症例報告(9/3UP)

2026-09-03 08:50:00

有痛性分裂膝蓋骨

分裂膝蓋骨の症例報告|14歳・サッカー

練習後に繰り返す膝の痛み。
「成長すれば落ち着く」と言われても、今プレーしている選手にとって痛みは大きな問題です。
今回は、分裂膝蓋骨と診断された14歳のサッカー選手に対し、 ラジオ波・ハイボルト・LIPUSを組み合わせて対応した症例をご紹介します。

患者情報

  • 年齢:14歳
  • 競技:サッカー
  • 主訴:練習後に繰り返す膝の痛み
  • 医療機関での診断:分裂膝蓋骨

受診までの経緯

以前からサッカーの練習後に膝の痛みがあり、整形外科を受診したところ、 分裂膝蓋骨と診断されました。

病院では経過観察となり、湿布や痛み止めなどで様子を見ることになっていました。 しかし、本人にとっては練習時間が限られている中で、 痛みが気になってプレーに集中できないことが大きな悩みとなっていました。

分裂膝蓋骨とは?

分裂膝蓋骨とは、本来ひとつの骨として形成される膝蓋骨が、 成長の過程で一部癒合せず、複数の骨片に分かれた状態をいいます。

分裂していること自体は必ずしも異常ではなく、 痛みがないまま成人する方も少なくありません。 一方で、スポーツなどによって膝蓋骨に繰り返し牽引力が加わると、 分裂部周囲にストレスが集中し、運動時痛や圧痛が生じることがあります。

ChatGPT Image 2026年9月2日 19_48_33.png

サッカー選手では特に、
ダッシュ・キック・ジャンプ・切り返しなどで大腿四頭筋が強く働くため、 膝蓋骨に繰り返し牽引ストレスが加わります。

エコーで分裂部を確認

当院では、膝蓋骨の状態をエコーで観察しました。 分裂膝蓋骨の部位を画像で確認しながら、 どこに負担が集中しているのかを評価していきます。

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① エコーで膝蓋骨周囲を観察している様子
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② エコーで確認した分裂膝蓋骨像(単軸)

今回の施術方針

今回のポイントは、 「痛い場所だけに施術する」のではなく、膝蓋骨にかかる牽引力そのものを減らすことでした。

① ラジオ波で大腿四頭筋・腸脛靭帯をケア

膝蓋骨には、大腿四頭筋を中心として強い牽引力がかかります。 さらに大腿外側部の緊張が強い場合には、 膝周囲への負担が増えることもあります。

そこでラジオ波による深部温熱を用い、 大腿四頭筋(特に外側広筋)や腸脛靭帯周囲の柔軟性を高め、 膝蓋骨にかかる牽引ストレスを軽減することを目指しました。

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③ 大腿四頭筋・膝周囲へのラジオ波施術

② ハイボルトで疼痛をコントロール

分裂部周囲の痛みに対してはハイボルトを使用し、 疼痛の軽減を図りながら日常動作やスポーツ時の負担を抑えるようにしました。

痛みを我慢しながらプレーを続けると、 無意識にフォームが崩れ、反対側の膝や股関節などに負担が広がることもあります。 そのため、まず痛みをコントロールすることも重要です。

③ LIPUSで骨癒合をサポート

分裂膝蓋骨部には、 LIPUS(低出力パルス超音波)を使用しました。

LIPUSは弱い超音波刺激を骨に与えることで、 骨形成・骨癒合過程をサポートする目的で使用される物理療法です。

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④ 分裂膝蓋骨部へのLIPUS

LIPUSと分裂膝蓋骨についての報告

分裂膝蓋骨に対するLIPUSについては、 疼痛を伴う分裂膝蓋骨2症例にLIPUSを使用し、骨癒合が得られた という症例報告があります。

この報告では、13歳男子2名に対して 1日20分のLIPUSを実施。 両症例とも治療開始後2か月以内に膝蓋骨部の疼痛が消失し、 画像上では4か月で骨癒合が確認されています。

参考文献:
Kumahashi N, Uchio Y, Iwasa J, et al.
Bone union of painful bipartite patella after treatment with low-intensity pulsed ultrasound: report of two cases.
Knee. 2008;15(1):50-53.
PMID: 18055207

