症例報告(3/9UP)
腱鞘炎(ばね指/弾発指)
今回の患者さんは、ばね指(腱鞘炎)です 。
★ばね指とは?
指には指の関節を曲げる屈筋腱と、その腱の跳ね上がりを抑えているトンネルのような腱鞘があります。このうち、腱鞘が何らかの原因で肥厚してくると次第に屈筋腱が締め付けられ動きが悪くなり、屈筋腱自体が肥大化し、腱鞘のトンネルを通りにくくなってきます。
そうすると、曲げ伸ばしの際に肥大化した腱が腱鞘にひっかかり、指に力を入れた際に引っ掛かりが外れ、ガックンとばねが弾けたような状態を呈すため、ばね指と言われています。
一般的には、オーバーユース(使い過ぎ)が原因と言われていますが、中でも出産前後、更年期の女性に多発するため、女性ホルモンとの関連性も疑われています。その他では、糖尿病の方にも起こることが多いと言われています。
★今回来院された患者さんは50代女性
特に既往はなく最近突然痛み始めたとの事。バネ様の症状はまだないもの、お仕事で指先をよく使うこともあり、その時に痛むし、朝起きたときも痛むようです。
触診して中指MP関節に圧痛と、硬結を認めました。
硬結=腱の肥大化とみて差し支えないようです。
エコーを撮って健側と患側を比べてみました。腱鞘炎はエコー撮影の代表的疾患とも言えるもので、よく確認できます。もちろん、腱などの軟部組織の疾患は、医科で行うレントゲンでは描写されません。
エコーで腱鞘炎を見る場合、腱の断面を撮影し、健患比較で腱の肥大化を見ます。今回も、はっきりと違いが出ました。
腱鞘炎で間違いないようです。
腱鞘炎治療は、当院ではラジオ波による温熱と、ハイボルトによる消炎鎮痛、前腕から手指への手技を行います。
超音波やレーザーなど以前よりいろんな治療法を試してきましたが、この組み合わせが一番良いようです。
(もちろん、医科においては注射(だいたいは患部へステロイド剤)が選択肢となりますし、効きは抜群です。が、腱鞘炎への注射はめちゃくちゃ痛いです。また、一時的に炎症を抑えるだけのため、短いスパンで再発する可能性があります)
安静目的にシーネ固定なども検討しますが、必ずしもオーバーユースが原因ではないことや私生活での妨げになること、長期固定は関節拘縮の原因になりうること、などにより運動時痛や炎症の程度によっては、固定せずに通院回数を多めにして施療を行うことを選択することが多いです。
今回の患者さんは、まだバネ症状が出ておらず軽度であることや、私生活や仕事で固定を行うことができないシチュエーションが多い事、通院は大目(週2~3)に行えることなどを考え、固定を行わずに施療を行うことになりました。
その日から週2日で通院を行い、ラジオ波とハイボルト、手技(合計で15分程)を組み合わせた施療を行い、3週目で患者さんから
「痛みがほとんどなくなった!」
との事。少し早いですがエコーにて確認してみました。
腱の肥大部が明らかに小さくなっているのが解ります。
触診においても、初診時蝕知できた硬結部が明らかに小さくなっていました。
患者さんも、朝起きた時の痛みや重い荷物を持った時の痛みが無くなったとの事。
正直、ここまで短期間でよくなったことはかなり珍しい症例ですが、なんにせよ、患者さんの喜んだお顔が拝見できて、施療してきた甲斐がありました。
とは言え、まだ完全に硬結が取れた訳ではなく、また再発の可能性がありますので、しばらくのフォロー通院をお願いしました。
ちなみに、ラジオ波利用でも腱鞘炎は局所的扱いとなる為、一回+1000円の自費負担となり(別途施療代がかかります)、しかもハイボルトは無料となります。1ヵ月週2回で通われる方前提の回数券もご用意しております。
小児骨端線離開~子供の小指の怪我~
今回は小児骨折の代表的な損傷、骨端線離開です。
幼小児の骨には骨端線(成長軟骨ともいう)が存在し、骨端線は骨の成長において重要な役割を担っています。
幼小児の場合、急激な外力が加わると組織学的に抵抗力の低い骨端線部と骨組織部が離開を起こすことが多く、「骨端線離開」となります。
骨折と同意義で治療も同じですが成長に係る重要な場所でもあるので外科的な手術療法よりも保存療法が多く選択されます。
つまり徒手整復と固定です。
今回来院された患者さんは、小学生。
一カ月前にキャッチボール中に誤って小指をボールにぶつけてしまったとの事。
直ぐに整形外科受診、レポ(徒手整復)を行いシーネによる固定を行っていました。
受傷後一カ月経過もXP上、骨の癒合がいまいち進んでいないとの経過報告を受け、心配された親御さんが当院に連絡され来院となりました。
状況から判断するに、おそらく受傷時尺側転移を起こしており、橈側方向への牽引と屈曲のレポを行ったと推測できます。
