症例報告(11/19UP)
母指CM関節症
「母指CM関節症の症例報告」
こんにちは。今回は、親指の付け根に痛みが生じる「母指CM関節症」の症例をご紹介します。この疾患は日常生活で親指を頻繁に使う方に多く見られ、放置すると症状が悪化しやすいのが特徴です。当院ではエコー検査と治療法で、正確な診断と効果的なアプローチを行っています。
患者さんの受傷経緯
今回の患者さんは、昨年10月に親指の付け根に痛みを感じ、近隣の整形外科を受診されました。レントゲンでは異常なしと診断され、特に傷病名の診断もありませんでした。リハビリ室では、ハンドル状の器具を自分で患部に当てる治療を続けていたものの、効果を実感できず、その後も断続的に痛みが続いていたそうです。
つい先日、ものを拾おうとした際に再び激しい痛みが走り、不安を感じ当院を受診されました。当院でエコー検査を行った結果、母指CM関節に変形と関節炎が確認され、母指CM関節症と診断しました。
母指CM関節症の特徴
- 主な症状:
- 親指の付け根に痛みや腫れ
- 握力の低下やつかむ動作の困難
- 関節の変形(進行すると目立つ場合も)
- 主な原因:
- 加齢による関節の軟骨摩耗
- 親指の過度な使用による負担
- 手指を酷使する作業や習慣
鑑別疾患
親指付近の痛みは、他の疾患と区別することが重要です。当院では以下の疾患を考慮して診断を行います:
- ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
- 親指の腱が炎症を起こし、動かすと痛みが出る疾患。フィンケルスタインテストで鑑別します。
- 母指基節骨骨折
- 外傷により基節骨が損傷している場合。レントゲンやエコーで確認します。
- CM関節脱臼
- 関節の変形が顕著で、関節が不安定な場合に疑います。
- 関節リウマチ
- 複数の関節に痛みや腫れがある場合、リウマチ因子や血液検査を含めた診断が必要です。リウマチ性疾患の場合は専門医への紹介を検討します。
よねくら接骨院の治療法
母指CM関節症に対して、当院では以下のアプローチを行っています:
- エコー診断の活用: レントゲンではわかりにくい腱や軟骨の状態をリアルタイムで可視化し、原因を正確に特定します。
- ハイボルト治療: 神経や炎症部位に直接アプローチし、即効性の高い痛みの緩和を提供します。
- ラジオ波治療: 一般的な温熱療法を超える深部への作用で、硬くなった筋肉や靱帯を弛緩させ、血流を促進します。
- LIPUS(低出力超音波治療): 軟骨や軟部組織の再生を促す最新技術で、組織の早期修復を支援します。
- サポーターの活用: 必要に応じて関節を保護するサポーターを提案し、日常生活での負担を軽減します。
治療後のフォローアップ
- 親指の安定性を保ちながらリハビリを進め、症状の改善を目指します。
- リハビリ期間は数カ月にわたり、週1~2回の通院が推奨されます。
- 自宅でできるケアや、再発防止のための細かなアドバイスを提供します。
親指の付け根に違和感や痛みを感じたら、早めに当院にご相談ください!