この論文は2症例のケースレポートであり、 すべての分裂膝蓋骨で同様の結果を保証するものではありません。 ただし、疼痛を伴う分裂膝蓋骨に対する 非侵襲的な保存療法の選択肢のひとつとして参考になる報告です。

施術経過

施術開始〜数週間

週2〜3回程度の頻度で通院。

  • ラジオ波による大腿四頭筋・腸脛靭帯周囲の柔軟性改善
  • ハイボルトによる疼痛コントロール
  • LIPUSによる分裂部の骨癒合サポート

サッカーを続けながら、 その日の状態や練習量に合わせて施術内容を調整しました。

約1か月

練習後の膝の痛みが徐々に軽減。 以前のように痛みばかりが気になってしまう状態から、 少しずつプレーに集中できるようになってきました。

約2か月

週2〜3回の施術を継続した結果、 膝の疼痛は完全に消失。

サッカーの練習後にも痛みを訴えなくなり、 競技中に膝を気にすることもなくなりました。

今回の症例から考えること

分裂膝蓋骨は、成長とともに症状が落ち着くケースや、 骨片が癒合しないままでも無症状で生活できるケースがあります。

しかし、成長期のスポーツ選手にとっては、 「いつか治る」ではなく、「今この瞬間に競技を続けたい」 という問題があります。

今回の症例では、

  • ラジオ波による膝蓋骨への牽引ストレス軽減
  • ハイボルトによる疼痛コントロール
  • LIPUSによる骨癒合過程のサポート

を組み合わせることで、 週2〜3回の通院、約2か月で疼痛が消失しました。

スポーツ中の膝の痛みでお困りの方へ

成長期の膝の痛みは「成長痛だから」と決めつけないことが大切です。

サッカー・バスケットボール・バレーボールなど、 ジャンプやダッシュを繰り返す競技では、 膝周囲にさまざまな障害が起こることがあります。

よねくら接骨院では、 徒手検査・エコー観察・必要に応じた医療機関との連携を行いながら、 競技継続と早期復帰をサポートしています。

膝の痛みが続く場合は、 LINEまたはお電話にてご相談ください。

※本ページは柔道整復師による施術・応急対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状や経過によっては、医療機関での精密検査・処置が必要となる場合があります。
LIPUSの実施には医師の同意が必要です。
本症例の経過は個別の症例であり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。

 

 

2026-04-06 16:02:00

膝蓋骨骨折

膝蓋骨骨折の症例報告

患者情報

70代女性

受傷の経緯

2月26日、濡れている床で足を滑らせ転倒し、右膝を床に強打。電話連絡を受け、お昼休憩中でしたが即時来院可能とのことで応急受診となりました。

初検時の評価

  • 半月板・側副靭帯テスト:陰性
  • ラックマン:疼痛のため施行不可
  • 膝蓋骨部に強い圧痛
  • 脛骨内外側に圧痛なし

臨床的に高齢者の転倒による膝強打では膝蓋骨骨折を強く疑う所見。エコーで関節内血腫を確認し、膝蓋骨に骨折様所見を認め、膝蓋骨骨折および関節内損傷を疑い整形外科へ紹介しました。

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 受傷直後のエコー像(中央左側に骨の断続性が失われている所見あり)
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エコー観察の様子

医科診断

関節穿刺にて血腫を確認後、MRIで膝蓋骨骨折を確認。縦方向に亀裂が入り2分割。その他の関節内骨折は認めず。

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MRI像(医師提供)
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MRI確認の様子

初期処置

  • シーネ固定
  • 弾性包帯による圧迫
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シーネ固定

施術経過

0〜1週

  • 医師同意のもとLIPUS開始(毎日20分)
  • 松葉杖にて免荷指導
  • EMSにて大腿四頭筋萎縮予防
■ 毎日通院(LIPUS)の意義
LIPUSは1回の刺激でも効果が期待されますが、連日照射により骨癒合過程を継続的に促進できる点が重要です。
特に受傷初期〜仮骨形成期にかけては、細胞レベルでの修復活動が活発になるため、間隔を空けずに毎日刺激を入れることが理にかなっています。

