症例報告(5/15UP)
「中学生の小指骨折(第5指基節骨骨折)にLIPUSを併用|稲城市での早期回復を目指した施療例
【症例】第5指基節骨骨折(らせん状骨折)|中学生・自転車転倒による小指のケガ
●来院の経緯
3月初旬、自転車で通学中に転倒し、左手の小指を地面に強くぶつけた中学生の方が、腫れと痛みを訴えて親御さんとともに来院されました。
患部は目で見ても腫れがはっきりしており、骨折の可能性が高いと判断しました。
●エコーによる初期評価と整復
年齢的に「骨端線離開(成長線の損傷)」も考慮し、エコーで患部を評価。
わずかに尺側(小指側)への転位がみられたため、牽引・圧迫による整復を行い、シーネで固定。その後、整形外科への紹介状をお渡しして対診していただきました。
受傷後来院時
●整形外科での診断と方針
整形外科では「第5指基節骨骨折(らせん状骨折)」と診断。整復位も良好であったため、保存的に固定を継続する方針に。
骨折部は転位しやすいため、小指単独の固定から薬指とのバディ固定に変更しました。
●LIPUS(低出力パルス超音波)による骨癒合促進
整形医の了承を得て、骨癒合の促進を目的に**LIPUS(低出力パルス超音波)**を導入。
毎日20分の照射を継続して行いました。
【参考文献(日本語解説)】
・「LIPUSの骨折治癒促進効果について」日本整形外科学会 雑誌記事
https://www.joa.or.jp/media/public/knowledge/fracture_ultrasound.html
・「低出力パルス超音波(LIPUS)の骨癒合促進効果」 日本臨床スポーツ医学会
https://www.rinspo.jp/pdf/vol30_6_751.pdf
●その後の経過とリハビリ
施行開始から10日ほどで仮骨の形成が確認され、圧痛も軽減。
2週間で骨癒合が順調に進み、整形医よりリハビリ開始の許可が出ました。
ラジオ波温熱療法を併用し、患部周囲の循環促進と関節可動域の回復を目指しました
受傷後1週目
受傷後3週目

ラジオ波を利用したリハビリを行います
★LIPUSを使わなかったら??
LIPUSを使用しなかった場合、一般的に小指基節骨の骨癒合には3〜4週間かかるとされています。
加えて、固定期間後も関節拘縮や筋力低下への配慮が必要となり、リハビリを含めた全体の施療期間は約5〜6週間程度になることが多いです。
今回のケースでは、LIPUSを導入したことで、
-
仮骨形成が10日で確認
-
2週で骨癒合が進行
-
4週目には関節可動域も良好に
と、実質1〜2週間程度の施療期間短縮が得られた可能性があります。
●施療の結果
4週目(4月初旬)には関節の動きも良好となり、日常生活にも支障なく、無事に施療を終えました。
初期対応の迅速さと、エコー評価・整形との連携・LIPUS・早期リハビリといった複合的な施療が功を奏した症例です。
※当院では、子供医療証をお持ちの方に場合(東京都在住の方に限る)、窓口負担料として200円のみ頂いております。
医師から骨折加療への同意をいただいている場合、LIPUS利用料やラジオ波利用料は頂いておりません。
このように、骨折直後からの適切な評価と管理、そして医療連携と物理療法の活用により、良好な経過を得ることができました。
ふくらはぎの肉離れを適切にケア|LIPUS+ラジオ波+エコー検査で早期回復を目指
腓腹筋(ふくらはぎ)肉離れ損傷の症例報告
■ 症例概要
50代男性 / 趣味:ゴルフ
土曜日のゴルフ練習中、スイングの際に 左ふくらはぎに痛み を感じて受傷。
「歩くたびに痛みがあり、このままではゴルフができなくなるのでは…?」 という不安から、当院を受診されました。
一般の医療機関が休診の日曜でしたが、当院の「日曜応急施療」により早期施術が可能となりました。
■ 検査所見と判断(エコー検査のメリット)
▼ エコー検査(超音波画像診断)を活用した診断
当院では レントゲン(XP)のみの検査では見逃されやすい筋肉や軟部組織の損傷を、エコー検査で詳細に確認 しています。
整形外科では 骨折があるかどうかを調べるためにレントゲン(XP)が主流 ですが、レントゲンでは 筋肉や腱の損傷、炎症、血腫の有無は判別できません。
💡 当院のエコー検査のメリット
✅ 筋肉や腱、靭帯などの軟部組織の状態をリアルタイムで確認可能
