症例報告

2023-09-08 15:22:00

腱鞘炎(ばね指/弾発指)

  

今回の患者さんは、ばね指(腱鞘炎)です 。

 

★ばね指とは?

 

指には指の関節を曲げる屈筋腱と、その腱の跳ね上がりを抑えているトンネルのような腱鞘があります。このうち、腱鞘が何らかの原因で肥厚してくると次第に屈筋腱が締め付けられ動きが悪くなり、屈筋腱自体が肥大化し、腱鞘のトンネルを通りにくくなってきます。

 

そうすると、曲げ伸ばしの際に肥大化した腱が腱鞘にひっかかり、指に力を入れた際に引っ掛かりが外れ、ガックンとばねが弾けたような状態を呈すため、ばね指と言われています。

 

 

 

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 一般的には、オーバーユース(使い過ぎ)が原因と言われていますが、中でも出産前後、更年期の女性に多発するため、女性ホルモンとの関連性も疑われています。その他では、糖尿病の方にも起こることが多いと言われています。

 

 

★今回来院された患者さんは50代女性

 

特に既往はなく最近突然痛み始めたとの事。バネ様の症状はまだないもの、お仕事で指先をよく使うこともあり、その時に痛むし、朝起きたときも痛むようです。

触診して中指MP関節に圧痛と、硬結を認めました。

硬結=腱の肥大化とみて差し支えないようです。

 

エコーを撮って健側と患側を比べてみました。腱鞘炎はエコー撮影の代表的疾患とも言えるもので、よく確認できます。もちろん、腱などの軟部組織の疾患は、医科で行うレントゲンでは描写されません。

 

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エコーで腱鞘炎を見る場合、腱の断面を撮影し、健患比較で腱の肥大化を見ます。今回も、はっきりと違いが出ました。

腱鞘炎で間違いないようです。

 

腱鞘炎治療は、当院ではラジオ波による温熱と、ハイボルトによる消炎鎮痛前腕から手指への手技を行います。

 

超音波やレーザーなど以前よりいろんな治療法を試してきましたが、この組み合わせが一番良いようです。

 

(もちろん、医科においては注射(だいたいは患部へステロイド剤)が選択肢となりますし、効きは抜群です。が、腱鞘炎への注射はめちゃくちゃ痛いです。また、一時的に炎症を抑えるだけのため、短いスパンで再発する可能性があります)

 

安静目的にシーネ固定なども検討しますが、必ずしもオーバーユースが原因ではないことや私生活での妨げになること、長期固定は関節拘縮の原因になりうること、などにより運動時痛や炎症の程度によっては、固定せずに通院回数を多めにして施療を行うことを選択することが多いです。

 

今回の患者さんは、まだバネ症状が出ておらず軽度であることや、私生活や仕事で固定を行うことができないシチュエーションが多い事、通院は大目(週2~3)に行えることなどを考え、固定を行わずに施療を行うことになりました。 

 

その日から週2日で通院を行い、ラジオ波とハイボルト、手技(合計で15分程)を組み合わせた施療を行い、3週目で患者さんから

 

「痛みがほとんどなくなった!」

 

 との事。少し早いですがエコーにて確認してみました。

 

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 腱の肥大部が明らかに小さくなっているのが解ります。

触診においても、初診時蝕知できた硬結部が明らかに小さくなっていました。

患者さんも、朝起きた時の痛みや重い荷物を持った時の痛みが無くなったとの事。

 

正直、ここまで短期間でよくなったことはかなり珍しい症例ですが、なんにせよ、患者さんの喜んだお顔が拝見できて、施療してきた甲斐がありました。

 

とは言え、まだ完全に硬結が取れた訳ではなく、また再発の可能性がありますので、しばらくのフォロー通院をお願いしました。

 

ちなみに、ラジオ波利用でも腱鞘炎は局所的扱いとなる為、一回+1000円の自費負担となり(別途施療代がかかります)、しかもハイボルトは無料となります。1ヵ月週2回で通われる方前提の回数券もご用意しております。