症例報告(9/12UP)
中指指節骨骨折~応急処置から整形外科対診、リハビリまで
中指指節骨骨折(手指の骨折)
転倒による指の損傷。緊急来院にて応急対応後、医科連携。
固定・紹介・リハビリの流れを一例としてご紹介します。
受傷経緯と初期対応
朝から指の骨折で緊急来院。予約患者さんの合間に応急対応を行いました。
転倒時に手をついた際、指が過伸展(反り返る)してしまったとのこと。
ご本人いわく、「指が短くなったように見えたので慌てて引っ張った」とのことで、一時的な脱臼を伴った可能性も考えられました。
第2〜第4指にかけて腫脹と皮下出血が著明。PIP関節掌側部に限局性圧痛を確認しました。
これだけの皮下出血があると骨損傷の疑いが濃厚です。
エコー観察と応急固定
超音波エコーで確認したところ、骨の不整像を確認。
応急的に固定処置を行い、近隣の整形外科へ紹介しました。
ご本人は当院での継続施術を希望されたため、医師へその旨を伝達しています。
手指骨折の場合、多少オーバーなくらいの固定がちょうど良いと考えます。
整形勤務時代、恩師から「プライマリーの処置は最悪を想定して固定を」と教わりました。
検査後に固定範囲を縮小すればよく、初期対応は安全第一が原則です。
その後の経過とリハビリ来院
受傷から3週間後、ギプス除去後のリハビリ希望で再来院されました。
紹介先の医師にて2週間固定を行い、骨癒合は良好。
しかし、指のこわばり・可動域制限が残り、動かすと痛むとのことでした。
医師のリハビリ同意が未取得だったため、当院から直接医師へ連絡し、当院での施術同意を得ることができました。
医師先生のご理解に感謝申し上げます。
骨折後リハビリの考え方
手指骨折後のリハビリは慎重さと精度が求められます。
固定期間が短くても腱・靭帯の癒着は起こりやすく、無理な可動訓練は痛みの記憶を残してしまうことがあります。
痛みがトラウマとして残ると、動かす恐怖が回復を遅らせる原因になります。
ラジオ波による温熱アプローチ
痛みを抑えつつ関節の可動域を広げるため、ラジオ波温熱機器を活用します。
遠赤外線やホットパックでは届かない深部の温度上昇が可能で、腱や関節包の柔軟性向上に効果的です。
広範囲を短時間で温められるため、骨折後の拘縮予防に非常に適しています。
現在、ラジオ波を用いた骨折後リハビリ対応を行う接骨院はまだ少なく、医科でも珍しいアプローチです。
当院では医師同意のもと、骨折後の機能回復を目的に安全に行っております。
費用について
医師の同意を得た骨折後リハビリは、保険施術内で対応(ラジオ波5分まで無料)が可能です。
受傷部位・経過に応じて、個別にご案内いたします。
骨折後の可動域制限・指のこわばりでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
※本ページは柔道整復師による応急対応・リハビリ施術の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により、医療機関での精密検査や医師との連携が必要な場合があります。
腱鞘炎(ばね指/弾発指)
ばね指(腱鞘炎)|症例紹介
指の曲げ伸ばしで引っかかる/カクンと弾ける感じ——いわゆるばね指のご相談です。
早期のケアで、家事やお仕事の不便を減らすことを目指します。
ばね指とは?
指を曲げる屈筋腱が通るトンネル状の腱鞘が、何らかの理由で肥厚し、腱を締め付けて動きが悪くなる状態です。
しだいに腱自体も太くなり、腱鞘を通り抜けにくくなると、曲げ伸ばしの途中でひっかかり→弾ける感覚(ばね現象)が起こります。

原因はオーバーユース(使い過ぎ)が一般的ですが、出産前後・更年期の女性に多いことから、
ホルモン変化との関連も指摘されています。糖尿病の方にも生じやすい傾向があります。
今回のケース(50代・女性)
- 既往なし。最近になって突然痛みが出現
- バネ様の弾発はまだ出ていない
- 指先をよく使う仕事で痛みが増悪。朝のこわばり/痛みもあり
触察で中指MP関節部に圧痛と硬結を認め、腱の肥厚が疑われました。
超音波(エコー)での状態確認
腱鞘炎は超音波での描出が得意な領域です。
健側と患側を比較し、腱の断面厚で肥大化を確認します(レントゲンでは写りません)。

