症例報告(3/9UP)
変形性膝関節症の症例報告
症例報告:変形性膝関節症(70代女性・中等度の変形)
【病状】
70代女性の患者様は、2~3年前から左膝の痛みが始まり、その後右膝にも痛みが発生。
階段の上り下りや、長時間座った後の立ち上がり時に強い痛みを感じ、日常生活が困難になっていました。
運動不足による体重増加もあり、歩行時の痛みがさらに悪化していました。
整形外科で定期的にヒアルロン酸注射を受けていましたが、痛みは改善せず、むしろ悪化。
このままでは歩くことがさらに大変になるのではと不安を感じ、当院を受診されました。
エコー検査では、KL分類3度程度の変形と関節水腫が確認され、可動域も制限されている状態。
炎症を抑えて関節の動きを良くするために、治療を開始しました。
【治療内容】
初診時の評価では、痛みが強く、膝の動きもかなり制限されている状態。
そのため、できるだけ早く痛みを和らげ、動けるようにすることを目標に、次の施術を組み合わせました。
✅ ラジオ波(高周波温熱療法)
→ 深部まで温めて血流を促進し、筋肉や関節の柔軟性を高める
✅ LIPUS(低出力超音波治療)
→ 軟骨の修復を助け、炎症を抑える
✅ EMS(電気筋肉刺激)
→ 膝を支える筋肉を活性化し、膝関節の安定性を高める
✅ ハイボルト(高電圧電流刺激)
→ 炎症を抑え、痛みを軽減する
【現在の状況】
現在、週2回の通院ペース(2/W)で施術を継続中です。
治療開始から3週間後には痛みが軽減し、歩行時の負担が軽くなりました。
関節の可動域も少しずつ広がり、膝の安定性も向上。
その後、2カ月目から徒手的運動療法(ストレッチや筋力トレーニング)を開始。
特に、臀部・大腿四頭筋・下腿部の筋力を強化し、膝関節の負担を軽減することを目指しています。
🔹 今後の目標
- 関節の動きをさらにスムーズにすること
- 階段の昇降が楽にできるようにすること
- 痛みが再発しないように筋力をつけること
【ヒアルロン酸注射について】
患者様は整形外科で定期的にヒアルロン酸注射を受けていましたが、痛みの改善は見られず、次第に悪化していました。
近年、欧米ではヒアルロン酸注射は推奨されなくなってきています。
その理由として、以下の点が指摘されています。
📌 効果がほとんどない可能性
👉 研究によると、ヒアルロン酸注射の効果はプラセボ(偽薬)とほとんど変わらないことが分かっています。
📌 関節の炎症を悪化させる可能性
👉 ヒアルロン酸注射を続けることで、関節の炎症が進み、長期的には軟骨がすり減るリスクがあるとも言われています。
📌 国際的なガイドラインで非推奨
👉 アメリカ整形外科学会(AAOS)や英国NICEでは、ヒアルロン酸注射は効果が不確かであるとして推奨されていません。
【LIPUS(低出力超音波治療)について】
一方で、LIPUS(低出力超音波治療)は変形性膝関節症に効果が期待できる治療法として注目されています。
📌 軟骨の修復を助ける
👉 研究によると、LIPUSは軟骨細胞の増殖を促し、関節軟骨の修復を助けることが確認されています。
📌 炎症を抑え、痛みを軽減する
👉 超音波の刺激によって、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)が減少することが報告されています。
📌 関節の動きを良くし、歩行能力を改善
👉 実際に、LIPUSを使った患者さんの多くが関節の可動域が改善し、歩行時の痛みが軽減したという臨床研究の結果もあります。
📌 欧米のガイドラインで推奨され始めている
👉 最近では、**ヨーロッパのリウマチ学会(EULAR)**などでも、運動療法と組み合わせることでより良い結果が得られると推奨されています。
当院では、LIPUS治療を推奨しています。
【参考文献】
🔹 ヒアルロン酸注射に関する研究
- Bannuru, R. R., et al. (2019). 「変形性膝関節症に対する関節内ヒアルロン酸注射の有効性:系統的レビューとメタアナリシス」 JAMA.
- Altman, R. D., et al. (2022). 「変形性膝関節症における炎症とヒアルロン酸の役割」 Arthritis Research & Therapy.
- 日本整形外科学会 (2021). 「変形性膝関節症診療ガイドライン」
🔹 LIPUSに関する研究
- 田中英俊 他 (2016). 「低出力パルス超音波治療が軟骨細胞の増殖と機能に与える影響」 日本整形外科研究誌.
- Zeng, C., et al. (2020). 「低出力パルス超音波治療の変形性膝関節症への有効性:システマティックレビューとメタアナリシス」 Clinical Rehabilitation.
- Rutgers, M., et al. (2021). 「LIPUSとヒアルロン酸注射の比較:変形性膝関節症患者を対象とした無作為化比較試験」 Osteoarthritis and Cartilage.