母指CM関節症~親指の付け根が痛み始めたら~早期治療で慢性症状を止めましょう~
今回は先日来院された患者さんで、母指CM関節症です。
60代女性の方で、ここ最近親指の付け根に痛みを感じ始め、昨夜からかなり強く痛みを感じたとのこと。
エコーで撮ってみると、かなり変形が進んでいるようです。骨棘も見受けられます。
CM関節症は関節リウマチとの鑑別が必要ですが、問診やエコーのドプラ画像(関節内の血流を見ることができます)に観察により、今のところリウマチは否定できるようです。
CM関節症は使い過ぎや、加齢によるもの、女性ホルモン変化などが原因とされ、関節の変形を伴うため一度進発症するとどんどん関節変形が進んでいきますので、早い段階で変形を止めるための治療が必要となってきます。
今回の患者さんも、この辺で変形を止めておかないと変形が進み関節脱臼が起きたりして手術(関節固定術)が必要となってしまう可能性がありますので、しっかり施術させていただきます。
★母指CM関節症の治療内容
①ラジオ波による温熱治療
まず、ラジオ波温熱療法により関節周囲の疼痛を和らげ、筋緊張緩和や靱帯の弛緩を図り、可動域の確保を行います。
②ハイボルトによる鎮痛消炎
変形初期で痛みが強い場合はハイボルトによる消炎鎮痛を行います。
③LIPUS(超音波パルス療法)にて変形抑制
LIPUSを関節軟骨に照射し、変形の進行を防ぎます。またLIPUS自体にも抗炎症と鎮痛作用があります。
④専用サポーターで安静・関節保持
サポーターで日常生活での動作をサポートします。水に濡れても大丈夫な専用サポーターのため、家事炊事での使い勝手がよいのが特徴です。
★施術経過★
★4月初旬に来院: エコーによる検査を行い、変形の程度、関節炎の有無、関節可動域の確認。ラジオ波・ハイボルト・LIPUSを行い、専用サポーターにて安静を図る。 初回時:初診料1,500円 検査料1,500円 エコー検査料500円 ラジオ波(5分)500円 LIPUS500円 ハイボルト0円(LIPUS併用によるサービス料金) 専用サポーター2,500円 計 7,000円
来院指導:週1回の通院で様子を見る 次回時より一回1,500円 ★5月中旬疼痛軽減、日常生活での不便さはなくなり、通院頻度を2週間に1回ほどに落としながら様子を見ていくことに。 |
中指指節骨骨折~応急処置から整形外科対診、リハビリまで
緊急来院にて応急処置、整形外科紹介へ
今日は朝から指の骨折患者さんが緊急来院。他の方の予約がありましたが、なんとか時間を空けて対応させてただきました。
転んで手をついたときに指がグイーンと反り曲がってしまったようです。転倒直後は指が短くなっていたらしく、ご本人は慌てて指を引っ張ったようです。
もしかしたら脱臼も起こされていたのかもしれませんね。
2~4指の腫れがひどく、皮下出血も著明。PIP関節掌側部に限局性の圧痛も確認できました。これだけ皮下出血しているとやはり骨折を疑います。
もちろんエコーで確認したところ、骨の不整像も確認。
応急処置を施し、近隣医師へ紹介させていただきました。ご本人は当院での加療をご希望されていますので、医師にもそう伝えてあります。
固定は、手指の骨折にしてはかなり大袈裟ですが、受傷部位が複数個所であることやPIP部以外でも損傷がある可能性はあります。応急処置はオーバーぐらいで丁度よいと、整形勤務時に恩師から教わりました。
プライマリーの処置は最悪を想定した固定を施し、あらためて整形外科で検査後、固定の大小を判断すればよいと思います。
他の予約をされていた患者さんにはお待たせしてしまい大変ご迷惑をお掛けいたしました。みなさま笑って寛大に対処して頂き誠にありがとうございました。
その後、リハビリを希望され来院
その後、3週間経過して、リハビリを希望され来院されました。
紹介先の整形外科にてギプス固定後、二週間で除去。骨に関しては予後も良好でしたが、どうしても動きが悪いことと、朝起きたときの手のこわばりが気になってしまうとのことで、当院にリハビリ希望で来院されました。
患者さんは整形外科の先生からリハビリの了承を得てなかったようでしたので、すぐに私から医師先生に電話して、当院でのリハビリの同意を得ることができました。先生ありがとうございます!
