョグ → 競技動作の順で段階的に
  • シューズのヒールドロップ・クッション性・摩耗を点検

まとめ

アキレス腱炎は、放置で慢性化・断裂リスクにつながることがあります。
よねくら接骨院では、エコーで状態を把握し、ラジオ波・ハイボルト・手技などを状況に応じて使い分け、
日常と競技の両立を目指した現実的なケアプランをご提案します。

※本ページは柔道整復師による症例・対応の紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
症状によっては医療機関での精査・処置が必要な場合があります。

 

2023-11-18 13:00:00

ふくらはぎの肉離れ~60代女性~

腓腹筋肉離れ(クラシックバレエ)|症例報告

60代・女性。クラシックバレエ練習中につま先立ちでふくらはぎに痛み。
翌日も痛みが引かず、週末イベントに向けて早期回復を希望して来院されました。

初期評価と鑑別

  • 受傷時のPOP音なし
  • 腓腹筋内側頭に限局した圧痛
  • トンプソンテスト陰性(アキレス腱断裂は否定的)
  • 腓腹筋部の陥凹なし → 中〜軽度の肉離れが示唆

参考:アキレス腱断裂の代表的評価(トンプソンテスト)

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「トレシピ!」より抜粋(アキレス腱断裂 | トレシピ! (trecipe.jp)トンプソンテストのイメージ
下腿を把持して足関節が底屈するかを確認。底屈反応が乏しければ断裂を疑う。

超音波(エコー)での状態把握

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腓腹筋肉離れはヒラメ筋との境界部に生じやすい。
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今回、大きな断裂像はなし。ただし、処置が不十分だと血腫が広がり瘢痕化の恐れ。

初期対応(RICE)

肉離れ初期はRICEが基本です。
Rest(安静)/Icing(冷却)/Compression(圧迫)/Elevation(挙上)

圧迫は「弾性包帯」で

当院では軽度の肉離れに包帯圧迫を採用。
入浴後など患者さま自身で巻き直しやすいよう、綿包帯ではなく弾性包帯を基本とし、巻き方も指導します。

※最近は、ダイヤ工業のフリーサポーターを利用することが、多くなりました(R7/10/9追記)

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弾性包帯は再現性のある圧迫がしやすいのが利点。

テーピングは使わない方針

テーピングは応急・予防には有用ですが、固定力や皮膚トラブルの観点から、
外傷初期の固定には包帯(必要に応じてシーネ)を優先します。サポーターは補助用途として捉えます。

施術方針

① ハイボルト(急性期メイン)

疼痛抑制・循環サポート・浮腫軽減を目的にハイボルトを実施。急性外傷向けのアプローチです。
ハイボルト施術の様子

② ラジオ波(温熱アプローチ)

拘縮予防と早期の機能回復を目指し、早期段階からラジオ波をリハビリに組み込みます。
出力はエコー経過を見ながら段階的に調整し、血腫拡大の兆候があれば即中止します。
ラジオ波の施術1  ラジオ波の施術2

当院のスタンス:
「患者さんの不利益にならないこと」を最優先。
早期復帰を目指す場合でも、画像(エコー)で適宜確認しながら進めます。

経過

受傷4日目からラジオ波を含むリハビリを開始(イベントに向けた目標設定)。
適宜エコーで確認し、拡大所見があれば直ちに休止する条件で進行。

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加療後6日(受傷8日):血腫は徐々に消退。ただし筋膜の乱れ・器質化リスクに留意。

動作時痛はほぼ消失し、週末イベントに無事参加
本格的なダンス復帰は段階を踏むため、受傷2週で週1通院+自宅トレへ移行しました。

まとめ

  • 腓腹筋肉離れは初期のRICEと適切な圧迫が要。弾性包帯の再現性が有効。
  • 急性期はハイボルトで痛みと炎症のコントロール。
  • 早期復帰を狙うなら、エコー監視下でのラジオ波リハビリが有用。
  • 目標(イベント等)を共有しつつ、リスク管理を徹底。

 

※本ページは柔道整復師による症例・対応の紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
症状によっては医療機関での精査・処置が必要な場合があります。 

