症例報告(1/27UP)
腰椎分離症(腰椎疲労骨折)の症例報告
腰椎分離症折(腰椎疲労骨折)の症例報告
第五腰椎に起こりやすい、椎弓部の疲労骨折を指す
患者さんの基本情報
- 年齢:13歳(中学1年生)
- 背景:サッカー部に所属するスポーツ青年。12月下旬の練習中に鋭い腰痛を訴え、整形外科で腰椎疲労骨折の疑いを指摘される。その後、別の整形外科にてMRI検査が行われ、腰椎疲労骨折の確定診断を受ける。
腰椎分離症の病期と重要性
腰椎分離症は以下の3段階に分けられます:
- 初期(疲労性骨膜炎期):骨膜や骨にストレスがかかり炎症が起きた状態。この段階で適切な治療を行えば100%治癒が期待できます。
- 進行期(不完全骨折期):疲労骨折が生じた状態で、骨癒合が可能な段階。治療により約50~80%の治癒率が期待されます。
- 末期(分離期):骨が完全に分離し、癒合が不可能な状態。慢性腰痛や運動制限のリスクが高まります。
今回の患者さんは初期~進行期で、早期治療が重要な段階と判断されました。
左から 初期 進行期 末期
臨床スポーツ医学25:759~765.2008より一部抜粋
MRI読影と当院のアプローチ
当院では、医師が撮影したMRI画像をもとに病期を評価し、患者さんやご家族へ治療計画をわかりやすく説明しています。院長の米倉は整形外科勤務歴7年の経験があり、MRIを含む画像診断の読影スキルを活かして適切なサポートを行っています。今回の患者さんについても、MRI画像を確認した結果、初期~進行期に該当すると判断し、早期回復を目指した治療方針を提案しました。
医師の許可を得て、患者さんよりお預かりをし、親御さんに説明を行いました。
LIPUS治療が推奨される理由
腰椎疲労骨折の治療には、**LIPUS(低出力超音波治療器)**が科学的に効果的であることが証明されています。
- 骨癒合率向上:通常の骨癒合率(51.8%)がLIPUS治療により80.9%まで向上した研究報告があります。
- 治療期間短縮:治癒期間を約41.6%短縮するエビデンスがあります。
- 非侵襲的:痛みを伴わず、1回20分間寝ているだけで実施可能です。
当院でLIPUS治療中の写真。側臥位+体幹屈曲位で棘突起を張り出させ、LIPUSを20分照射する。
参考文献
「成長期腰椎分離症に対する低出力超音波パルス治療の効果 照射の有無および頻度が治療期間に及ぼす影響」
「思春期腰椎分離症の分離部骨癒合促進を目的とした 低出力超音波パルス治療(LIPUS)の応用」
成長期の子どもたちにも安心して利用できる治療法として推奨されています。
料金と利用条件
よねくら接骨院では、高校生以下の患者さんに対して、LIPUS治療を無料で提供しています。また、医療助成制度の利用により、患者さんのご負担を軽減する料金体系を整えています:
- 東京都内在住(医療助成制度利用):1回0円~200円程度
- 都外在住(保険適用):3割負担で1回500円
※LIPUS治療の料金は、医師の骨折治療への同意が得られている場合に限ります。
※通常料金について(注釈)
医師の同意が得られない場合、保険適用は不可となり、以下の料金が適用されます:
- 施術料:1回1,300円+LIPUS利用料(10分500円、20分1,000円)
- 初診時:別途検査料が加算される場合があります。
現在の治療経過とリハビリ