✅ 血腫や炎症の有無を即座に把握できるため、適切な施療方針が立てられる
✅ X線検査(レントゲン)では見えない損傷も可視化し、見逃しを防ぐ
✅放射線を使わないため、何度でも安全にチェック可能
今回の腓腹筋肉離れエコー像受傷直後ということもあり、血腫の貯留状態がよくわかる。
腓腹筋部の完全断裂は起きていない。
■ 当院での施療方針
ふくらはぎの肉離れは、早期の適切な施療が スポーツ復帰までの期間を短縮する重要なポイント です。
当院では、以下の施術を組み合わせ、痛みの軽減と回復をサポート しました。
1. ハイボルト施療(痛みの即時緩和)
高電圧の微弱電流を短時間で流す施療法です。
神経や筋肉に働きかけ、急性の痛みを緩和し、炎症反応の抑制や筋緊張の緩和を促します。
腓腹筋肉離れのような急性期の症状に対して、特に早期の痛み軽減が期待できます。
2. LIPUS施療(超音波で組織修復を促進)
LIPUS(低出力パルス超音波) は、「Low Intensity Pulsed Ultrasound(低出力パルス超音波)」の略で、超音波による微細な振動を患部に与え、細胞の活性化や血流促進を図り、組織修復を支援する施療法です。
骨折や軟部組織損傷の回復促進を目的に用いられることが多く、筋肉損傷の回復にも効果が期待できます。
💡 LIPUSの根拠となる研究
- Meikai Universityの研究 によると、LIPUSは軟部組織の損傷回復を促し、治癒期間を短縮することが示唆されています。(参考文献)
- PubMed(国際医学論文データベース) では、LIPUSが筋損傷の組織修復を促進し、COX-2の発現や新しい筋線維の形成を高めることが示されています。(参考文献)
3. テーピング(負担軽減と安定性の確保)
患部に専用テープを貼付し、筋肉や関節を適切な位置でサポートしながら、腫れの抑制や安定性の確保を行う施術法です。
動きを制限しすぎず、日常生活や軽い動作を補助できるよう調整しながら使用します。
腓腹筋の負担を軽減し、回復をサポートします。
4. 専用サポーター(日常生活での負担軽減)
足全体を包み込むタイプの専用サポーターを使用し、下腿部全体に均一な圧迫を加えることで、患部の保護や負荷の分散、腫れの軽減をサポートします。
また、日常生活や歩行時にも安心して過ごせるようサポート力を調整して使用します。
専用サポーター
☆ダイヤ工業「ふくらはぎフリー」
包帯固定と同程度の固定力を有しながらも、装着が簡便なため、包帯のような煩わしさがなくだれでも簡単にしっかりと固定ができます。
5. マイクロリカバリーパッチ(微弱電流で回復をサポート)
マイクロカレント療法(微弱電流療法)を応用した特殊なパッチです。皮膚表面から微弱な電流を流し続けることで、細胞の修復を促し、血流の改善や痛みの軽減をサポートします。
貼るだけで持続的に作用するため、「仕事や家事で忙しく、頻繁に通院が難しい方」にも最適な補助施術です。
日常生活を送りながら無理なく施術効果を維持できる点が特徴です。
6. ラジオ波療法(深部からの血流改善・筋肉の柔軟性向上)
高周波の電磁波を利用し、深部の組織を温めることで血流を促進し、筋肉の柔軟性を向上させる施療法です。
腓腹筋肉離れでは、回復期に取り入れることで、硬くなった筋肉の緊張を和らげ、再発予防や可動域の改善を目的とします。
特に、慢性的な筋肉のこわばりや、スポーツ復帰を目指す方に適した施療で、運動療法と組み合わせることでより効果的な回復を目指せます。
■ 今後の施療計画と運動療法
腓腹筋肉離れ(2度損傷)の回復には、段階的な施療が重要です。
適切な施術を怠ると再受傷のリスクが非常に高くなります。
【急性期】(初回受診~約1週間)
- 痛みと炎症の抑制を目的とした施術を継続
【回復期】(1~3週間)
- 軽めのストレッチや可動域訓練で柔軟性維持
- ラジオ波を用いた運動療法を併用し、温熱効果で血流促進と筋肉の柔軟性向上を図ります
【復帰期】(3~6週間)
- ゴルフ動作に合わせた機能回復運動を段階的に実施
- 筋力強化やバランス訓練を並行して行い、再受傷防止に努めます
■ ふくらはぎの肉離れは再発しやすい
適切な施療を行わないと、再受傷のリスクが高まります。
✅ 1カ月以内の再受傷率:約20~25%
✅ 1年以内の再受傷率:約30~40%
無理をせず、適切な施療を受けることで、早期回復と再発防止につながります。