本症例では、毎日20分のLIPUSを継続したことで、約2週で骨癒合良好所見を確認でき、早期の可動域訓練へ移行することが可能となりました。
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⑧ LIPUS・EMS施術

2週

  • エコーで骨癒合良好
  • 膝蓋骨圧痛消失
  • ROM訓練開始

3〜4週

  • 屈曲可動域回復
  • 松葉杖離脱
  • 疼痛消失

4〜5週

  • 骨癒合確認(レントゲン)
  • 日常生活問題なし
  • LIPUS終了
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最終エコー像(左受傷直後:右4週目 膝蓋骨右端に仮骨が認められる)

一般的な保存療法との比較

一般的な膝蓋骨骨折(保存療法)の場合:
  • 骨癒合:約4〜6週
  • 固定による関節拘縮あり
  • 可動域回復に追加期間を要する
  • 完治まで:約2か月
本症例では:
  • LIPUSによる骨癒合促進
  • EMSによる筋萎縮予防
  • 早期ROM開始
結果:
  • 約1〜1.5か月で回復
  • 後遺症ほぼなし

まとめ

早期判断・医科連携・LIPUSとEMS併用により、良好な経過を得た症例です。

急な転倒・膝のケガでお困りの方へ

当院では急患対応を行っております。
転倒や強打による膝の痛みは骨折の可能性もあります。
LINEまたはお電話にてご連絡ください。

※本ページは柔道整復師による施術紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。

2026-02-21 23:16:00

腱板損傷(腱板炎)

腱板損傷(腱板炎)の症例報告

患者情報

70代男性。子供と遊ぶことが多い方。

受傷の経緯

子供とバスケットボールで遊んでいた際に右肩に痛みを感じ、 3日後には「腕が上がらない」「痛くて寝られない」と症状が増悪し、 心配になり来院されました。

来院時は予約なしでの飛び込みでしたが、予約の合間の時間を調整し、 検査と応急処置を行いました。

初検時の評価

徒手検査所見

  • 棘上筋腱部に圧痛
  • ペインフルアークサイン:陽性
  • インピンジメントサイン:陽性
  • 挙上時痛は強いが、一定角度を超えると最終可動域までは挙上可能
  • リフトオフテスト:陰性
  • スピードテスト:陰性
  • エルボーフレクションテスト:陰性

徒手検査のみでも腱板損傷は十分疑える状態でしたが、 損傷の程度を把握するためにはエコー評価が不可欠です。

エコー所見

棘上筋腱の膨隆を確認。腱実質の断裂は認めず。 軽度の炎症と判断し、いわゆる軽傷の部類と評価しました。

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エコーでの確認中(写真は健側)
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健側と患側のエコー対比

初期対応

  • 三角巾による固定
  • ハイボルトによる鎮痛・抗炎症処置
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三角巾による固定

翌日来院時には疼痛レベルが約半分まで軽減。 睡眠も十分に取れたとのことでした。

施術経過

  • 1週間:毎日ハイボルト施術 → 疼痛ほぼ消失
  • 通院頻度を週2回へ変更
  • 挙上時のROM制限あり → アクティブ・パッシブによるROM訓練開始
  • 3週目:ROM制限消失
  • 通院頻度を週1回へ変更
  • 三角筋部に違和感 → EMSにて筋促通

約1か月後のエコー評価では、わずかに棘上筋腱の膨隆は残存していましたが、 疼痛・ROM制限ともに消失し、日常生活に支障がないことから治癒と判断しました。

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④ 来院時(受傷3日目)と1か月後のエコー対比

まとめ

初動の速さと、エコーによる腱の状態把握により、 損傷の程度を正確に評価し、適切な加療を行うことができた症例です。

急な肩の痛み・外傷でお困りの方へ

当院では急患対応を行っております。
今回のように、突然肩が上がらなくなった・強い痛みで眠れないといった場合も、 可能な限り時間を調整し対応いたします。

骨折・脱臼・捻挫・肉離れ・ぎっくり腰などの急性外傷は、 LINEまたはお電話にてご連絡ください。

※本ページは柔道整復師による施術・応急対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状や経過によっては医療機関での精密検査が必要となる場合があります。

 

 

