症例報告(9/12UP)
膝裏のふくらみ~ベーカー嚢腫~
ベーカー嚢腫(膝のうらのふくらみ)|症例紹介
中年以降の女性に多くみられる膝のうらのふくらみ。
「押すとぷにっとする」「曲げ伸ばしで突っ張る」——それはベーカー嚢腫かもしれません。
ベーカー嚢腫とは?
膝裏の滑液包(関節のクッション)が、膝関節の炎症や関節液の増加に伴ってふくらんだ状態を指します。
変形性膝関節症・関節リウマチ・痛風・運動量の多い方などで、関節液が過剰に分泌されると、関節包から滑液包へと溢れ、袋状に貯留して膨隆が生じます。
その背景から、中年以降の女性にみられることが多い傾向があります。
今回のケース
当院へ来られる前は、医療機関でヒアルロン酸注入を継続。痛みは一時軽減したものの、
その後も継続するにつれ効果を感じにくくなり、当院での保存的なケアへ切り替え。
およそ2か月で日常の痛みは落ち着き、注入は継続せず様子を見る方針に。
今回、1か月ぶりに「膝のうらのふくらみが気になる」と再来。
触察では、膝窩部内側〜腓腹筋内側頭の起始部付近にかけて膨隆を確認しました。
超音波(エコー)での状態把握

触れた膨らみに沿ってエコー観察すると、境界が明瞭な低エコー像を描写。
ベーカー嚢腫に合致する所見で、サイズや周囲との関係を把握できました。
ベーカー嚢腫は多くが良性ですが、リウマチ性変化や腫瘍性病変など、まれに別の原因が隠れていることも。
エコーでの所見を参考にしつつ、必要時は医療機関での評価をおすすめします。
起こりうる不都合と当院の方針
- 嚢腫が大きくなると、膝の曲げ伸ばしがつっぱる・だるい等の違和感
- まれに破裂してふくらはぎ側に痛みや腫れが広がることがある
- 周囲の血管・神経を圧迫して不快感が出ることも
当院では、膝関節まわりの炎症を落ち着かせる保存的アプローチ(ラジオ波による深部温熱・手技・運動の工夫 など)を中心に、
日常生活の負担軽減を目指します。状況により、医療機関での穿刺吸引や手術が選択肢になる場合もありますが、
まずは保存的対応を優先することが一般的です。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 放っておいても大丈夫?
小さく症状が軽い場合は経過観察になることもあります。
ただしサイズ増大/痛み/動かしづらさが強い場合は、早めのご相談を。
Q. 運動はしてもよい?
炎症が強い時期は負担の高い動作を控えるのがおすすめ。
痛みが落ち着いたら大腿四頭筋の軽いエクササイズなど、負担の少ない範囲から再開します。
まとめ
ベーカー嚢腫は膝関節の負担サインの一つ。
よねくら接骨院では、エコーでの状態把握と保存的ケアを組み合わせ、
日常生活の違和感を減らすお手伝いをしています。気になるふくらみは、どうぞお気軽にご相談ください。
※本ページは柔道整復師による症例・対応の紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
状況により、医療機関での精査や処置が必要な場合があります。
膝の打撲~打撲をエコーで見てみると?~
膝の打撲(筋挫滅傷)|症例紹介
今回は院長・米倉自身の症例です。ボルダリング中の膝の打撲による筋挫滅傷。
スポーツ中の受傷から、自ら行った初期処置と経過観察をまとめました。
受傷の状況
- 患者:44歳男性(稲城市在住)
- 趣味:ボルダリング・登山・キャンプ
- 受傷機転:ボルダリング中、スタートでミスしホールドに膝を強打

エコーでの確認

打撲により筋線維の一部が損傷し、出血と腫脹が見られました。
強い打力が加わると、皮下組織だけでなく筋内まで損傷が及ぶことがあります。
受傷直後の対応
出血を伴っていたため、まず水道水で洗浄し汚れを除去。
その後、軟膏を塗布したガーゼを当て、テーピングで軽圧迫固定を実施しました。
水道水による洗浄は十分な殺菌効果があり、消毒液よりも刺激が少なく
組織へのダメージを軽減できます(特に擦過傷では有効)。
経過と今後の観察
筋挫傷は一般的に1週間ほどで回復が期待されます。
1週間後に再度エコーで血腫の吸収と筋線維の再生状態を確認予定です。
スポーツ愛好家の皆さまへ
ボルダリングや登山など、膝を使うスポーツでは衝撃吸収動作が多く、打撲による筋損傷が起こりやすい傾向にあります。
もし受傷してしまった場合は、早期の洗浄・冷却・圧迫で悪化を防ぎましょう。
※本記事は柔道整復師による症例紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状に応じて医療機関での精査が必要な場合があります。
腱鞘炎(ばね指/弾発指)
ばね指(腱鞘炎)|症例紹介
指の曲げ伸ばしで引っかかる/カクンと弾ける感じ——いわゆるばね指のご相談です。
早期のケアで、家事やお仕事の不便を減らすことを目指します。
ばね指とは?
指を曲げる屈筋腱が通るトンネル状の腱鞘が、何らかの理由で肥厚し、腱を締め付けて動きが悪くなる状態です。
しだいに腱自体も太くなり、腱鞘を通り抜けにくくなると、曲げ伸ばしの途中でひっかかり→弾ける感覚(ばね現象)が起こります。