 

2023-10-26 18:11:00

足首の疲労骨折~ジョギング中の突然の痛み~

脛骨内果部の疲労骨折(ランナーの足首内側痛)|症例紹介

40代女性ランナー。5月から走り始め、週3回・5〜10kmのランとトレイル/大会参加を継続。
ラン後から左足首の違和感→夜に腫脹、その後は歩行でも痛みが出現し来院されました。

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足首の内くるぶし(脛骨内果)周辺に症状が集中。

初期評価(問診・視診・触察)

  • 内果直上の腫脹を確認
  • 限局した強い圧痛(ピンポイント)
  • ラン後に悪化、安静でも違和感が残存

臨床像から脛骨内果部の疲労骨折を強く示唆。

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典型的な部位に一致した腫れと圧痛を確認。

超音波(エコー)による状態把握

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骨皮質直上に低エコー域(骨膜反応)を描出。

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健側と比較することで異常所見の理解が進みます(健患比較は必須)。

初期の疲労骨折ではレントゲンに変化が出にくく、骨膜反応の描出が手掛かりになります。
当院では画像の意味を健側比較で説明し、納得感のある方針決定を大切にしています。

医療連携(MRI評価の推奨)

骨折が疑われる場合は医師の評価が前提です。
当院では、専門医・MRI完備の医療機関へ紹介し、今回も疲労骨折の見立てが確認され、
当院での保存的アプローチ(医師の同意のもと)を進める方針となりました。

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専門医と連携しながら段階的に復帰を目指します。

疲労骨折とは?(ランナーに多い理由)

小さな負荷の反復で骨に微細な損傷が蓄積し起こる骨折です。
初期は走れてしまうことが多く、無理を重ねると完全な骨折へ進展するリスクがあります。
走行距離・路面・シューズ・フォーム・体調(栄養/睡眠)など、負荷管理の不均衡が背景にあることが少なくありません。

当院の対応方針

① 超音波骨折療法(LIPUS)

医師の同意のもと、LIPUSを用いて骨癒合の進行をサポート。
臨床的には骨癒合が早まる可能性が示されており、安静のみよりも早期の段階的復帰を後押しできます。

② 負荷コントロールと痛み管理

  • 痛みが出る走行は一時中止(ウォーキング可否は症状に応じ判断)
  • 日常は疼痛基準で活動(階段・長時間立位の調整)
  • 必要に応じてハイボルトで疼痛軽減をサポート

③ 再発予防の運動・用具チェック

  • ふくらはぎ・後脛骨筋・足部内在筋の機能づくり(痛みの出ない範囲)
  • シューズの摩耗・反発・サイズの見直し、インソールの検討
  • 路面・高下駄負荷(登り下り・段差)の段階的再開
今回の見通し:
比較的早期の段階で把握できたため、段階的復帰が見込めます。
LIPUSと負荷調整を併用し、痛みゼロ→ジョグ→ビルドアップの順で進めます。

よくあるご質問(Q&A)

Q. どのくらいで走れますか?

個人差があります。目安は「日常痛ゼロ片脚ジャンプで無痛ジョグ再開」の順で判断します。

Q. LIPUSは毎日必要?

基本は毎日20分を推奨(自宅運用/通院併用を個別提案)。高校生以下は当院で無料対応(医師同意・保険分別)。

Q. テーピングや固定は?

強い痛み・腫脹時は短期固定を検討しますが、過度な固定は筋機能の低下を招くため最小限に留めます。

セルフケアの要点

  • 痛みが出ない範囲で足関節の可動性を維持
  • ふくらはぎの軽いストレッチとフットケア(足底の過緊張を解く)
  • たんぱく質・カルシウム・ビタミンD/Kなど栄養バランスを意識
  • 睡眠・体重コントロールなど、回復環境の整備

使用機器

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当院は伊藤超短波 オステオトロンVを用いています(医師同意のもと)。

※本ページは柔道整復師による症例紹介・保存的対応の方針であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状により医療機関での精査(MRI等)・処置が必要になる場合があります。

 

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