受傷部位への限局性圧痛が残っており、骨癒合はまだまだの模様。
屈曲時のROM不良が見受けられましたが、小児の場合、固定による関節拘縮は稀の為、このまま様子をみて良いでしょう。
当院にてエコー撮像
小児によくある骨端線離開(骨折と同意義)。小指に外転方向の外力が加わり、基節骨の骨端線が離開。
その際に基節骨が骨折したものと思われる。S-HⅡ型。医科にて整復済み。
基節骨近位部に骨の不整と仮骨、骨端核と骨の間に若干のギャップが認められものの、尺側転移の解剖学的整復は案外難しく、この程度のギャップであれば問題ないと思われる。
エコー撮像後、骨癒合の不良を親御さんも心配され、当院にてLIPUS治療を開始することとなりました。
毎日20分のLIPUS治療を行うこと1か月
骨皮質がよりしっかりとした高エコー像を示している。
損傷部位に旺盛な仮骨生成を見ることができました。
限局性圧痛もなく、テーピングによる柔軟かつ安全な固定と自宅でのROM訓練指導を行ったこともあり、屈曲時のROM不良も解消されています。
医師の方でも経過良好との判断を頂きました。
あと少し頑張れば、大好きなキャッチボールができるようになります!がんばって!
★LIPUSとは??
超音波骨折治療であるLIPUSは、骨癒合を促し、症例によっては40%も早く骨癒合が起こったという、今では骨折治療においてスタンダードとなってきた治療方法です。
治療方法はいたって簡単。LIPUS機器を患部に取り付け、20分の照射を受け、これを毎日行うことだけです。20分の間、ゲームをしたり漫画を読んだり、YouTubeを見ていたりすればよいだけです。音波による刺激は皆無でまた副作用もありません。
そして何より、当院では高校生以下の方には無料で利用できます(保険負担分はご負担いただきます。また医師の同意が必要となります。)
当院使用の伊藤超短波「オステオトロンV」
厚生労働省認可の治療器具です。
指の怪我〜指節関節の靭帯損傷〜
DIP関節側副靭帯損傷
★問診★
20代男性で2日前にスポーツ中に指を痛めたとのこと。受傷機序から大きな外力が一度に加わったというより、繰り返して投げていくうちに痛くなったようです。
★視診・触診★
ぱっと見、右手第一指のDIP関節部に腫脹が認められ、圧痛もありました。熱感はハッキリするようなほどではなく、屈曲や伸展動作でも若干の痛みは誘発されるも特に強い痛みはありませんでした。
★エコー確認★
臨床経験的に骨が折れている可能性は低く思えましたが、念のためエコーで確認。
患者さんも、画像での骨折の有無が特に知りたかったようです。
整形外科に行かれるのも良いですが、エコーを備えている接骨院でも骨折の有無の判断は可能です。
エコーでも骨折の所見はないようです。
DIP関節の橈側の側副靭帯部に肥厚が見られ、靭帯損傷の所見が見られます。
強い内出血等もなく、部分的な靭帯損傷と見て良いでしょう。
★処置★
骨折や靱帯断裂による強い関節動揺性はなかったので、このままテーピング固定でも可能ですが、シーネ固定をした方が治りが早いこともあります。
テーピング固定とシーネ固定療法のメリット、デメリットを説明した上で、患者さんとしてはいち早く治したいとのことでしたのでシーネ固定を選択されました。
当院のシーネ固定は、整形外科基準での固定となります。シーネ素材には水に漬けると固まるスプリント材を利用(整形外科で使われるものと同じものを使用しています)。指節関節固定の場合は、包帯を使わずネットを利用した簡便に取り外しができるものです。指を包帯で巻かれると、朝顔を洗ったり、食器洗い等で大変ですよね。どうしても外す必要があるときは、簡単に外せるようにして、また簡単に取り付けられるように配慮しています。
★期間★
目安ではありますが2~3週間の固定、腫れや拘縮等が無ければそのまま良ければ治癒となります。
★費用★
外傷によるお怪我ですので保険適用になり、今回の患者様は3割のご負担となり、初診料、検査料、固定料、あと今回は腫脹減退、治癒促進のためハイボルテージとマイクロカレントもご利用になられたので、4,600円となりました。次回来院時より650円~500円となります。
保険負担割合や自費利用により費用は上下致します。
★所要時間★
18時に来院(ご予約あり)され、お会計は18時40分でした。接骨院の強みは、問診から検査、処置、お会計まで一連の作業でできてしまうところにあります。
★まずは接骨院で確認★
・骨折しているかどうか不安
・骨折していないとは思うけど少しだけ見てほしい
そんな方では、是非当院へご来院ください。「ひとまず確認だけ」でも大丈夫です!