2025-12-25 14:32:00

中手骨頸部骨折

中手骨頸部骨折の症例報告|ナックルキャスト固定とエコー観察|よねくら接骨院(稲城市)

【症例報告】第4・第5中手骨頸部骨折(転倒で手をついた)

エコー観察+整復+ナックルキャスト固定

今回は、自宅で転倒し壁に手をついた際に受傷した第4・第5中手骨頸部骨折(多発)の症例報告です。 受傷が18時過ぎで整形外科の診療時間外だったため、患者さんより当院へお電話をいただき、応急対応として来院されました。 予約なしでの来院でしたが、所見より救急性が高いと判断し、当院で対応しました。

患者情報と受傷状況

  • 30代 男性
  • 受傷機転:自宅で転倒し、手を壁について負傷
  • 来院経緯:整形外科が時間外のため当院へTEL → 応急来院

初検時の所見

  • 右第4・第5中手骨頭部周辺に強い圧痛、介達痛
  • 手背〜手部全体に腫脹
  • 運動時痛が強く、手関節より末梢の自動運動が困難
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受傷時:手部全体の腫脹

当院でのエコー観察と応急整復

触診所見に加えて、当院では超音波画像観察(エコー)を行い、骨皮質の連続性や転位方向などを確認します。 本ケースでは、第5中手骨頸部および第4中手骨頸部に骨折が疑われる所見を確認し、 さらに転位(遠位骨片が掌側方向)が疑われたため、応急的に整復を行いました。 ※当院は医師のような「診断」はできないため、ここでは「判断」「疑い」として記載しています。

中手骨頸部骨折で用いられる代表的な整復方法

中手骨頸部骨折では、MP関節を屈曲位にしてテコの原理を使い、掌側へ転位した遠位骨片(中手骨頭側)を背側へ戻す整復の考え方が用いられます。 ここでは「一人でも行える」代表手技のイメージとして、一般化した手順を示します(状態により適否は異なります)。

  1. 前腕〜手を安定させ、腫脹・皮膚状態・循環(色/冷感)・しびれの有無を確認。
  2. MP関節を約70〜90°屈曲位へ誘導し、近位指節骨を支点として使える姿勢を作る。
  3. 中手骨頭部(遠位骨片)を、背側方向へ押し上げるように圧を加え、アライメントを整える。
  4. 整復位が得られたら、その位置を保持したまま固定へ移行する。

※強い変形、循環・神経症状、皮膚トラブル、痛みの反応が強い場合などは、医療機関での評価が優先されます。

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応急整復:整復操作および応急シーネ固定

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エコーでの整復前・整復後イメージ

整復の前後でエコー観察を行い、骨皮質の段差やアライメントの変化を確認しました。 画像で変化を確認できることは、固定肢位の妥当性や再転位リスクの説明にも役立ちます。

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エコー:第5中手骨
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エコー:第4中手骨

固定と整形外科への対診

整復後は、シーネによる固定と三角巾による肘の保持(挙上位)で安静を確保し、整形外科へ対診しました。 整形外科にて第4中手骨および第5中手骨頸部骨折と診断され、整復位良好との評価のもと、当院での保存的な対応(固定管理と経過観察、施療)を行う指示をいただきました。

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整形外科:X線画像(整形外科医の好意による)

固定の変更:シーネ固定 → ナックルキャスト固定

受傷から約1週間後、腫脹や皮膚状態を確認した上で、固定をシーネ固定からナックルキャスト固定へ変更しました。

ミニコラム:ナックルキャスト固定とは?(中手骨頸部骨折での考え方)

ナックルキャスト固定は、拳(ナックル)周囲の形状と指の肢位を意識して作成するキャスト固定で、 主に中手骨頸部骨折などで選択される固定方法の一つです。 目的は、単に骨折部を「固める」ことではなく、骨折部の安定と手指機能の温存を両立させることにあります。

中手骨頸部骨折では、骨折部が掌側へ転位しやすく、また固定方法によっては MP関節(指の付け根)が硬くなりやすいという特徴があります。 そのため、当院では状態に応じて、 MP関節を屈曲位(目安:70〜90°)に近づけた肢位を意識した固定設計を行います。 これは、いわゆる「安全肢位(intrinsic plus)」の考え方を応用したものです。