現在、患者さんは毎日当院でLIPUS治療を受けており、整形外科ではリハビリや関節可動域訓練を並行して実施しています。腰椎疲労骨折の原因の一つに股関節や脊椎の可動域低下が挙げられるため、LIPUS治療と適切なリハビリが重要です。
考察
腰椎分離症は、早期診断と適切な治療が回復を左右します。特に初期段階での対応が不可欠であり、治療を遅らせると骨癒合が不可能になり、慢性腰痛や運動障害のリスクが高まります。
当院では、エビデンスに基づくLIPUS治療や、患者さん一人ひとりに寄り添った説明を通じ、最適な治療を提供しています。医師との連携も重視し、安心して治療を受けていただける環境を整えています。
腰部脊柱管狭窄症
◎脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症は、脊柱管(背骨の中にある神経の通り道)が加齢や骨の変形、靱帯の肥厚などで狭くなることで、神経を圧迫し、腰痛や足のしびれ、感覚鈍麻、歩行困難を引き起こす疾患です。特に間欠性跛行(一定距離を歩くと痛みやしびれが強くなり、休むと改善する症状)が特徴的です。
★患者さんの経緯★
今回の患者さんは70代後半の男性。昨年11月に来院されました。主な症状は左足の甲へのしびれと感覚低下。しかし、腰痛は現在は無いとのことです。趣味はソフトテニスですが、散歩中に気になる症状が…。
患者さんに詳しくお話を伺うと、散歩をしていると3分ほどで腰から左足にかけて痛みが強くなり、休むと回復し、また歩くと痛くなる、というパターンを繰り返すそうです。この症状は「間欠性跛行」と呼ばれます。
★診断と治療★
★よねくら接骨院での治療★
1. ラジオ波治療
ラジオ波治療では、**深部に直接熱を届ける特性**を活かし、神経症状の原因となる周囲の筋肉や靱帯の緊張を緩和し、血流を改善します。当院では、これに加えて手技療法を組み合わせ、ラジオ波で緩んだ組織を効率的に調整することで、神経への圧迫を軽減させます。
2. ハイボルト治療
神経症状を直接緩和し、しびれや痛みの改善を図ります。
3. ストレッチと運動指導
筋力の維持と柔軟性の向上を目的に、ストレッチや軽い運動を指導します。患者さんの状態に応じた無理のないメニューで、症状の改善と再発防止をサポートします。
遠方から市外より来院された患者さんのため、通院が負担にならないよう、週1回20分程度の治療計画を立てました。短時間ながらも効果的な治療で、日常生活の質を向上することを目指します。
★経過報告★
週1回の治療を続けていただき、1カ月が経過しました。以下のような改善が見られています:
- 歩行可能時間が3分から10分に延長
- 左足甲のしびれや感覚鈍麻はほぼ消失
- 坐骨神経への圧痛も解消
- 大腿部後面に多少の痛みを残す程度まで回復
また、中止していた趣味のソフトテニスも、少しずつ再開できるようになったとのことです。
★治療費について★
腰部脊柱管狭窄症の治療費は、症状や施術時間に応じて異なります:
- 〇標準的な施術: 20分の施術料金(2,500円)+ラジオ波(1,500円)+ハイボルト(300円)で 4,300円。
- 〇症状が軽度の場合: 10分の施術料金(1,300円)+ラジオ波(1,000円)+ハイボルト(300円)で 2,600円 となる場合があります。
患者さんの状態に合わせた柔軟な治療を提案していますので、ご不明点があればお気軽にお問い合わせください!