今回も腱の肥厚が明瞭で、腱鞘炎に合致する所見でした。
当院の対応(施術の考え方)
① ラジオ波(深部温熱)
局所の循環を促し、腱・腱鞘周囲の柔軟性を高めることを目指します。
② ハイボルト(高電圧刺激)
消炎・鎮痛のサポートとして使用。痛みの軽減と動かしやすさの向上を狙います。
③ 手技(前腕〜手指)
前腕から手指にかけての筋膜・筋の張りを調整し、腱鞘部への負担を下げるアプローチを組み合わせます。
※医療機関では注射(ステロイドなど)が選択肢になることがあります。効果を感じる方も多い一方、
痛みが強い・再発しやすい・一時的である等の側面もあるため、状況に応じて医療機関と役割分担します。
固定(シーネ)の可否と通院頻度
安静目的のシーネ固定は状況により選びますが、固定は生活の妨げや拘縮リスクもあるため、
炎症の程度/仕事・家事の状況/通院頻度を総合して判断します。
今回はバネ症状なし・固定が難しい環境・週2〜3回の通院が可能なため、固定なしで進めました。
経過
初日から週2回の通院で、ラジオ波+ハイボルト+手技(合計約15分)を実施。
3週目に患者さまより「痛みがほとんどなくなった」とのコメント。

朝の痛み・重い荷物での痛みが解消。日常動作がスムーズに。
ただし、完全に硬結が消えたわけではなく、再発の可能性は残ります。
しばらくはフォロー通院とセルフケアの併用をご提案しました。
セルフケアのヒント
- 朝は温めてから軽い動かし(無理に強く握らない)
- 作業はこまめに休憩、握りっぱなしを避ける
- 前腕のストレッチと、負担が強い日は短時間の保冷で炎症管理
費用の目安
ばね指は局所(部分)扱いのため、ラジオ波は+1,000円(1回)での追加となります。
ハイボルトは無料でご利用いただけます(別途、基本施術料がかかります)。
週2回程度を前提にした回数券もご用意しています。
まとめ
ばね指(腱鞘炎)は、腱と腱鞘の滑走性を高め、炎症を落ち着かせることが改善への近道です。
よねくら接骨院では、ラジオ波・ハイボルト・手技を組み合わせ、日常と両立できる現実的なプランをご提案します。
※本ページは柔道整復師による症例紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
状態により、医療機関での評価・処置が必要となる場合があります。
小児骨端線離開~子供の小指の怪我~
小児の骨端線離開(成長期の指のケガ)|症例紹介
成長期の骨には骨端線(成長軟骨)があり、骨の伸びに重要な部位です。
強い外力や繰り返しの負荷で、骨端線付近が離開(はがれるようにずれる)ことがあります。
骨端線離開とは
幼小児は骨端線部の抵抗が相対的に弱く、急な外力で骨端線と骨組織の境界が離開しやすい特徴があります。
骨折と同程度に扱い、徒手整復+固定といった保存的な対応が第一選択となることが多い部位です。
来院背景
小学生の患者さん。1か月前、キャッチボール中に小指をボールにぶつけたとのこと。
直後に整形外科を受診し、徒手整復(レポ)とシーネ固定で経過観察。
1か月後のXPで骨癒合の進みがゆっくりとの説明があり、保護者の方が心配され当院にご相談・来院されました。
初期所見と経過の整理
- 受傷直後:レポ後にシーネ固定で管理
- 受傷1か月:圧痛が持続、屈曲方向のROM制限あり
- 小児では固定後の関節拘縮は稀で、時期がくれば改善してくることが多い
受傷機序から、尺側転位→整復時に橈側方向牽引+屈曲を行った可能性が高いと推測されました。
当院でのエコー観察(状態把握)

基節骨近位部で骨皮質の不整+仮骨形成、骨端核と骨との間に軽度のギャップを示唆する所見。
尺側転位の完全な解剖学的整復は難しいこともあり、この程度のギャップは問題にならないことが多いと考えられます。
LIPUSの併用方針
骨癒合の遅れを心配された保護者の方と相談し医師の同意も得て、当院でLIPUS(低出力パルス超音波)を開始しました。
毎日20分の照射を1か月継続する計画です。
1か月の経過