■ まとめ
当院では、
こちらの症例は、エコー検査を活用し、レントゲンでは見逃されやすい筋肉や腱の損傷を適切に評価でき、休日でも早期に応急施術を行えたことで、痛みの緩和と早期回復が期待できたケースです。
腓腹筋内側頭肉離れ(2度損傷)に対しては、
ハイボルト、LIPUS、テーピング、専用サポーター、
さらに忙しい方にも最適な「マイクロリカバリーパッチ」を組み合わせた施術が効果的です。
今回の施療にて。マイクロカレントとLIPUSの組み合わせで治癒促進を狙っている。
また、ラジオ波を加えた運動療法を含めた段階的な施術計画を進めることで、
再受傷リスクを下げ、安心してかつ早期のスポーツ復帰を目指せます。
ラジオ波による温熱療法は、スポーツ復帰を目指す方に効果的です。
✅ 腓腹筋肉離れは再発しやすいケガです。
✅ 適切な施術を行い、再受傷を防ぎましょう!
※本内容は当院での一例であり、症状や状態に応じて個別の対応が必要です。
「仕事や趣味の時間を大切にしながら、しっかり治したい」という方は、ぜひご相談ください。
手掌部屈筋腱損傷(ボルダリング損傷)
手掌部屈筋腱損傷(ボルダリング損傷)
ボルダリングでは、アンダーホールドやダイナミックなムーブの際に手掌部の屈筋腱へ強い負荷がかかることがあります。本症例では、アンダーホールドを保持中に発生した腱損傷をエコーで診断し、保存療法を実施。指に負担をかけないトレーニングを指導し、早期復帰をサポートしました。
◎患者情報
年齢・性別:40代・男性
受傷状況:ボルダリング中の外傷
◎初診時の主訴
患者様はボルダリングジムでアンダーホールドを左手で保持し、右手で次のホールドを取りに行った際に左手掌部および左前腕部に痛みを感じ、その後、指を曲げると痛む、手掌部の腫れが見られたため当院を受診されました。
市外の遠方から来院され、「ボルダリングを良く知っている先生がいる医療機関」をインターネットで検索し、当院を選ばれました。
◎検査・評価
視診では左手掌部に軽度の腫脹が認められ、環指(薬指)の屈曲時に抵抗を加えた際に強い痛みが確認されました。
エコー検査では深指屈筋腱部に腫脹と内出血を伴う腱損傷が確認されましたが、幸いにも腱断裂は認められなかったため、保存療法を選択しました。
★エコー検査の利点★
エコー検査はリアルタイムで軟部組織の状態を可視化でき、腱や靱帯の損傷を的確に評価できます。X線では確認できない部位も詳しく観察できるため、早期に適切な治療方針を決定するのに有効です。
リアルタイムで腱の動きが見れるのがエコーの特徴
上:健側-深指屈筋腱と浅指屈筋腱が別々に動いているのが確認できる。
下:患側-深指屈筋腱と浅指屈筋腱の間に血腫が存在し、両腱の動きが同時に動いている。このまま放っておけば癒着を起こす可能性もある。
◎治療
以下の治療法を組み合わせ、腱の回復促進と疼痛の緩和を図りました。
- ハイボルト療法:高電圧の電気刺激で神経や筋肉に直接働きかけ、即効性のある痛みの軽減が期待できます。
- LIPUS(低出力超音波治療器):超音波で細胞修復を促し、腱や靱帯の治癒期間を短縮します。
- マイクロカレント療法(マイクロリカバリーパッチ):微弱電流を利用し、細胞レベルで修復を促進。血流改善や代謝を活性化することで、自宅での継続ケアが可能です。
◎クライミングへの指導
治療中は患部への過度な負担を避けつつ、他の部位を鍛えるトレーニングを提案しました。
- 2~3週間は指に負担がかかるルート(アンダー、オーバーハング)は禁止
- 足腰の強化とバランス向上を目的に、スラブ壁でのクライミングや体幹トレーニングを推奨
- 回復の状況を見ながら、段階的に負荷を増やし運動を再開予定
★ボルダリング経験者の院長によるサポート★
当院の院長はボルダリング歴10年以上ですが、最近は子育てがメインになり、すっかり腕が落ちてしまった「元・そこそこ登れるクライマー」です。それでも、クライミング特有の怪我やトレーニング方法についての知識は豊富で、「なかなか休みたくない気持ち」も痛いほど理解しています。
必要があれば「休む勇気」を優しくお伝えしつつ、その間にできるトレーニングや早期復帰の工夫もご提案します。もしボルダリング中の怪我や不調でお困りの際は、ぜひご相談ください。登る人の気持ちを知る院長が、治療とサポートであなたのクライミングライフを応援します!