★当院の取り組み★
当院では、通常3~5カ月かけて腰部脊柱管狭窄症の症状緩和から消失を目指し、患者さん一人ひとりに合った治療計画を立てています。ラジオ波の特性を活かした手技療法やストレッチ指導を組み合わせ、短期間での症状改善を目指し、患者さんのQOL(生活の質)の向上をお手伝いします。
★最後に★
腰部脊柱管狭窄症は、適切な治療を受ければ改善が可能な疾患です。散歩や趣味が思うように楽しめないとお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください!😊
ぎっくり腰~仙腸関節性の急性腰痛
「ぎっくり腰の症例報告」
こんにちは。11月に入り、ここ最近は急に冷え込んできましたね。寒さが増してくると、筋肉や関節にかかる負担が大きくなり、トラブルが増える傾向にあります。特に今シーズンは、ぎっくり腰や筋肉の肉離れが多く、先週だけでぎっくり腰が3件、肉離れが2件の来院がありました。
さて、今回も急な腰痛、いわゆる「ぎっくり腰」で来院された患者さんの症例をご紹介します。
≪患者さんの受傷経緯≫
今回の患者さんは、子供と遊んでいる際に中腰姿勢から体を起こそうとした瞬間、腰に激しい痛みが走り、動けなくなったとのことです。診察の結果、ぎっくり腰と診断しましたが、今回は特に仙腸関節(せんちょうかんせつ)のズレが原因であることが確認されました。仙腸関節は骨盤の安定を支える重要な部位ですが、急な動作や不安定な体勢で負荷がかかるとズレが生じ、激しい痛みが発生しやすくなります。
◎仙腸関節痛の症状と鑑別テスト
仙腸関節のズレによる痛み(仙腸関節痛)は、通常の腰痛と見分けがつきにくいため、以下のテストを行い確認します。
★ニュートンテスト
方法: 患者さんをうつ伏せにし、仙骨(仙腸関節の中央にある骨)を上から押し、関節に動きを与えます。
結果: 仙骨を圧迫した際に痛みが出る場合、仙腸関節のズレや炎症が疑われます。
★HIBBテスト
方法: 患者さんをうつ伏せにし、片膝を90度に曲げ、股関節を内旋(内側にひねる動作)させ、仙腸関節にストレスをかけます。
結果: この動作で痛みが生じる場合、仙腸関節の障害が疑われます。
◎よねくら接骨院での治療とケア
当院では、仙腸関節痛に対して以下の治療を行い、早期回復を目指します。
ラジオ波治療:
温熱作用で仙腸関節周囲の筋肉と靱帯を弛緩させ、痛みの緩和と可動域の回復を促進します。
トムソンベッドによる矯正:
トムソンベッドを使用してズレた仙腸関節を矯正し、安定化を図ります。
ハイボルト治療とマイクロカレント:
炎症と痛みの抑制を目的とし、鎮痛・抗炎症効果を発揮します。
通常、当院では骨盤ベルトやコルセットは使用せず、患者さん自身の回復力を引き出すことを目指して治療を行います。治療後、数日で日常生活レベルでは問題なく動けるようになりますが、完全な回復と再発防止を目指し、リハビリ期間を含めて1カ月ほどフォローを継続いたします。
これからの季節、気温が低下すると筋肉や関節のトラブルが増加しますので、皆さまもどうぞご自愛ください。
💬 急な痛みでお困りの方へ 💬 突然の痛みでお悩みの方や急ぎの施術が必要な方は、時間外対応も行っています。お気軽に LINEまたはお電話 でご連絡ください📲😊
急性腰痛(ぎっくり腰)
今回は、特定の症例という訳でなく、一般的にぎっくり腰(急性腰痛)で来院される方に対する私なりの考えです。
一言でぎっくり腰といっても、その原因は多岐にわたります。
多岐にわたりますが、医学的にはほとんどが原因が特定できない腰痛「非特異的腰痛」として診断されてしまいます。
★非特異的腰痛と特異的腰痛
「ぎっくり腰になってしまい、病院に行ったが、レントゲンを撮って異常が見当たらず、とりあえずシップとコルセット、痛み止めを処方され、あとは安静指示をされた」
そういう経験をされた方は多いと思います。非特異的腰痛はレントゲンやMRI、CT等での画像所見で異常が判別できないことが多いのです。
逆に、「特異的腰痛」は、レントゲンやMRI、CTなどで異常が見つかり適切な診断名が出ることになります。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折、他に、内科的には消化器系や泌尿器系の異常や尿路結石、子宮筋腫、解離性大動脈、悪性腫瘍も挙げられるかもしれません。この場合、適切な治療を進めていくこととなると思います。
★仙腸関節障害
今回紹介するのは、非特異的腰痛のぎっくり腰の中でも比較的多いと思われる「仙腸関節障害」を上げさせていただきます。
米倉の経験上でも多くを占めている病状です。
ぎっくり腰を経験された方に多いのは、やはり中腰姿勢からの立ち上がった時に「グキッ」とくることではないでしょうか?特に、仕事や作業で同一姿勢が続いて筋疲労が蓄積している時に前述の動作で強い痛みが腰部に出ることが多いと思います。
中腰姿勢では、背部の筋肉や臀部の筋肉、そして太腿の筋肉が特に緊張していますが、緊張により疲労が蓄積し筋肉の伸展性が失われ、そこから急な動作をしたときに関節に強いストレスを加えることで関節痛を引き起こす、そしてこの場合の関節とは、仙腸関節だったりします。
★仙腸関節は不動関節?
