症例報告(11/19UP)
ぎっくり腰~仙腸関節性の急性腰痛
「ぎっくり腰の症例報告」
こんにちは。11月に入り、ここ最近は急に冷え込んできましたね。寒さが増してくると、筋肉や関節にかかる負担が大きくなり、トラブルが増える傾向にあります。特に今シーズンは、ぎっくり腰や筋肉の肉離れが多く、先週だけでぎっくり腰が3件、肉離れが2件の来院がありました。
さて、今回も急な腰痛、いわゆる「ぎっくり腰」で来院された患者さんの症例をご紹介します。
≪患者さんの受傷経緯≫
今回の患者さんは、子供と遊んでいる際に中腰姿勢から体を起こそうとした瞬間、腰に激しい痛みが走り、動けなくなったとのことです。診察の結果、ぎっくり腰と診断しましたが、今回は特に仙腸関節(せんちょうかんせつ)のズレが原因であることが確認されました。仙腸関節は骨盤の安定を支える重要な部位ですが、急な動作や不安定な体勢で負荷がかかるとズレが生じ、激しい痛みが発生しやすくなります。
◎仙腸関節痛の症状と鑑別テスト
仙腸関節のズレによる痛み(仙腸関節痛)は、通常の腰痛と見分けがつきにくいため、以下のテストを行い確認します。
★ニュートンテスト
方法: 患者さんをうつ伏せにし、仙骨(仙腸関節の中央にある骨)を上から押し、関節に動きを与えます。
結果: 仙骨を圧迫した際に痛みが出る場合、仙腸関節のズレや炎症が疑われます。
★HIBBテスト
方法: 患者さんをうつ伏せにし、片膝を90度に曲げ、股関節を内旋(内側にひねる動作)させ、仙腸関節にストレスをかけます。
結果: この動作で痛みが生じる場合、仙腸関節の障害が疑われます。
◎よねくら接骨院での治療とケア
当院では、仙腸関節痛に対して以下の治療を行い、早期回復を目指します。
ラジオ波治療:
温熱作用で仙腸関節周囲の筋肉と靱帯を弛緩させ、痛みの緩和と可動域の回復を促進します。
トムソンベッドによる矯正:
トムソンベッドを使用してズレた仙腸関節を矯正し、安定化を図ります。
ハイボルト治療とマイクロカレント:
炎症と痛みの抑制を目的とし、鎮痛・抗炎症効果を発揮します。
通常、当院では骨盤ベルトやコルセットは使用せず、患者さん自身の回復力を引き出すことを目指して治療を行います。治療後、数日で日常生活レベルでは問題なく動けるようになりますが、完全な回復と再発防止を目指し、リハビリ期間を含めて1カ月ほどフォローを継続いたします。
これからの季節、気温が低下すると筋肉や関節のトラブルが増加しますので、皆さまもどうぞご自愛ください。
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急性腰痛(ぎっくり腰)
今回は、特定の症例という訳でなく、一般的にぎっくり腰(急性腰痛)で来院される方に対する私なりの考えです。
一言でぎっくり腰といっても、その原因は多岐にわたります。
多岐にわたりますが、医学的にはほとんどが原因が特定できない腰痛「非特異的腰痛」として診断されてしまいます。
★非特異的腰痛と特異的腰痛
「ぎっくり腰になってしまい、病院に行ったが、レントゲンを撮って異常が見当たらず、とりあえずシップとコルセット、痛み止めを処方され、あとは安静指示をされた」
そういう経験をされた方は多いと思います。非特異的腰痛はレントゲンやMRI、CT等での画像所見で異常が判別できないことが多いのです。
逆に、「特異的腰痛」は、レントゲンやMRI、CTなどで異常が見つかり適切な診断名が出ることになります。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折、他に、内科的には消化器系や泌尿器系の異常や尿路結石、子宮筋腫、解離性大動脈、悪性腫瘍も挙げられるかもしれません。この場合、適切な治療を進めていくこととなると思います。
★仙腸関節障害
今回紹介するのは、非特異的腰痛のぎっくり腰の中でも比較的多いと思われる「仙腸関節障害」を上げさせていただきます。
米倉の経験上でも多くを占めている病状です。
ぎっくり腰を経験された方に多いのは、やはり中腰姿勢からの立ち上がった時に「グキッ」とくることではないでしょうか?特に、仕事や作業で同一姿勢が続いて筋疲労が蓄積している時に前述の動作で強い痛みが腰部に出ることが多いと思います。
中腰姿勢では、背部の筋肉や臀部の筋肉、そして太腿の筋肉が特に緊張していますが、緊張により疲労が蓄積し筋肉の伸展性が失われ、そこから急な動作をしたときに関節に強いストレスを加えることで関節痛を引き起こす、そしてこの場合の関節とは、仙腸関節だったりします。
★仙腸関節は不動関節?