ナックルキャスト固定の利点は、屈曲拘縮を予防しやすい点にあります。 一般的な手関節〜手指を一体で固める固定では、固定解除後に 「握りにくい」「指が最後まで曲がらない」といった訴えが残ることがあります。 ナックルキャストでは、拳の形を保ちやすいため、 固定後のROM(可動域)訓練へ比較的スムーズに移行しやすい傾向があります (※回復には個人差があります)。

私自身、整形外科勤務時代に上肢外傷の固定設計を学び、 ナックルキャスト固定の作成経験を積んできました。 一方で、柔道整復の現場ではナックルキャストの作成経験が十分でないケースも少なくなく、 固定は「作って終わり」ではなく、皮膚・循環・しびれの確認と経過管理が重要だと考えています。

当院では、医師の評価(対診)と方針を共有した上で、 固定力・肢位・日常生活への影響を総合的に考慮し、ナックルキャスト固定を選択しています。

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ナックルキャスト固定 作成

LIPUS加療のための開窓処置

固定管理の一部として、医師の同意・指示のもとでLIPUS(低出力パルス超音波)を行うため、 キャストに開窓処置を行いました。固定力を保ちつつ、骨折部位へ安定してプローブを当てやすくなり、骨癒合を促進致します。

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開窓処置:LIPUS加療のため

LIPUSの根拠(参考文献)

  • Heckman JD, et al. Acceleration of tibial fracture-healing by non-invasive, low-intensity pulsed ultrasound. J Bone Joint Surg Am. 1994.
  • Kristiansen TK, et al. Accelerated healing of distal radius fractures with the use of specific, low-intensity ultrasound. J Bone Joint Surg Am. 1997.
  • Schandelmaier S, et al. Low intensity pulsed ultrasound for bone healing: systematic review of randomized controlled trials. BMJ. 2017.

固定期間と経過(ROMと拘縮予防)

固定中に行ったこと

  • 医師の同意・指示の範囲でLIPUSを併用(固定管理の一部として)
  • 固定範囲内でのROM運動(無理のない範囲で)を早期から実施し、関節拘縮の予防を図る

ナックルキャスト固定期間

ナックルキャスト固定は一般に2〜3週が一つの目安になりますが、本ケースは第4・第5の両骨折であることも踏まえ、 固定をやや長めに確保しました。固定終了は11月10日で、受傷日(10月8日)から約4週間半(約33日)の固定期間となりました。

キャスト除去後:ラジオ波併用でROM訓練へ

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キャスト除去後は状態を確認しながら、ラジオ波を併用してROM訓練を開始しました。 ナックルキャスト固定は屈曲拘縮を予防しやすい反面、固定の影響で伸展方向のROM低下が目立つことがあります。 ただし、伸展方向の可動域は比較的改善しやすいことも多く、反応を見ながら段階的に進めました(※個人差があります)。

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キャスト除去後:ROM訓練

対立運動(母指)もあわせて

手の機能は曲げ伸ばしだけでなく、母指の対立運動(つまむ・握るの要)も重要です。 本ケースでは対立運動も低下していたため、痛みや腫れの反応を見ながらROMを実施しました。

最終評価

  • 痛み:なし
  • ROM:問題なし
  • 日常生活:支障なし
  • 手先を使う仕事:支障なし

以上より、経過と機能面から総合的に判断し12月中旬に「治癒」となりました。

よくある誤解

「動くから大丈夫」→ 受診が遅れる

手の骨折は、ある程度動いてしまうこともあります。しかし転位があると、握る・つまむ動作に影響が出ることがあります。 強い圧痛、介達痛、腫脹、運動時痛がある場合は、早めに医療機関への相談をご検討ください。

「固定は短いほど良い」→ 早すぎる除去で再転位リスク

固定は短ければ良いわけではなく、骨折の部位・転位・本数(単発か多発か)などで必要期間が変わります。 本ケースも、両骨折である点を踏まえ、経過を見ながら固定期間を調整しました。

免責・注意
本ページは、よねくら接骨院の施療内容を紹介する症例報告です。接骨院では医師のような診断はできないため、当院内の所見は「判断」「疑い」として記載し、最終的な診断は医療機関(整形外科)の評価に基づきます。症状が強い場合や骨折が疑われる場合は、速やかに医療機関の受診をご検討ください。

