症例報告(11/19UP)
距骨裂離骨折~突然の怪我、応急手当で予後が変わる~
店舗前の歩道で転倒され、そのまま担がれるように当院へ来院されました患者さんです。
踵骨骨端症(シーバー病)~小学校低学年に多い、踵の痛み~
今回は踵骨骨端症(シーバー病)についてです。
スポーツ活動が盛んな子供がかかってしまう病気です。小学校2年生~4年生あたりの子が多いと感じています。
今回の患者さんもやはりバスケ(ミニバス)を一生懸命頑張っている子でした。
以前から左の踵が痛く整形外科にてシーバー病の診断を受けており、リハビリを行っていたら今度は右踵が強く痛むようになってしまい、とにかく痛みを止める方法はないかと、当院を受診されました。
整形外科に診断とリハビリを受けられているのですが、念のため当院でもエコーにて確認。
痛みが強くなった右踵は、踵骨の骨端核が分離し少し剝がれてきているようにも見えます。
あまり良い状態ではないようです。左踵もシーバー病の状態を呈しています。
~施術~
患者さん(&親御さん)のご希望として、とりあえず痛みを取ってほしいとの事でした。
急な痛みを取り除くには、ハイボルトが一番です。さらに、当院では下腿の筋とアキレス腱の緊張を取り除くためにラジオ波も使用します。
また、骨端症といった骨の障害にはLIPUSを使い、治癒の促進、治療期間の短縮を目指します。
今回の患者さんはリハビリは整形外科で行いたいとの事で、当院では痛みの除去を念頭においての施療となりました。
この場合、整形外科リハビリテーションとの同時の施療は、接骨院では完全自費となってしまうことを説明しなくてはなりません。
(整形外科にて診断を、リハビリは接骨院でのみ希望の場合は、接骨院でも保険適用となる場合がございます)
また、LIPUSは中長期的に続けて利用することで初めて効果があり、単発利用は効果が薄いということで今回は利用しませんでした。
~施療時間~
施療自体の時間は20分程。初診の方でしたので問診や検査等もあり全体で50分程度でした。
~費用~
初診料と自費(ハイボルトは小中学生は無料、ラジオ波半額の500円、ほか自費施術料)で4000円ほどでした。
保険適用となった場合、医療助成があり1000円以内となることが多いです。
~まとめ~
踵骨骨端症治療において、まず医療サイドから言われることは、「スポーツを中止する」だと思います。私も、整形外科で働いている時、そのように患者さんに伝えておりました。
しかし、実際はどうでしょうか? 医療サイドが止めても、スポーツを続けていくお子さんが多いのが現実です。であれば、痛みを一時的にでも取り除き、その原因筋をほぐして少しでも痛みを抑えながらもスポーツ活動を続けてもらい、痛みの度合いによってスポーツ活動の制限をコントロールしていくような、患者サイドと医療サイドの歩み寄りが必要だと私個人は思っております。
もちろん、限度はあります。レッドラインを超えるような痛みや症状が出た場合は、すぐに中止してもらう判断と勇気をお互いに理解してもらうことが前提です。
以上のことから、当院では、お子さんのスポーツ活動や状況に応じて、提案を行いながら施療を行っています。
指の怪我〜指節関節の靭帯損傷〜
DIP関節側副靭帯損傷
★問診★
20代男性で2日前にスポーツ中に指を痛めたとのこと。受傷機序から大きな外力が一度に加わったというより、繰り返して投げていくうちに痛くなったようです。
★視診・触診★
ぱっと見、右手第一指のDIP関節部に腫脹が認められ、圧痛もありました。熱感はハッキリするようなほどではなく、屈曲や伸展動作でも若干の痛みは誘発されるも特に強い痛みはありませんでした。
★エコー確認★
臨床経験的に骨が折れている可能性は低く思えましたが、念のためエコーで確認。
患者さんも、画像での骨折の有無が特に知りたかったようです。
整形外科に行かれるのも良いですが、エコーを備えている接骨院でも骨折の有無の判断は可能です。
エコーでも骨折の所見はないようです。
DIP関節の橈側の側副靭帯部に肥厚が見られ、靭帯損傷の所見が見られます。
強い内出血等もなく、部分的な靭帯損傷と見て良いでしょう。
★処置★
骨折や靱帯断裂による強い関節動揺性はなかったので、このままテーピング固定でも可能ですが、シーネ固定をした方が治りが早いこともあります。
テーピング固定とシーネ固定療法のメリット、デメリットを説明した上で、患者さんとしてはいち早く治したいとのことでしたのでシーネ固定を選択されました。
当院のシーネ固定は、整形外科基準での固定となります。シーネ素材には水に漬けると固まるスプリント材を利用(整形外科で使われるものと同じものを使用しています)。指節関節固定の場合は、包帯を使わずネットを利用した簡便に取り外しができるものです。指を包帯で巻かれると、朝顔を洗ったり、食器洗い等で大変ですよね。どうしても外す必要があるときは、簡単に外せるようにして、また簡単に取り付けられるように配慮しています。
★期間★
目安ではありますが2~3週間の固定、腫れや拘縮等が無ければそのまま良ければ治癒となります。
★費用★
外傷によるお怪我ですので保険適用になり、今回の患者様は3割のご負担となり、初診料、検査料、固定料、あと今回は腫脹減退、治癒促進のためハイボルテージとマイクロカレントもご利用になられたので、4,600円となりました。次回来院時より650円~500円となります。
保険負担割合や自費利用により費用は上下致します。
★所要時間★
18時に来院(ご予約あり)され、お会計は18時40分でした。接骨院の強みは、問診から検査、処置、お会計まで一連の作業でできてしまうところにあります。
★まずは接骨院で確認★
・骨折しているかどうか不安
・骨折していないとは思うけど少しだけ見てほしい
そんな方では、是非当院へご来院ください。「ひとまず確認だけ」でも大丈夫です!