- 限局性圧痛の消失
- テーピングでの柔軟固定+自宅でのROMエクササイズ指導を併用
- 屈曲時のROM不良は解消傾向
- 医療機関でも経過良好との評価を確認
LIPUSとは?(成長期でも選択される保存的アプローチ)

LIPUSは超音波の微細振動で骨癒合を後押しする保存的な方法です。
症例によっては骨癒合が約40%短縮した報告もあり、骨折治療のスタンダードの一つとして活用が進んでいます。
照射中の痛みはなく、副作用の報告も少ないのが特徴です。
当院では高校生以下はLIPUS無料(保険負担分は別途/医師の同意が必要)で対応しています。

保護者の方へ:ご自宅でのポイント
- 固定の着脱・清潔保持は指示通りに(外しすぎに注意)
- 痛みが落ちたら、痛みの出ない範囲でROMを少しずつ(反動はつけない)
- 再受傷予防に、遊びや運動の勢いを一段階控える期間を設ける
- 学校生活の書字・体育は担任と共有(無理をさせない)
費用の目安
外傷に該当するため、基本は保険適用です(負担割合や併用内容で変動)。医師の同意も得ているため、医科併用も可能です。
LIPUSは高校生以下は無料(保険分別)で継続しやすく、ご家庭での実施計画もご提案します。
まとめ
成長期の骨端線部はデリケートですが、保存的なアプローチで改善が期待できます。
よねくら接骨院では、医療機関との連携とエコーでの状態把握、LIPUS・固定・運動指導を組み合わせ、
お子さまの安全な日常復帰を丁寧にサポートします。
※本ページは柔道整復師による施術例・保存的対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により医療機関での精査・加療が必要となる場合があります。
DIP関節副側靭帯損傷
DIP関節側副靭帯損傷|症例紹介(右手第2指)
スポーツ中の「指のケガ」。腫れは強くないのに、つまむ・押すと痛い——
そんな時に多いのがDIP関節(第1関節)の側副靭帯損傷です。
問診
20代男性。2日前にスポーツ中、繰り返しの投動作の中で右手第2指(示指)を痛めたとのこと。
一度の強い外力というより、徐々に痛みが増した経緯でした。
視診・触察
- DIP関節部(末節間関節)に軽度の腫脹
- 関節周囲に限局した圧痛
- 発赤・著明な熱感は目立たず
- 屈曲・伸展で痛みは出るが、強い疼痛はなし
エコー観察
臨床的には骨折の可能性は高くない印象でしたが、念のため超音波エコーで確認しました。
画像で「骨折が疑われる所見の有無」を把握したい、というご本人の希望もありました。

エコーでは骨折を示唆する所見は認めず、DIP関節の橈側側副靱帯の肥厚を確認。
強い内出血像や関節の大きな不安定性はなく、部分的損傷が示唆されました。
必要に応じて整形外科をご紹介し、レントゲン等の精査・医師の評価へつなげます。
対応(固定の選択肢)
骨折・完全断裂相当の不安定性は認めないため、テーピング固定でも経過は可能。
ただし、回復スピードや再発予防の観点からシーネ固定が有利な場面もあります。
シーネ固定を選んだ理由
- 安定性の確保により、疼痛軽減と早期の機能回復を期待
- 「いち早く良くしたい」というご本人の希望
固定の概要
- 整形外科で使用される水硬化型スプリント材を用いたシーネ
- 包帯ではなくメッシュネット固定で、着脱が容易(洗顔・家事時に便利)
- 外す必要がある場合も簡単に再装着できる構造