仙腸関節は、医学的には「不動関節」と言われ、動くことはないと教科書には記載されていますが、実際には歩行時などに数ミリ程度は動くことが確認されています。その数ミリ程度のズレが適切値を超えたときに、猛烈な痛みを発する、これがぎっくり腰の一種であると考えられているのです。
産後腰痛も仙腸関節障害
関節のズレが急な場合、ぎっくり腰となりますが、実はこの不動関節は、例外として出産時に大きく動きます。仙腸関節が動かなければ産道が狭いままですからね。そしてしばらく不安定な状態となり炎症が生じ痛みができます。即ち、産後腰痛の原因となります。
産後腰痛に関してはまた後日報告するとして、仙腸関節のズレを元に戻してあげれば、腰痛が軽減される、という答えが導き出せますね。
★どうやって治す??
当院では、まずラジオ波で過緊張となっている仙腸関節周りの筋肉や靱帯を緩めていきます。
あまりラジオ波で熱を加えすぎると痛みが強くなってしまうので、ラジオ波を当てるのはほんの数分ほどです。数分で十分に筋肉や靱帯の弛緩が得られるのが、ラジオ波の特徴です。
そして、次にトムソンベッドを駆使してズレた仙腸関節を元に戻します。姿勢全体を矯正するわけではないので、これも数分で終わります。
最後に、痛みの原因である発痛物質を取り除く目的でハイボルテージを腰部に当てます。だいたい10分程。痛みの強さによっては、アイシングも行います。
★最後はやはり自分の治癒能力
以上の施術で、仙腸関節障害タイプのぎっくり腰は、8割方軽減することが多いです。ただし、グキッときてズレた際に生じた炎症や痛みは、生理的な治癒能力に左右されることが多く、完全に良くなるには数週間はかかると考えています。
ちなみに、コルセットはあまり勧めていません。コルセット等を用いて腰部を固定することは、期待できる痛みの軽減効果よりも腰部の動きを悪くし=筋肉の筋緊張改善や血流を悪くし、回復能力を下げてしまうデメリットの方が大きいからです。また、最近の医学界でも、非特異的腰部痛は安静にせず日常生活レベルで動かした方が、復帰が早いというのが常識になってきています。
最後に
まず大事なのは、この腰痛が何なのか?を鑑別することから始まります。特異的腰痛なのか非特異的なのか?非特異的の場合、関節なのか筋肉なのか?特異的腰痛は、診断に画像所見が必要となり接骨院ではそれができませんが(エコーでの腰部痛の判断は難しいと思われます)、ある特定の判断基準を守っていれば、鑑別することができると考えています。
非特異的腰痛は、なかなか完璧には判別は難しいところはありますが、それでもいくつかのテストやパターン分けを行い適切に判断するよう心がけています。
特にぎっくり腰は、シップを貼って安静にしているよりは、積極的に施術することのほうがメリットが大きいと考えています。皆さんも、ぎっくり腰で悩まれたときは、病院に行くのも良いとは思いますが、一度接骨院に通ってみてください!