変形性膝関節症の症例報告
症例報告:変形性膝関節症(70代女性・中等度の変形)
【病状】
70代女性の患者様は、2~3年前から左膝の痛みが始まり、その後右膝にも痛みが発生。
階段の上り下りや、長時間座った後の立ち上がり時に強い痛みを感じ、日常生活が困難になっていました。
運動不足による体重増加もあり、歩行時の痛みがさらに悪化していました。
整形外科で定期的にヒアルロン酸注射を受けていましたが、痛みは改善せず、むしろ悪化。
このままでは歩くことがさらに大変になるのではと不安を感じ、当院を受診されました。
エコー検査では、KL分類3度程度の変形と関節水腫が確認され、可動域も制限されている状態。
炎症を抑えて関節の動きを良くするために、治療を開始しました。
【治療内容】
初診時の評価では、痛みが強く、膝の動きもかなり制限されている状態。
そのため、できるだけ早く痛みを和らげ、動けるようにすることを目標に、次の施術を組み合わせました。
✅ ラジオ波(高周波温熱療法)
→ 深部まで温めて血流を促進し、筋肉や関節の柔軟性を高める
✅ LIPUS(低出力超音波治療)
→ 軟骨の修復を助け、炎症を抑える
✅ EMS(電気筋肉刺激)
→ 膝を支える筋肉を活性化し、膝関節の安定性を高める
✅ ハイボルト(高電圧電流刺激)
→ 炎症を抑え、痛みを軽減する
【現在の状況】
現在、週2回の通院ペース(2/W)で施術を継続中です。
治療開始から3週間後には痛みが軽減し、歩行時の負担が軽くなりました。
関節の可動域も少しずつ広がり、膝の安定性も向上。
その後、2カ月目から徒手的運動療法(ストレッチや筋力トレーニング)を開始。
特に、臀部・大腿四頭筋・下腿部の筋力を強化し、膝関節の負担を軽減することを目指しています。
🔹 今後の目標
- 関節の動きをさらにスムーズにすること
- 階段の昇降が楽にできるようにすること
- 痛みが再発しないように筋力をつけること
【ヒアルロン酸注射について】
患者様は整形外科で定期的にヒアルロン酸注射を受けていましたが、痛みの改善は見られず、次第に悪化していました。
近年、欧米ではヒアルロン酸注射は推奨されなくなってきています。
その理由として、以下の点が指摘されています。
📌 効果がほとんどない可能性
👉 研究によると、ヒアルロン酸注射の効果はプラセボ(偽薬)とほとんど変わらないことが分かっています。
📌 関節の炎症を悪化させる可能性
👉 ヒアルロン酸注射を続けることで、関節の炎症が進み、長期的には軟骨がすり減るリスクがあるとも言われています。
📌 国際的なガイドラインで非推奨
👉 アメリカ整形外科学会(AAOS)や英国NICEでは、ヒアルロン酸注射は効果が不確かであるとして推奨されていません。
【LIPUS(低出力超音波治療)について】
一方で、LIPUS(低出力超音波治療)は変形性膝関節症に効果が期待できる治療法として注目されています。
📌 軟骨の修復を助ける
👉 研究によると、LIPUSは軟骨細胞の増殖を促し、関節軟骨の修復を助けることが確認されています。
📌 炎症を抑え、痛みを軽減する
👉 超音波の刺激によって、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)が減少することが報告されています。
📌 関節の動きを良くし、歩行能力を改善
👉 実際に、LIPUSを使った患者さんの多くが関節の可動域が改善し、歩行時の痛みが軽減したという臨床研究の結果もあります。
📌 欧米のガイドラインで推奨され始めている
👉 最近では、**ヨーロッパのリウマチ学会(EULAR)**などでも、運動療法と組み合わせることでより良い結果が得られると推奨されています。
当院では、LIPUS治療を推奨しています。
【参考文献】
🔹 ヒアルロン酸注射に関する研究
- Bannuru, R. R., et al. (2019). 「変形性膝関節症に対する関節内ヒアルロン酸注射の有効性:系統的レビューとメタアナリシス」 JAMA.