手指骨折後のリハビリは案外難しく、固定するとすぐに腱や靱帯の癒着が進み関節拘縮が取れなくなってしまうこともあります。今回は固定期間2週間でしたが、たったそれだけでも指の完全伸展と完全屈曲が不能でした。
私は、整形外科で7年間お世話になり、たくさんの骨折後リハビリ患者さんと向き合ってきましたが、固まった関節を無理に動かそうとして必要以上に痛みを与える事はよくないと考えています。痛みの感覚が残ってしまうとその後のリハビリに影響するからです。
痛みを感じにくくさせ、尚且つ関節可動域拡大を図るには、温めることが良いのですが、ホットパックや遠赤外線では時間がかかるしそもそも深部までは届かない。比較的深部まで届く超音波やレーザーでは局所的すぎて関節可動域訓練には非現実的・・・
そこで!ラジオ波です。
このラジオ波は、熱を集めたいところに広範囲に集めることができ、しかも素早く深部まで温まる・・・骨折後リハビリ打ってつけです。私も随分とラジオ波に助けられております。
たぶん、ラジオ波を使った骨折後リハビリを行っている接骨院は、いや整形などの医療機関も含めて、なかなかないのではないでしょうか?
施術費用の方ですが、骨折リハビリでは、医師から当院でのリハビリの了承が得られましたら、保険負担金のみで可能(ラジオ波の自費負担なし)です。※ラジオ波5分まで
骨折後リハビリでお困りでしたら、当院にご連絡ください。
腱鞘炎(ばね指/弾発指)
今回の患者さんは、ばね指(腱鞘炎)です 。
★ばね指とは?
指には指の関節を曲げる屈筋腱と、その腱の跳ね上がりを抑えているトンネルのような腱鞘があります。このうち、腱鞘が何らかの原因で肥厚してくると次第に屈筋腱が締め付けられ動きが悪くなり、屈筋腱自体が肥大化し、腱鞘のトンネルを通りにくくなってきます。
そうすると、曲げ伸ばしの際に肥大化した腱が腱鞘にひっかかり、指に力を入れた際に引っ掛かりが外れ、ガックンとばねが弾けたような状態を呈すため、ばね指と言われています。
一般的には、オーバーユース(使い過ぎ)が原因と言われていますが、中でも出産前後、更年期の女性に多発するため、女性ホルモンとの関連性も疑われています。その他では、糖尿病の方にも起こることが多いと言われています。
★今回来院された患者さんは50代女性
特に既往はなく最近突然痛み始めたとの事。バネ様の症状はまだないもの、お仕事で指先をよく使うこともあり、その時に痛むし、朝起きたときも痛むようです。
触診して中指MP関節に圧痛と、硬結を認めました。
硬結=腱の肥大化とみて差し支えないようです。
エコーを撮って健側と患側を比べてみました。腱鞘炎はエコー撮影の代表的疾患とも言えるもので、よく確認できます。もちろん、腱などの軟部組織の疾患は、医科で行うレントゲンでは描写されません。
エコーで腱鞘炎を見る場合、腱の断面を撮影し、健患比較で腱の肥大化を見ます。今回も、はっきりと違いが出ました。
腱鞘炎で間違いないようです。
腱鞘炎治療は、当院ではラジオ波による温熱と、ハイボルトによる消炎鎮痛、前腕から手指への手技を行います。
超音波やレーザーなど以前よりいろんな治療法を試してきましたが、この組み合わせが一番良いようです。
(もちろん、医科においては注射(だいたいは患部へステロイド剤)が選択肢となりますし、効きは抜群です。が、腱鞘炎への注射はめちゃくちゃ痛いです。また、一時的に炎症を抑えるだけのため、短いスパンで再発する可能性があります)
安静目的にシーネ固定なども検討しますが、必ずしもオーバーユースが原因ではないことや私生活での妨げになること、長期固定は関節拘縮の原因になりうること、などにより運動時痛や炎症の程度によっては、固定せずに通院回数を多めにして施療を行うことを選択することが多いです。
今回の患者さんは、まだバネ症状が出ておらず軽度であることや、私生活や仕事で固定を行うことができないシチュエーションが多い事、通院は大目(週2~3)に行えることなどを考え、固定を行わずに施療を行うことになりました。