原因はオーバーユース(使い過ぎ)が一般的ですが、出産前後・更年期の女性に多いことから、
ホルモン変化との関連も指摘されています。糖尿病の方にも生じやすい傾向があります。
今回のケース(50代・女性)
- 既往なし。最近になって突然痛みが出現
- バネ様の弾発はまだ出ていない
- 指先をよく使う仕事で痛みが増悪。朝のこわばり/痛みもあり
触察で中指MP関節部に圧痛と硬結を認め、腱の肥厚が疑われました。
超音波(エコー)での状態確認
腱鞘炎は超音波での描出が得意な領域です。
健側と患側を比較し、腱の断面厚で肥大化を確認します(レントゲンでは写りません)。

今回も腱の肥厚が明瞭で、腱鞘炎に合致する所見でした。
当院の対応(施術の考え方)
① ラジオ波(深部温熱)
局所の循環を促し、腱・腱鞘周囲の柔軟性を高めることを目指します。
② ハイボルト(高電圧刺激)
消炎・鎮痛のサポートとして使用。痛みの軽減と動かしやすさの向上を狙います。
③ 手技(前腕〜手指)
前腕から手指にかけての筋膜・筋の張りを調整し、腱鞘部への負担を下げるアプローチを組み合わせます。
※医療機関では注射(ステロイドなど)が選択肢になることがあります。効果を感じる方も多い一方、
痛みが強い・再発しやすい・一時的である等の側面もあるため、状況に応じて医療機関と役割分担します。
固定(シーネ)の可否と通院頻度
安静目的のシーネ固定は状況により選びますが、固定は生活の妨げや拘縮リスクもあるため、
炎症の程度/仕事・家事の状況/通院頻度を総合して判断します。
今回はバネ症状なし・固定が難しい環境・週2〜3回の通院が可能なため、固定なしで進めました。
経過
初日から週2回の通院で、ラジオ波+ハイボルト+手技(合計約15分)を実施。
3週目に患者さまより「痛みがほとんどなくなった」とのコメント。

朝の痛み・重い荷物での痛みが解消。日常動作がスムーズに。
ただし、完全に硬結が消えたわけではなく、再発の可能性は残ります。
しばらくはフォロー通院とセルフケアの併用をご提案しました。
セルフケアのヒント
- 朝は温めてから軽い動かし(無理に強く握らない)
- 作業はこまめに休憩、握りっぱなしを避ける
- 前腕のストレッチと、負担が強い日は短時間の保冷で炎症管理
費用の目安
ばね指は局所(部分)扱いのため、ラジオ波は+1,000円(1回)での追加となります。
ハイボルトは無料でご利用いただけます(別途、基本施術料がかかります)。
週2回程度を前提にした回数券もご用意しています。
まとめ
ばね指(腱鞘炎)は、腱と腱鞘の滑走性を高め、炎症を落ち着かせることが改善への近道です。
よねくら接骨院では、ラジオ波・ハイボルト・手技を組み合わせ、日常と両立できる現実的なプランをご提案します。
※本ページは柔道整復師による症例紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
状態により、医療機関での評価・処置が必要となる場合があります。
ふくらはぎの肉離れ
腓腹筋肉離れ(ふくらはぎの肉ばなれ)|症例紹介
一週間前に階段を踏み外した際、右ふくらはぎに痛みを感じた患者さま。
整形外科で「腓腹筋肉離れ」と言われましたが、固定やリハビリはなく、早期復帰を希望され当院を受診されました。
来院時の状態
- 歩行時痛が強く、ふくらはぎに圧痛・硬結あり
- 整形外科でのレントゲン・エコー確認済み
- 安静指示のみで経過観察中
当院での超音波観察

受傷から約1週間経過しており、出血は止まっているものの、血腫が液状として残存していました。
このまま放置すると、筋硬結(瘢痕化)が残るリスクがあるため、低出力ラジオ波(非加熱モード)での対応を開始しました。
施術方針
① ラジオ波(非加熱モード)
血腫部の循環を促しながら、筋の硬結解除と血腫の吸収促進を目的に使用。過度な温熱を避け、深部の自然代謝を促します。
② マイクロカレント
極微弱電流を用いて、損傷組織の修復サポートを行いました。痛みを感じない穏やかな刺激です。
③ EMS(筋力サポート)
安静期間中の筋力低下を防ぐ目的でEMSを併用。腓腹筋やヒラメ筋の活動維持を図ります。
④ 固定は行わず
受傷から一定期間が経過し、歩行時痛も軽減傾向にあったため、拘縮防止と早期復帰を優先し、テーピング固定は行いませんでした。
2週間後の経過