固定期間の目安
おおよそ2〜3週間の固定を目安にします。
腫れや拘縮が強く出なければ、そのまま良好に推移しやすいケースです。
費用の目安
外傷(けが)に該当するため保険適用になります(負担割合により変動)。
今回の症例(3割負担)では、初診料・観察料・固定料に加え、
腫脹軽減・回復サポートとしてハイボルト+マイクロカレントを併用し、4,600円でした。
次回来院以降は650〜500円目安(施術内容・負担割合で前後します)。
所要時間
18:00ご来院(予約あり)→ 18:40お会計。
問診〜観察〜処置〜会計までワンストップで対応できるのが接骨院の強みです。
まずは接骨院でご相談ください
- 「骨折していないか不安」
- 「多分大丈夫だけれど、ひとまず確認だけしてほしい」
そんな時は、どうぞお気軽にご相談ください。
画像所見や経過から骨折が疑われる場合は応急対応のうえ連携医療機関をご紹介します。
「まず確認」だけでも大丈夫です。
※本ページは柔道整復師による施術・応急対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により、医療機関での精密検査・処置が必要な場合があります。
腱鞘損傷(A2プーリー損傷)〜ボルダラー用語「パキった」〜
腱鞘損傷(A2プーリー損傷)|クライマー症例
クライミング中に「パキッ」と音――いわゆる“パキる”で知られる腱鞘(A2プーリー)損傷の一例を、
原因・対応・再発予防までクライマー目線でまとめました。
概要
30代男性クライマー。登攀中に指で「パキッ」という音と痛みを自覚して来院。
A2プーリー(薬指に多い)周囲の損傷が疑われ、エコー観察と状態評価を実施。
痛み・腫れの軽減を図りながら、固定・運動制限・温熱ケア等を組み合わせて経過を追いました。
「パキる」とは?—クライマーに多いA2プーリー損傷
指の腱鞘(プーリー)は、屈筋腱が浮き上がらないよう骨に押さえつける役割を担います。
アーケイ(クリンプ)やセミアーケイの多用でテンションが高まり、A2プーリーに過負荷が集中しやすくなります。
鑑別で考えたい周辺の損傷
- 前腕屈筋群の損傷(特に環指屈筋に関与する筋群)
- 虫様筋損傷(第2〜第4指のMP屈曲に関与)
- 腱鞘損傷(環指A2に多い:屈筋腱の浮き上がり抑制が低下)

エコーでの観察—「腱が骨から浮く」所見
今回は登攀中の明確な音と直後の痛みが手がかりに。
エコー観察では、患側で屈筋腱が骨からやや浮く像が確認され、腱鞘の支え低下が示唆されました。
正常側との比較が、損傷の明瞭化に有用です。
特徴的な自覚所見
- 損傷瞬間の「パキッ」という音+鋭い痛み
- 抵抗をかけて曲げると強い痛みが出やすい
- 保持で痛みが増す/特定方向の負荷で不安感
当院の対応(症状・目標に応じて個別化)
1. 観察と初期対応
エコーでの部位確認と圧痛・腫脹の評価、負荷テストを参考に方針を決定。
基本は安静・負荷制限を最優先し、登攀は段階的に再開します。
2. 痛み・腫れの軽減サポート
ハイボルト刺激・マイクロカレントを中心に、痛みや腫れの軽減を目指します。
状態に応じてラジオ波温熱や手技で周辺軟部組織のコンディショニングも実施。
3. 固定と日常の保護
バディテーピング・副子固定で患部の保護と再発予防を図ります。
生活動作での負担軽減を優先し、登攀復帰は段階的ロード管理で。
※完全断裂が疑われる場合や変形・力が入らない等の症状では、医療機関での精密な確認・加療が必要となることがあります。
※当院は応急・保存的ケアの範囲で対応し、必要に応じて連携をご案内します。
よくある誤解
- 「痛くなければ登ってよい」:安静時に痛みがなくても、保持で腱が浮き上がり悪化することがあります。
- 「テーピングしていれば安心」:過信は禁物。固定は補助であり、負荷管理が最優先です。
再発予防のポイント
- 持ち方の見直し:アーケイ/セミアーケイ一辺倒を避け、オープンハンド(タンデュ)を意識的に活用。
- 筋力バランス:浅屈筋群の補強、前腕の持久的コンディショニング。
- ウォームアップ・クールダウン:冷えや疲労の蓄積はリスク。季節・時間帯に応じて調整。
- 練習量管理:課題グレード・ボリューム・連登のコントロールを。
まとめ
クライミング中の「パキッ」は、腱鞘損傷のサインであることが少なくありません。
早めの相談と適切な負荷管理で、無理なく復帰を目指しましょう。
指に違和感が出た際は、自己判断での登攀継続を避け、ご相談ください。エコー観察を活用し、早期対応をサポートします。
※本ページは柔道整復師が提供可能な範囲での施術・ケアの紹介です。
記載の内容は効果を保証するものではなく、状態により医療機関での精密検査・処置が必要となる場合があります。