その日から週2日で通院を行い、ラジオ波とハイボルト、手技(合計で15分程)を組み合わせた施療を行い、3週目で患者さんから
「痛みがほとんどなくなった!」
との事。少し早いですがエコーにて確認してみました。
腱の肥大部が明らかに小さくなっているのが解ります。
触診においても、初診時蝕知できた硬結部が明らかに小さくなっていました。
患者さんも、朝起きた時の痛みや重い荷物を持った時の痛みが無くなったとの事。
正直、ここまで短期間でよくなったことはかなり珍しい症例ですが、なんにせよ、患者さんの喜んだお顔が拝見できて、施療してきた甲斐がありました。
とは言え、まだ完全に硬結が取れた訳ではなく、また再発の可能性がありますので、しばらくのフォロー通院をお願いしました。
ちなみに、ラジオ波利用でも腱鞘炎は局所的扱いとなる為、一回+1000円の自費負担となり(別途施療代がかかります)、しかもハイボルトは無料となります。1ヵ月週2回で通われる方前提の回数券もご用意しております。
小児骨端線離開~子供の小指の怪我~
今回は小児骨折の代表的な損傷、骨端線離開です。
幼小児の骨には骨端線(成長軟骨ともいう)が存在し、骨端線は骨の成長において重要な役割を担っています。
幼小児の場合、急激な外力が加わると組織学的に抵抗力の低い骨端線部と骨組織部が離開を起こすことが多く、「骨端線離開」となります。
骨折と同意義で治療も同じですが成長に係る重要な場所でもあるので外科的な手術療法よりも保存療法が多く選択されます。
つまり徒手整復と固定です。
今回来院された患者さんは、小学生。
一カ月前にキャッチボール中に誤って小指をボールにぶつけてしまったとの事。
直ぐに整形外科受診、レポ(徒手整復)を行いシーネによる固定を行っていました。
受傷後一カ月経過もXP上、骨の癒合がいまいち進んでいないとの経過報告を受け、心配された親御さんが当院に連絡され来院となりました。
状況から判断するに、おそらく受傷時尺側転移を起こしており、橈側方向への牽引と屈曲のレポを行ったと推測できます。
受傷部位への限局性圧痛が残っており、骨癒合はまだまだの模様。
屈曲時のROM不良が見受けられましたが、小児の場合、固定による関節拘縮は稀の為、このまま様子をみて良いでしょう。
当院にてエコー撮像
小児によくある骨端線離開(骨折と同意義)。小指に外転方向の外力が加わり、基節骨の骨端線が離開。
その際に基節骨が骨折したものと思われる。S-HⅡ型。医科にて整復済み。
基節骨近位部に骨の不整と仮骨、骨端核と骨の間に若干のギャップが認められものの、尺側転移の解剖学的整復は案外難しく、この程度のギャップであれば問題ないと思われる。
エコー撮像後、骨癒合の不良を親御さんも心配され、当院にてLIPUS治療を開始することとなりました。
毎日20分のLIPUS治療を行うこと1か月
骨皮質がよりしっかりとした高エコー像を示している。
損傷部位に旺盛な仮骨生成を見ることができました。
限局性圧痛もなく、テーピングによる柔軟かつ安全な固定と自宅でのROM訓練指導を行ったこともあり、屈曲時のROM不良も解消されています。
医師の方でも経過良好との判断を頂きました。
あと少し頑張れば、大好きなキャッチボールができるようになります!がんばって!
★LIPUSとは??
超音波骨折治療であるLIPUSは、骨癒合を促し、症例によっては40%も早く骨癒合が起こったという、今では骨折治療においてスタンダードとなってきた治療方法です。
治療方法はいたって簡単。LIPUS機器を患部に取り付け、20分の照射を受け、これを毎日行うことだけです。20分の間、ゲームをしたり漫画を読んだり、YouTubeを見ていたりすればよいだけです。音波による刺激は皆無でまた副作用もありません。
そして何より、当院では高校生以下の方には無料で利用できます(保険負担分はご負担いただきます。また医師の同意が必要となります。)
当院使用の伊藤超短波「オステオトロンV」
厚生労働省認可の治療器具です。