- 血腫の吸収が進行、筋線維の整列も回復傾向
- 歩行時痛の改善、階段動作も可能に
- ラジオ波の出力を調整し、筋柔軟性の回復を促進
現段階ではまだ完全回復ではありませんが、痛みの軽減と機能回復は順調です。
今後もマイクロカレントとラジオ波を併用し、再発防止と柔軟性維持を続けていきます。
「痛みがずいぶん楽になって、階段の上り下りもできるようになりました!」
社会復帰に向けて前向きなご様子です。
当院の考え方
肉離れは「安静のみ」では筋萎縮や再発リスクを高めることがあります。
よねくら接骨院では、段階的な温熱・電気刺激・運動刺激を組み合わせ、
痛みを抑えながら機能回復をサポートする施術を行っています。
※本ページは柔道整復師による症例紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
状態により医療機関での精査・対応が必要となる場合があります。
小児骨端線離開~子供の小指の怪我~
小児の骨端線離開(成長期の指のケガ)|症例紹介
成長期の骨には骨端線(成長軟骨)があり、骨の伸びに重要な部位です。
強い外力や繰り返しの負荷で、骨端線付近が離開(はがれるようにずれる)ことがあります。
骨端線離開とは
幼小児は骨端線部の抵抗が相対的に弱く、急な外力で骨端線と骨組織の境界が離開しやすい特徴があります。
骨折と同程度に扱い、徒手整復+固定といった保存的な対応が第一選択となることが多い部位です。
来院背景
小学生の患者さん。1か月前、キャッチボール中に小指をボールにぶつけたとのこと。
直後に整形外科を受診し、徒手整復(レポ)とシーネ固定で経過観察。
1か月後のXPで骨癒合の進みがゆっくりとの説明があり、保護者の方が心配され当院にご相談・来院されました。
初期所見と経過の整理
- 受傷直後:レポ後にシーネ固定で管理
- 受傷1か月:圧痛が持続、屈曲方向のROM制限あり
- 小児では固定後の関節拘縮は稀で、時期がくれば改善してくることが多い
受傷機序から、尺側転位→整復時に橈側方向牽引+屈曲を行った可能性が高いと推測されました。
当院でのエコー観察(状態把握)

基節骨近位部で骨皮質の不整+仮骨形成、骨端核と骨との間に軽度のギャップを示唆する所見。
尺側転位の完全な解剖学的整復は難しいこともあり、この程度のギャップは問題にならないことが多いと考えられます。
LIPUSの併用方針
骨癒合の遅れを心配された保護者の方と相談し医師の同意も得て、当院でLIPUS(低出力パルス超音波)を開始しました。
毎日20分の照射を1か月継続する計画です。
1か月の経過

- 限局性圧痛の消失
- テーピングでの柔軟固定+自宅でのROMエクササイズ指導を併用
- 屈曲時のROM不良は解消傾向
- 医療機関でも経過良好との評価を確認
LIPUSとは?(成長期でも選択される保存的アプローチ)

LIPUSは超音波の微細振動で骨癒合を後押しする保存的な方法です。
症例によっては骨癒合が約40%短縮した報告もあり、骨折治療のスタンダードの一つとして活用が進んでいます。
照射中の痛みはなく、副作用の報告も少ないのが特徴です。
当院では高校生以下はLIPUS無料(保険負担分は別途/医師の同意が必要)で対応しています。

保護者の方へ:ご自宅でのポイント
- 固定の着脱・清潔保持は指示通りに(外しすぎに注意)
- 痛みが落ちたら、痛みの出ない範囲でROMを少しずつ(反動はつけない)
- 再受傷予防に、遊びや運動の勢いを一段階控える期間を設ける
- 学校生活の書字・体育は担任と共有(無理をさせない)
費用の目安
外傷に該当するため、基本は保険適用です(負担割合や併用内容で変動)。医師の同意も得ているため、医科併用も可能です。
LIPUSは高校生以下は無料(保険分別)で継続しやすく、ご家庭での実施計画もご提案します。
まとめ
成長期の骨端線部はデリケートですが、保存的なアプローチで改善が期待できます。
よねくら接骨院では、医療機関との連携とエコーでの状態把握、LIPUS・固定・運動指導を組み合わせ、
お子さまの安全な日常復帰を丁寧にサポートします。
※本ページは柔道整復師による施術例・保存的対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により医療機関での精査・加療が必要となる場合があります。
