症例報告(9/12UP)
小趾基節骨骨折(足の小指の骨折)
足の指の骨折(小趾基節骨骨折)
今回の症例は、日常生活でも起こりやすい「足の指の骨折」です。
段ボール箱や家具などに足をぶつけただけでも骨折に至ることがあり、
放置すると変形や可動域制限を残すことがあります。
受傷の経緯
患者さんは40代男性で、もともと四十肩の治療で当院に通院されていました。
その日、足を引きずって来院されたためお話を伺うと、
「2日前に荷物の入った段ボール箱に足をぶつけてしまった」とのこと。
右小趾基節骨部に強い圧痛と皮下出血を認め、
外転や屈曲での運動時痛も著明でした。
荷重時痛も伴っており、臨床所見から骨折を疑いました。
エコー観察

エコー観察の結果、基節骨の骨皮質に不整像を確認。
軽度の転位も見られたため、応急的に牽引整復を実施。
その後、テーピング固定(バディーテーピング)を行いました。
固定後は紹介状を添えて整形外科での受診を指示しました。
医科での診断と連携
整形外科でレントゲン検査を受け、小趾基節骨骨折の診断を受けました。
医師より後療の同意(口頭)を得られたため、
当院での施療を開始しました。
LIPUS(低出力超音波パルス療法)による施術

LIPUSは、骨折部位に微弱な超音波を断続的に照射し、
骨癒合を促進させる施術法です。
臨床研究では、骨癒合期間を約40%短縮すると報告されています。
無痛・非侵襲的で、副作用もありません。
施術経過
施療開始から5日目で圧痛と運動時痛が軽減。
1週間後には痛みがほぼ消失しました。
固定を外し、屈曲・伸展の動きを確認したところ、
わずかな制限があったためROM訓練を行いました。


受傷後22日目には圧痛が完全に消失。
エコーでも骨癒合を確認できたためLIPUSを終了しました。
ROM制限もほとんどなく、経過観察に移行しました。
まとめ
足趾の骨折は一般的に「3週間固定・4週治癒」と言われますが、
これはあくまで骨癒合の目安に過ぎません。
固定期間が長くなるほど関節拘縮のリスクが高まり、
回復後も違和感が残るケースがあります。
LIPUSを併用することで、固定期間の短縮・拘縮の予防・
日常生活への早期復帰が期待できます。
「足指の骨折は放っておいても治る」と言われますが、
できるだけ早く・安全に・確実に治すことが大切です。
※本ページは柔道整復師による施術・応急対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により、医療機関での精密検査・処置が必要な場合があります。
アキレス腱炎~放っておいてはダメ!~
「放っておいては危ない」アキレス腱炎
今回来院された方
- 30代・男性/週1回のバスケット(練習・大会に出場)
- 8月:サンダルで長時間歩行後からアキレス腱部に違和感→一度は通院するも中断
- 10〜11月:再び気になり整形外科へ。レントゲン後に「アキレス腱炎」と言われ湿布のみ。
- 痛みが改善せず不安となり、当院での超音波(エコー)観察を希望し来院。
まずは状態把握(エコー)
医療機関での所見をふまえ、当院でも超音波(エコー)で状態を確認。
レントゲンは骨や石灰化の把握に有用ですが、腱実質の変化はエコーの方が得意です。
稀に「腱炎だと思っていたが部分断裂が隠れていた」ケースもあるため、画像での補助確認は重要です。

放置のリスク
- 慢性化しやすく、違和感が長引く
- 腱の柔軟性低下 → 動作時の負担増
- スポーツ再開時に部分断裂・断裂へ進むリスク
気になる痛みを「様子見」で繰り返すと、回復に必要な期間が長くなる傾向があります。
早めの状態確認と段階的なケアが、競技復帰への近道です。
当院の対応(状態に合わせた使い分け)
エコーで腱の状態(腱実質の肥厚/炎症の有無)を確認し、下記を組み合わせます。
① ラジオ波(深部温熱)+手技
腱実質の肥厚傾向が強い場合は、ラジオ波の温熱で局所循環と柔軟性を高め、
前後の筋・筋膜を含めて滑走性の改善を目指します。