2025-11-21 15:51:00

小児の足関節裂離骨折の症例報告

小児の足関節裂離骨折の症例報告(8歳男児)

子どもの足首のケガは、外見では軽い“捻挫”のように見えても、実際には骨が少しはがれる「裂離骨折」であることも珍しくありません。
とくに遊びやスポーツ中の転倒は多く、保護者の方も「どこまで心配すべきか」迷いやすいところです。
今回ご紹介するのは、公園での鬼ごっこ中に転倒した8歳の男の子の症例です。
エコーでの細かな観察により骨の状態を確認し、適切な固定と医療機関との連携のもとで回復を目指したケースをご紹介します。

患者データと初期評価

  • 年齢・性別:8歳 男児
  • 受傷日:9月23日
  • 受傷原因:鬼ごっこ中に転倒し、右足関節を強く捻って負傷
  • 来院経緯:当院で施療を受けた友人の紹介

初検時の状態

  • 外踝部の強い腫脹、限局性の圧痛
  • 歩行困難(ケンケン歩行)、熱感あり
  • 小児の骨折は見逃されやすいため、視診だけでの判断は困難

エコー観察による診断

腓骨遠位端に裂離した骨片を確認。
小児に多い裂離骨折であり、レントゲンでは見逃されることもあるタイプです。

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応急施療と処置

  • 屈曲整復による骨片整復
  • L字シーネ固定、アイシング
  • 松葉づえを使用した免荷(NWB)指導
  • 整形外科への対診 → 骨折診断・LIPUS指示を受ける

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松葉づえによる免荷

経過と回復の推移

9月下旬(施療初期)

  • LIPUS開始(医師判断)、小児無料・1回200円の医療助成適用
  • 固定をJシーネへ変更し、LIPUS併用を可能に

10月7日(受傷約2週間)

  • 血腫境界明瞭、仮骨形成を確認
  • 腫脹の軽減、圧痛一部残存

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10月17日(受傷約3週間)

  • 血腫縮小、骨片の癒合進行をエコーで確認
  • 腫脹・圧痛ともに消失 → 医師より全荷重(FWB)許可、固定解除
  • 軽量サポーター装着、ROM訓練開始

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10月23日(受傷約1か月)

  • 癒合ほぼ完了、医師および当院判断で施療終了
  • ROM(可動域)も良好に回復

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治癒期間の比較

一般的には、小児の足関節裂離骨折は:
癒合に4〜6週間
スポーツ復帰まで6〜8週間
かかるとされています(医療文献・臨床傾向による一般論)。

本症例では、
エコーでの早期判断、Jシーネによる適切な固定、医師の判断によるLIPUS併用、荷重コントロールなどが組み合わさり、
約3週で癒合が確認され、約1か月で施療終了となりました。

もちろんこれは“本症例の経過”であり、すべての骨折が同じ経過をたどるわけではありませんが、適切な判断と施療環境により、良い経過を目指しやすくなると考えられます。

LIPUS(低出力パルス超音波)について

骨癒合を促進する補助療法として、医師の指示のもとでLIPUSを使用しています。
小児には無料で対応しており、保護者様のご負担も少なくご利用いただけます。

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当院利用の伊藤超短波「オステオトロンV」厚生労働省認可医療機器

根拠文献:
Heckman JD, et al. J Bone Joint Surg Am. 1994.
Rubin C, et al. J Orthop Res. 2001.

料金について

小児の場合、LIPUSは無料。

※令和8年1月より学生で骨癒合促進利用の場合は、当院での初検処置をされ引き続き加療を受ける方には0円で、他の医療機関、接骨院にて初検処置後、当院にてLIPUS利用目的のみで加療を受ける方は半額(1回600円・一か月フリーパス4,800円)で利用可能となりました。


通常の施術も医療助成制度により1回200円程度の自己負担で対応可能です。
詳しくは受付にてご案内いたします。

※本ページは柔道整復師による施術・応急対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状や経過によっては、医療機関での精密検査・処置が必要となる場合があります。
LIPUSの実施には医師の同意が必要です。

 

 

 

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