仙腸関節は、医学的には「不動関節」と言われ、動くことはないと教科書には記載されていますが、実際には歩行時などに数ミリ程度は動くことが確認されています。その数ミリ程度のズレが適切値を超えたときに、猛烈な痛みを発する、これがぎっくり腰の一種であると考えられているのです。
産後腰痛も仙腸関節障害
関節のズレが急な場合、ぎっくり腰となりますが、実はこの不動関節は、例外として出産時に大きく動きます。仙腸関節が動かなければ産道が狭いままですからね。そしてしばらく不安定な状態となり炎症が生じ痛みができます。即ち、産後腰痛の原因となります。
産後腰痛に関してはまた後日報告するとして、仙腸関節のズレを元に戻してあげれば、腰痛が軽減される、という答えが導き出せますね。
★どうやって治す??
当院では、まずラジオ波で過緊張となっている仙腸関節周りの筋肉や靱帯を緩めていきます。
あまりラジオ波で熱を加えすぎると痛みが強くなってしまうので、ラジオ波を当てるのはほんの数分ほどです。数分で十分に筋肉や靱帯の弛緩が得られるのが、ラジオ波の特徴です。
そして、次にトムソンベッドを駆使してズレた仙腸関節を元に戻します。姿勢全体を矯正するわけではないので、これも数分で終わります。
最後に、痛みの原因である発痛物質を取り除く目的でハイボルテージを腰部に当てます。だいたい10分程。痛みの強さによっては、アイシングも行います。
★最後はやはり自分の治癒能力
以上の施術で、仙腸関節障害タイプのぎっくり腰は、8割方軽減することが多いです。ただし、グキッときてズレた際に生じた炎症や痛みは、生理的な治癒能力に左右されることが多く、完全に良くなるには数週間はかかると考えています。
ちなみに、コルセットはあまり勧めていません。コルセット等を用いて腰部を固定することは、期待できる痛みの軽減効果よりも腰部の動きを悪くし=筋肉の筋緊張改善や血流を悪くし、回復能力を下げてしまうデメリットの方が大きいからです。また、最近の医学界でも、非特異的腰部痛は安静にせず日常生活レベルで動かした方が、復帰が早いというのが常識になってきています。
最後に
まず大事なのは、この腰痛が何なのか?を鑑別することから始まります。特異的腰痛なのか非特異的なのか?非特異的の場合、関節なのか筋肉なのか?特異的腰痛は、診断に画像所見が必要となり接骨院ではそれができませんが(エコーでの腰部痛の判断は難しいと思われます)、ある特定の判断基準を守っていれば、鑑別することができると考えています。
非特異的腰痛は、なかなか完璧には判別は難しいところはありますが、それでもいくつかのテストやパターン分けを行い適切に判断するよう心がけています。
特にぎっくり腰は、シップを貼って安静にしているよりは、積極的に施術することのほうがメリットが大きいと考えています。皆さんも、ぎっくり腰で悩まれたときは、病院に行くのも良いとは思いますが、一度接骨院に通ってみてください!