② ハイボルト/マイクロカレント
- 炎症反応がある場合:ハイボルトで鎮痛・炎症の沈静化をサポート
- 炎症が落ち着いている場合:微弱電流(マイクロカレント)で回復環境を整える
通い方の目安(期間と頻度)
- 急性寄り(痛みが強い・発症間もない):
太く短く——最初は間隔を詰めて集中的に。短期で収束を狙います。 - 慢性寄り(長く続く・再燃を繰り返す):
細く長く——週1〜2回を目安にマイペースで継続。セルフケアも併用。
※「2週間に1回」「月1回」程度では、慢性例の改善は難しいことが多いです。
改善実感には一定の頻度と継続が欠かせません。
セルフケアのポイント
- 痛みが落ち着くまではジャンプ・全力ダッシュを回避
- ふくらはぎ(ヒラメ筋・腓腹筋)の軽いストレッチを痛くない範囲で
- 運動再開はウォーク → ジョグ → 競技動作の順で段階的に
- シューズのヒールドロップ・クッション性・摩耗を点検
まとめ
アキレス腱炎は、放置で慢性化・断裂リスクにつながることがあります。
よねくら接骨院では、エコーで状態を把握し、ラジオ波・ハイボルト・手技などを状況に応じて使い分け、
日常と競技の両立を目指した現実的なケアプランをご提案します。
症状によっては医療機関での精査・処置が必要な場合があります。
ふくらはぎの肉離れ~60代女性~
腓腹筋肉離れ(クラシックバレエ)|症例報告
60代・女性。クラシックバレエ練習中につま先立ちでふくらはぎに痛み。
翌日も痛みが引かず、週末イベントに向けて早期回復を希望して来院されました。
初期評価と鑑別
- 受傷時のPOP音なし
- 腓腹筋内側頭に限局した圧痛
- トンプソンテスト陰性(アキレス腱断裂は否定的)
- 腓腹筋部の陥凹なし → 中〜軽度の肉離れが示唆
参考:アキレス腱断裂の代表的評価(トンプソンテスト)
超音波(エコー)での状態把握


初期対応(RICE)
肉離れ初期はRICEが基本です。
Rest(安静)/Icing(冷却)/Compression(圧迫)/Elevation(挙上)
圧迫は「弾性包帯」で
当院では軽度の肉離れに包帯圧迫を採用。
入浴後など患者さま自身で巻き直しやすいよう、綿包帯ではなく弾性包帯を基本とし、巻き方も指導します。
※最近は、ダイヤ工業のフリーサポーターを利用することが、多くなりました(R7/10/9追記)

テーピングは使わない方針
テーピングは応急・予防には有用ですが、固定力や皮膚トラブルの観点から、
外傷初期の固定には包帯(必要に応じてシーネ)を優先します。サポーターは補助用途として捉えます。
施術方針
① ハイボルト(急性期メイン)
疼痛抑制・循環サポート・浮腫軽減を目的にハイボルトを実施。急性外傷向けのアプローチです。
② ラジオ波(温熱アプローチ)
拘縮予防と早期の機能回復を目指し、早期段階からラジオ波をリハビリに組み込みます。
出力はエコー経過を見ながら段階的に調整し、血腫拡大の兆候があれば即中止します。
「患者さんの不利益にならないこと」を最優先。
早期復帰を目指す場合でも、画像(エコー)で適宜確認しながら進めます。
経過
受傷4日目からラジオ波を含むリハビリを開始(イベントに向けた目標設定)。
適宜エコーで確認し、拡大所見があれば直ちに休止する条件で進行。

動作時痛はほぼ消失し、週末イベントに無事参加。
本格的なダンス復帰は段階を踏むため、受傷2週で週1通院+自宅トレへ移行しました。
まとめ
- 腓腹筋肉離れは初期のRICEと適切な圧迫が要。弾性包帯の再現性が有効。
- 急性期はハイボルトで痛みと炎症のコントロール。
- 早期復帰を狙うなら、エコー監視下でのラジオ波リハビリが有用。
- 目標(イベント等)を共有しつつ、リスク管理を徹底。
※本ページは柔道整復師による症例・対応の紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
症状によっては医療機関での精査・処置が必要な場合があります。
足首の疲労骨折~ジョギング中の突然の痛み~
脛骨内果部の疲労骨折(ランナーの足首内側痛)|症例紹介
40代女性ランナー。5月から走り始め、週3回・5〜10kmのランとトレイル/大会参加を継続。
ラン後から左足首の違和感→夜に腫脹、その後は歩行でも痛みが出現し来院されました。

初期評価(問診・視診・触察)
- 内果直上の腫脹を確認
- 限局した強い圧痛(ピンポイント)
- ラン後に悪化、安静でも違和感が残存
臨床像から脛骨内果部の疲労骨折を強く示唆。
超音波(エコー)による状態把握
初期の疲労骨折ではレントゲンに変化が出にくく、骨膜反応の描出が手掛かりになります。
当院では画像の意味を健側比較で説明し、納得感のある方針決定を大切にしています。
医療連携(MRI評価の推奨)
骨折が疑われる場合は医師の評価が前提です。
当院では、専門医・MRI完備の医療機関へ紹介し、今回も疲労骨折の見立てが確認され、
当院での保存的アプローチ(医師の同意のもと)を進める方針となりました。