検査後、骨折が判明した場合は、適切に応急処置を行った後、近位の整形外科をご紹介いたします。
変形性膝関節症~決め手はラジオ波とLIPUSと運動療法~
~変形性膝関節症への施術例~ 70代 女性
昨年10月くらいから右膝の痛みが強くなりはじめクリニックにてヒアルロン酸の関節注射を定期的に行っていたとのこと。
注射直後は良いがしばらくするとまた痛くなり、その繰り返しでなかなか良くならない気がしていたところ、ホームページで近所に開院したばかりの当院をみつけ、5月上旬に来院されました。
まずは問診にて、長時間の歩行や荷物を持って歩いた際に特に膝が痛むとのこと。夜間痛もしばしばあり、また朝起き始めの痛みも強い。
エコーを撮ってみると・・・
左:膝蓋骨上部の関節水腫像 右:膝内側の関節列隙における変型像
お膝の関節お水が溜まっている状態を確認できました。ご高齢者でお膝の痛みが長く続く場合、大腿骨骨壊死なども考えられますが、今回はそのような状態ではないようです(事情により画像が載せられません)。また、変形も見受けられますが、年相応とみて良いようです。
当院としては、保存療法で十分に対応できると判断し、患者様に説明。
①変形性関節症に対しての施術ですので、自費治療が主体となること。
②少なくとも1か月ほどのラジオ波に利用が必要になること。
③変形性は治るものではなく、現在のお膝の状況に合った筋肉や靱帯、関節軟骨に順応させる施術となること。
④痛みが無くなった後も、大腿四頭筋訓練やリハビリの為、定期的に通う必要があること。
上記を説明し、理解していただいた上で施術を開始していきました。
★治療経過★
最初の一カ月は、ラジオ波と自費施術(30分)を合わせた施術を週2回行いました。
約一か月後の6月上旬には右膝の痛みが減少、膝の可動域も良くなり、起床時痛は皆無となりました。
その後は、ラジオ波施術を終了し、自費施術(30分)+大腿四頭筋訓練(EMS)を週1回行うことに。
7月、現在、痛みはほぼなく、日常生活で困ることはなくなりました。ただ、階段を降りるときの不安定性が残っているため、引き続き大腿四頭筋訓練を行い、現在も週1回でリハビリ通院を行っております。
★料金の目安★
今回は自費治療とラジオは併用、またEMS利用もあり、一回当たり3,000円~4,000円(初回時は別途初診料等が加算されます)、施術時間は1時間ほどでした。
変形性膝関節症をもともとお持ちの方でも、急性によるお膝の痛みの場合、保険適用となる可能性もございます。くわしくはお問い合わせください。
肩関節腱板損傷~なかなか治らない、根気のいる治療~
先日来院された患者さんですが、1年前に右肩が急に痛くなり、四十肩だと思い医療機関にはかからず良くなるのを待っていたそうです。その間、趣味の野球を肩が痛いながら続けていましたが、2カ月ほど前に強くボールを投げた際に、右肩の痛みが強くなってしまい、腕の上りが悪くなってしまい、心配になり来院されました。
まずは徒手検査で、有痛弧は陰性でしたが、挙上時痛が強く、屈曲で110°、外転で95°、後挙(伸展+内旋)では母指がL5までしか挙がりませんでした。他、スピードテスト、ドロップアーム、リフトオフの各テストは陰性でしたが、インピンジメントサインで陽性。
また、棘下筋筋腹部と大結節外側部に圧痛、外旋内旋ともにROM制限が見られました。
有痛弧での陰性が引っ掛かりますが、もちろんエコーでも確認。
すると・・・棘上筋は綺麗な状態でしたが、棘下筋腱部での損傷が認められました。
おそらく、いわゆる四十肩で肩の変性が起こっていたところに、投球により腱板に強い負荷がかかり損傷を起こしてしまったようです。
エコーにて棘下筋の連続性はみられるため、完全断裂はしていないようなので、このまま保存的治療で様子を見ていくことに。
もちろん、肩関節を使わないことに越したことはないですが、それではROMの低下を招くし、そもそも肩を使わない場合、QOLが著しく低下してしまいます。
当院では、運動療法+ラジオ波で関節の柔軟性確保と治癒促進を、痛みに関してはハイボルトをあてて、治療を行うことにしております。
そうすることで、治療期間が長引くことが多く根気と忍耐力が必要と言われる肩関節損傷に、少しでも楽な状態で、後遺症も残さず、長い治療期間を乗り切ってほしいと考えております。