- EULAR(欧州リウマチ学会)(2022). 「変形性膝関節症の理学療法管理に関するガイドライン」
内側側副靭帯損傷~膝関節~少年サッカー試合中の負傷
いよいよ11月🪔 肌寒さが増す季節、雨も冷たく感じられますね。温かくしてお過ごしください。
今日は、先月来院された膝関節の内側側副靭帯損傷のお話です。
膝関節の内側側副靱帯(MCL)損傷は、膝の内側にある靱帯が伸びたり、部分的に裂けたり、完全に断裂したりするけがです。特にスポーツ活動中に多く見られ、膝に外側から強い力が加わったときや、急な方向転換、ジャンプの着地などが原因で発生します。いわゆるニー・イン・トゥ・アウト(膝が内側に入り、足先が外に向いている姿勢)でも発生します。
膝の内側側副靱帯(MCL)損傷時は、他に前十字靱帯(ACL)や内側半月板と同時に損傷することが多いです。
特に
「アンハッピー・トライアド」
(不幸の三徴候)
として知られる損傷パターンでは、MCL、ACL、内側半月板が同時に損傷します。また、関節包や骨挫傷、骨折を伴うこともあります。MCL損傷が疑われる際は、これら他の構造も含めた評価と治療が必要です。
当院では、各徒手テストを施行後、エコーでの評価を行います。
今回は小学生でサッカーの試合中に発生。シュート直後に相手と交錯し、右脚をついて転倒した時に受傷されました。
転倒した後、すぐに立てたか?
問診の時のこの質問はすごい重要です。これで損傷具合がある程度予測できます。
そして、徒手テスト。外反ストレステストが+で、マックマレー-、前方引き出しテストは緩さはありましたが、左右差はありませんでした。
最初の質問と徒手テストで予測し、エコーで視覚的な評価も行います。
エコーで観ると、やはりMCLの損傷があるようです。半月板は大丈夫。ACLも問題ないようです。関節内に水腫も確認できましたが、微量で血腫ではないようです。
程度は軽めの損傷ですが、親御さんやチームトレーナーさんのご心配もあったので、整形外科に紹介しMRIで診てもらうことにしました。
結果、MCLの単独損傷との事で、後療はこちらで行ってもよいとの承諾も得ました。
早速、ハイボルトによる痛み止め、LIPUSとマイクロカレントによる治癒促進を狙った治療を行っています。
早く復帰できるといいですね!
★当院では、休日や時間外の急患の対応もしております。
骨折や脱臼、捻挫、打撲、ぎっくり腰でお困りの方は、LINEにてご連絡ください。
可能な限りご対応致します。
ベーカー嚢腫~急な膝裏の痛みを感じたら~
今回はベーカー嚢腫の患者さんです。
ベーカー嚢腫の症例報告は2例目ですが、今回は痛みを強く伴うものでした。
★高齢者や50代以上の女性の方に多い★
今回は70代、女性の方で、先週初めごろから急に痛み始めたとの事。「急に」と仰っていましたが、話を聞いていくと前日に高尾山に行って1万歩以上歩いたとの事・・・。水泳に通ったりと非常に元気な方です。
痛みが強く整形外科を受診するも、レントゲン撮影後、変形性膝関節症の診断。
湿布を出されて様子見で、変形も強いため手術も勧められたとの事。
それでもなかなか痛みも引かず、普段は普通に歩けていることから手術に対しても前向きではないため、当院へ受診となりました。
★エコーで強めの変形性膝関節症を確認しましたが…
左:変形性膝関節症 右:ベーカー嚢腫像
まずはエコーで診てみると変形は確かに強いです。ここまで強いと人工関節置換術を進める医師の判断も理解できます。
ですが、これだけ変形はあっても、ご本人は普段はほとんど生活に困っていないとの事。確かに、高尾山を歩けるぐらい元気なお膝なのです。
また最近の研究で変形膝関節症と痛みは必ずしも一致しないことがわかってきました。痛みの原因は、お膝の変形そのものではなく、他に原因があるのです。
画像検査で変形が強いと言われても、必ずしも人工関節の適応とは言い切れないかもしません。
★ベーカー嚢腫による痛み
患者さんは、膝の裏側に痛みや違和感があると訴えています。動き始めが痛かったり、膝を伸ばすと痛む。
もちろん、エコーで膝裏も確認。すると、やはりありました。ベーカー嚢腫。まだまだ小さめですが、これがすこし悪さをしているのかもしれません。
ベーカー嚢腫は、レントゲンではわからず、触診だったりエコー検査、MRI検査で判明することがあります。
★ベーカー嚢腫の治療法
手術療法もありますが、ほとんどは保存療法が一般的となっています。
病院においては、嚢胞に注射を打ち液体を吸引することもありますが、再発することも少なくなく、根本的な改善が求められます。
★よねくら接骨院での治療
当院は接骨院ですので関節への注射や薬物療法などは行えません。物理療法を用いて治療にあたります。
①LIPUS
低出力超音波パルス療法でお膝の軟骨の再生を促したり、軟骨破壊を抑制させます。
②ハイボルト
ハイボルテージ電気療法にてお膝の関節にたまったお水の再吸収を促し、炎症を抑えます。
③EMS
EMSで大腿四頭筋を動かし筋ポンプ作用にてお膝のお水の再吸収を助けます。
④運動療法
お膝周囲や骨盤部、下肢の筋へアプローチし、膝関節の可動域改善をめざします。
ベーカー嚢腫はお膝のお水が後方に溜まってしまった病態なので、まずはお水を縮小させることが必要です。そして、お水を溜めてしまう変形性膝関節へのアプローチも必要です。
痛み自体は、すぐに軽減されますが、根本的なものとなると長い目で見なければなりません。
当院では、だいたい1ヵ月から3ヵ月の間で、エコー検査で評価を行いながら治療を行っていきます。
変形性膝関節症治療計画の一例
膝裏のふくらみ~ベーカー嚢腫~
今回はベーカー嚢腫です。
女性、特に中年以降の方に多いのですが、膝の後ろに膨らみがあって気になる、ということはございませんか?