疲労骨折とは?(ランナーに多い理由)
小さな負荷の反復で骨に微細な損傷が蓄積し起こる骨折です。
初期は走れてしまうことが多く、無理を重ねると完全な骨折へ進展するリスクがあります。
走行距離・路面・シューズ・フォーム・体調(栄養/睡眠)など、負荷管理の不均衡が背景にあることが少なくありません。
当院の対応方針
① 超音波骨折療法(LIPUS)
医師の同意のもと、LIPUSを用いて骨癒合の進行をサポート。
臨床的には骨癒合が早まる可能性が示されており、安静のみよりも早期の段階的復帰を後押しできます。
② 負荷コントロールと痛み管理
- 痛みが出る走行は一時中止(ウォーキング可否は症状に応じ判断)
- 日常は疼痛基準で活動(階段・長時間立位の調整)
- 必要に応じてハイボルトで疼痛軽減をサポート
③ 再発予防の運動・用具チェック
- ふくらはぎ・後脛骨筋・足部内在筋の機能づくり(痛みの出ない範囲)
- シューズの摩耗・反発・サイズの見直し、インソールの検討
- 路面・高下駄負荷(登り下り・段差)の段階的再開
比較的早期の段階で把握できたため、段階的復帰が見込めます。
LIPUSと負荷調整を併用し、痛みゼロ→ジョグ→ビルドアップの順で進めます。
よくあるご質問(Q&A)
Q. どのくらいで走れますか?
個人差があります。目安は「日常痛ゼロ→片脚ジャンプで無痛→ジョグ再開」の順で判断します。
Q. LIPUSは毎日必要?
基本は毎日20分を推奨(自宅運用/通院併用を個別提案)。高校生以下は当院で無料対応(医師同意・保険分別)。
Q. テーピングや固定は?
強い痛み・腫脹時は短期固定を検討しますが、過度な固定は筋機能の低下を招くため最小限に留めます。
セルフケアの要点
- 痛みが出ない範囲で足関節の可動性を維持
- ふくらはぎの軽いストレッチとフットケア(足底の過緊張を解く)
- たんぱく質・カルシウム・ビタミンD/Kなど栄養バランスを意識
- 睡眠・体重コントロールなど、回復環境の整備
使用機器

※本ページは柔道整復師による症例紹介・保存的対応の方針であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状により医療機関での精査(MRI等)・処置が必要になる場合があります。
急性腰痛(ぎっくり腰)
ぎっくり腰(急性腰痛)|よねくら接骨院の考え方
「ぎっくり腰=腰を痛めた瞬間」ではなく、その背景にある関節や筋肉の働きの乱れに注目することが大切です。
ここでは、院長・米倉による急性腰痛への考え方をご紹介します。
非特異的腰痛と特異的腰痛
「ぎっくり腰で病院に行ったけれど、レントゲンでは異常なし。
シップと痛み止め、あとは安静を指示された」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実際、ぎっくり腰の多くは非特異的腰痛と呼ばれ、画像検査で明確な異常が認められないタイプです。
一方で、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など画像で確認できるものは特異的腰痛とされます。
仙腸関節障害タイプのぎっくり腰
よねくら接骨院で経験上多く見られるのが、仙腸関節障害によるタイプ。
特に中腰姿勢からの立ち上がりや、長時間同じ姿勢が続いた後の動作で「グキッ」となるケースが多いです。

仙腸関節は「不動関節」ではない
教科書上は「ほとんど動かない関節」とされていますが、実際には歩行時などに数ミリ程度の動きがあることが分かっています。
そのわずかなズレが適正範囲を超えると、鋭い痛みとして現れます。
出産時にも仙腸関節は一時的に大きく動くため、産後腰痛の原因にもなります。
ズレを整え、関節まわりの緊張をゆるめることで、痛みの軽減が期待できます。
当院での対応
- ラジオ波で仙腸関節まわりの筋・靭帯の緊張を緩める(数分間)
- トムソンベッドによる仙腸関節の調整(短時間で実施)
- ハイボルトで発痛物質の除去と鎮痛をサポート(約10分)


炎症や痛みの軽減は体の自然な治癒反応に依存します。
多くの場合、数週間での回復が期待されます。
コルセットは必要?
当院では、基本的にコルセット固定は推奨していません。
一時的な安定は得られますが、筋活動や血流を妨げ、回復を遅らせる恐れがあるためです。
近年では、安静よりも日常生活レベルで動かすことが早期回復につながるとされています。
まとめ
腰痛には多くのタイプがあり、まずは「特異的」か「非特異的」かを見極めることが重要です。
その上で、関節・筋肉どちらが主な要因かを判断し、適切なアプローチを選択します。
ぎっくり腰でお困りの際は、安静だけでなく、筋肉・関節を整える施術を受けることで
より早く日常生活へ戻れるケースも多く見られます。お気軽にご相談ください。
※本ページは柔道整復師による見解・施術例の紹介であり、医師の診断や治療を代替するものではありません。
強い痛みや下肢のしびれなどを伴う場合は、医療機関への受診をお勧めいたします。