検査後、骨折が判明した場合は、適切に応急処置を行った後、近位の整形外科をご紹介いたします。
腱鞘損傷(A2プーリー損傷)〜ボルダラー用語「パキった」〜
こんにちは、よねくら接骨院、米倉です。桜が咲いてきましたが、まだまだ朝晩冷えたりしてますね。
先日、パキった患者さんが来院されました。
ぱきる?
クライマー用語みたいなものですね。
患者さんは30代男性、私のクライミング仲間で、クライミングレベルが上級者に分類されるほどのガチなクライマーです(ちなみに私は中級程度)。
パキるとは損傷分類では3つに分類されることが出来ます。
1.前腕屈筋群断裂(特の多いのは環指屈筋時作用する筋肉)
2.虫様筋損傷(手内筋の一つで、主に第2指〜第4指MP関節の屈曲を行います)
3.腱鞘損傷(主に多いのは環指A2プーリー。各指の屈筋腱が屈曲時に浮き上がらないよう抑える役目を担っています。)
今回は、この中でも多いとされる3番目の腱鞘損傷に当たります。独特で負荷のかかりやすいクライミング特有の指の損傷で、中上級者に多い損傷です。
簡単に説明すると、指の腱を抑えている鞘(腱鞘)が断裂を起こしてしまい(主に多いのは薬指のA2)、腱の抑えが利かなくなってしまった状態で、損傷した瞬間、パキっと音を感じることから「パキる」と言われています。
左側:写筋骨格系キネシオロジー原著第3版より転載
エコー画像でみるとよくわかります。上が怪我をした指で下が正常な指ですが、線で示した腱が骨(一番白く映ってるもの)から少し浮いているのが解ります。腱鞘が断裂し抑えが利かなくなっている状態ですね。このままでも何もしなければ痛くありませんが、抵抗を架けながら指を曲げていくと激痛が走ります。
こうなってしまうと普通は登ってはいけません。でも、ガチのクライマーの方は登ってしまいます。なので、せめてテーピングをして登るように、またスラブ課題など指に負担のかからない課題をするよう指示します(足置きも重要な練習です)。
テーピングはバディテーピングが基本ですが、損傷により副子固定してしまうこともあります。
でも本当は安静にするのが一番です。
完全断裂した場合、手術適応も考えれられます。無理して登らないことが一番の治癒方法です(1~2か月が基本)。
ちなみに、当院ではエコー画像で判断後、ハイボルト、マイクロカレントで除痛、腫れを抑え、治癒促進を促します。
また、テーピングや状況によって副子固定を行い、筋拘縮予防や治癒後の再断裂を防ぐため、ラジオ波を利用した温熱療法と手技療法を行います。
さらに、パキる人に多いのが、ホールドの持ち方がアーケイやセミアーケイ(カチ持ち、クリンプ、ハーフクリンプとも)を多様する方に多いと考えられます。特に、セミアーケイは結構多用されている方はいらっしゃるのではないでしょうか?私もそうなんです(汗)。
アーケイのほうが保持力が高く癖になるといわゆる「カチラー」になりがちですが、その分、指の関節に掛かる負担は増大し、パキるだけでなく指節関節痛や誘発したり関節変形を進めてしまいます。普段はタンデュ(オープンハンド)を使い、浅指屈筋群を鍛えておき、ホールドが細かくて持てないここぞというときにカチ持ちをするようにしましょう。アーケイやセミアーケイは次の起こすムーブのの幅が狭くなったり、飛距離が出なかったりするので、そういう点でもタンデュ持ちの練習を!
3月とはいえ、まだまだ肌寒い日がたまにあると思います。今回のこういった怪我は、練習のし過ぎによる疲労の蓄積やウォーミングアップ不足や冷えによるものも原因とも言えます。
けがを未然に防ぐためにも、専門家の下でコンディショニングづくりを行ってください!