- Altman, R. D., et al. (2022). 「変形性膝関節症における炎症とヒアルロン酸の役割」 Arthritis Research & Therapy.
- 日本整形外科学会 (2021). 「変形性膝関節症診療ガイドライン」
🔹 LIPUSに関する研究
- 田中英俊 他 (2016). 「低出力パルス超音波治療が軟骨細胞の増殖と機能に与える影響」 日本整形外科研究誌.
- Zeng, C., et al. (2020). 「低出力パルス超音波治療の変形性膝関節症への有効性:システマティックレビューとメタアナリシス」 Clinical Rehabilitation.
- Rutgers, M., et al. (2021). 「LIPUSとヒアルロン酸注射の比較:変形性膝関節症患者を対象とした無作為化比較試験」 Osteoarthritis and Cartilage.
- EULAR(欧州リウマチ学会)(2022). 「変形性膝関節症の理学療法管理に関するガイドライン」
脛骨近位端部骨折の症例
脛骨近位端部骨折の症例報告
患者基本情報
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年齢:70代女性
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主訴:道路で転倒し、右膝を打撲。跛行があり、杖があれば楽とのこと。
受診時の状況
予約が混雑していたため、受付終了後の夜20時に診察を実施。息子さんの車で送迎されました。
診察と初期対応
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大腿骨頚部骨折の除外
高齢者の転倒時にはまず大腿骨頚部骨折を疑いますが、検査の結果、異常は認められませんでした。 -
膝部の所見
膝下部に疼痛と圧痛が強く、エコー検査では骨の不正像が見られたものの、当日は決定的な所見ではありませんでした。夜遅かったため応急処置を行い、後日の再受診を指示しました。
再診と判断結果
初検時ではなかなか判別が難しい骨折でした。
後日のエコー検査では、脛骨近位端部の骨折を強く示唆する所見が確認されました。そのため、整形外科受診を勧め、患者さんの希望する通院先へ紹介状を作成しました。当院が良く紹介する整形外科ではない医療機関でしたが、患者さんの意向を尊重しました。
LIPUS治療の断念 :低出力超音波治療法(LIPUS)は、骨癒合を促進し治癒期間を短縮する有効な治療法ですが、患者さんが希望する整形外科が接骨院との連携を認めない方針である可能性が高かったため、同意が得られないリスクを考慮し導入を断念しました。この旨を患者さんに丁寧に説明し、整形外科での治療に専念していただく対応をとりました。
治療と指導
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固定方法の選択
シーネ固定が推奨されるケースでしたが、患者さんの活動量や骨転位の軽度さを考慮し、包帯による圧迫固定を選択しました。これにより、自宅での行動制限を最小限にしました。 -
歩行指導
松葉づえを用いた免荷歩行を指導し、患部への負担軽減と安全な移動をサポートしました。
課題と考察 :高齢者の骨折では、治癒期間を短縮し早期に回復することが極めて重要です。今回のケースでは、地域医療における接骨院と医療機関との連携の課題が浮き彫りになりました。当院では、患者さんの希望を最大限尊重しながら、適切な治療とリハビリを提供できる環境を目指しています。
今後も患者さんにとって最善の医療環境を提供し、高齢者の骨折治療における早期回復を支援してまいります。