それはきっとベーカー嚢腫かもしれません。
ベーカー嚢腫とは、膝の裏にある滑液包とういわば「膝関節の緩衝材」が炎症を起こして膨らんでしまっている病態のことを指します。
膝関節の関節液の分泌量とも関係があるとみられ、変形性膝関節症や関節リウマチ、痛風、激しいトレーニングなどで、慢性的に関節液が過剰に分泌され、関節包から滑液包へと溢れだし、そこに貯留した状態、であると考えられています。
上述の様に、変形膝関節症の方に多く、そのためか、中年以降の女性の方に多くみられると考えられます。
(札幌スポーツクリニックさんHPより転用)
今回の患者さんは、当院にて加療する前は、医科にてヒアルロン酸の注射を受けておりました。膝の痛みが引いた後も定期的に1年以上、続けていたそうです。そのうち、ヒアルロン酸を打ち続けていても痛みが治まらず、当院への来院となり、2か月ほどの加療を行い回復。ヒアルロン酸注射も現在は行っていないようです。
今回、1カ月ぶりに来院され、膝の裏のふくらみが気になってきたとの申告があったのでエコーを撮ってみることに。
触診では、膝関節膝窩部内側から腓腹筋内側頭起始部あたりまで膨らみがありましたが、それに沿ってエコーを撮ってみると、境界明瞭な低エコー上像としてベーカー嚢腫が描写されました。
ベーカー嚢腫は良性腫瘍なので問題ないのですが、トラブルを抱えるであろうリウマチ性ベーカー嚢腫や、ほかの腫瘍性病変との鑑別もこのエコー状態で判別が可能です。
とりあえずは良性のベーカー嚢腫ですが、何らかの原因で破裂したり、また肥大しすぎると関節可動域制限を起こしてしまったり、周囲の血管を圧迫したりしてトラブルの原因となることがあります。
お膝の炎症を抑えていく加療を行うことで(=抗炎症薬という訳ではありません。保存的治療も含まれます)、徐々に消退することが多く、当院でもそれに準じた施療を行います。
別の方法として、注射による穿刺吸引や手術による摘出術も選択肢として挙げられますが、一番最後の方法として捉えたほうが良いようです。
★ベーカー嚢腫は当院のエコーでも判別が可能です。
エコー検査のみなら初診の方で1,600円、再診の方なら500円で検査可能で、お時間も10~20分程度で済みます。
もしお膝の裏側のふくらみが気になるようでしたら、一度ご来院ください。
膝の打撲~打撲をエコーで見てみると?~
今回は、膝の打撲です。
患者さんは、44歳男性、稲城市在住、趣味はボルダリングと登山、子供とキャンプ。
ボルダリング中にスタートでミスをしてしまい、膝をホールドに激しく打ち付けました。
えっと、私です。米倉が今回の患者さんです。
打撲により今回は筋の挫滅傷が見受けられました。強い打力が筋組織を圧迫し、筋挫傷を伴わせた状態です。
エコーにおいても、筋の損傷と出血が見受けられます。
受傷直後は少しの出血を伴っておりましたので、水道水で傷口を洗い流した後、軟膏を塗りこんだガーゼを患部に当て、テーピングで抑えて絆創膏としておしましです。
水道水でも十分な殺菌効果があると昔教わったことがあります。消毒液、沁みるじゃないですか・・・。
筋挫傷は1週間ほどで回復すると言われています。1週間後、またエコーで確認してみましょう。
みなさんも怪我には十分気を付けて、そして怪我した場合は速やかな処置を行ってください!