症例報告(9/12UP)

2023-09-05 14:30:00

小児骨端線離開~子供の小指の怪我~

 

小児の骨端線離開(成長期の指のケガ)|症例紹介

成長期の骨には骨端線(成長軟骨)があり、骨の伸びに重要な部位です。
強い外力や繰り返しの負荷で、骨端線付近が離開(はがれるようにずれる)ことがあります。

骨端線離開とは

幼小児は骨端線部の抵抗が相対的に弱く、急な外力で骨端線と骨組織の境界が離開しやすい特徴があります。
骨折と同程度に扱い、徒手整復+固定といった保存的な対応が第一選択となることが多い部位です。

来院背景

小学生の患者さん。1か月前、キャッチボール中に小指をボールにぶつけたとのこと。
直後に整形外科を受診し、徒手整復(レポ)とシーネ固定で経過観察。
1か月後のXPで骨癒合の進みがゆっくりとの説明があり、保護者の方が心配され当院にご相談・来院されました。

初期所見と経過の整理

  • 受傷直後:レポ後にシーネ固定で管理
  • 受傷1か月:圧痛が持続、屈曲方向のROM制限あり
  • 小児では固定後の関節拘縮は稀で、時期がくれば改善してくることが多い

受傷機序から、尺側転位→整復時に橈側方向牽引+屈曲を行った可能性が高いと推測されました。

当院でのエコー観察(状態把握)

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小児に多い骨端線離開(S-HⅡ相当を示唆)。整形外科で整復済み。

基節骨近位部で骨皮質の不整+仮骨形成、骨端核と骨との間に軽度のギャップを示唆する所見。
尺側転位の完全な解剖学的整復は難しいこともあり、この程度のギャップは問題にならないことが多いと考えられます。

補足:エコーは状態把握のために用います。最終判断や画像評価は医療機関の方針に準じます。

LIPUSの併用方針

骨癒合の遅れを心配された保護者の方と相談し医師の同意も得て、当院でLIPUS(低出力パルス超音波)を開始しました。
毎日20分の照射を1か月継続する計画です。

1か月の経過

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骨皮質の高エコー化が明瞭に。仮骨形成の進行がうかがえます。
  • 限局性圧痛の消失
  • テーピングでの柔軟固定+自宅でのROMエクササイズ指導を併用
  • 屈曲時のROM不良は解消傾向
  • 医療機関でも経過良好との評価を確認
目標:無理のない範囲で段階的に復帰。もう少し頑張れば、キャッチボール再開が見えてきます。

LIPUSとは?(成長期でも選択される保存的アプローチ)

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超音波骨折療法(LIPUS):患部に20分程度の照射を毎日継続

LIPUSは超音波の微細振動で骨癒合を後押しする保存的な方法です。
症例によっては骨癒合が約40%短縮した報告もあり、骨折治療のスタンダードの一つとして活用が進んでいます。
照射中の痛みはなく、副作用の報告も少ないのが特徴です。

当院では高校生以下はLIPUS無料(保険負担分は別途/医師の同意が必要)で対応しています。

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当院使用機器:伊藤超短波「オステオトロンV」(厚生労働省認可)

保護者の方へ:ご自宅でのポイント

  • 固定の着脱・清潔保持は指示通りに(外しすぎに注意)
  • 痛みが落ちたら、痛みの出ない範囲でROMを少しずつ(反動はつけない)
  • 再受傷予防に、遊びや運動の勢いを一段階控える期間を設ける
  • 学校生活の書字・体育は担任と共有(無理をさせない)

費用の目安

外傷に該当するため、基本は保険適用です(負担割合や併用内容で変動)。医師の同意も得ているため、医科併用も可能です。
LIPUSは高校生以下は無料(保険分別)で継続しやすく、ご家庭での実施計画もご提案します。

まとめ

成長期の骨端線部はデリケートですが、保存的なアプローチで改善が期待できます。
よねくら接骨院では、医療機関との連携エコーでの状態把握LIPUS・固定・運動指導を組み合わせ、
お子さまの安全な日常復帰を丁寧にサポートします。

※本ページは柔道整復師による施術例・保存的対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状態により医療機関での精査・加療が必要となる場合があります。