症例報告(11/19UP)
小児骨端線離開~子供の小指の怪我~
今回は小児骨折の代表的な損傷、骨端線離開です。
幼小児の骨には骨端線(成長軟骨ともいう)が存在し、骨端線は骨の成長において重要な役割を担っています。
幼小児の場合、急激な外力が加わると組織学的に抵抗力の低い骨端線部と骨組織部が離開を起こすことが多く、「骨端線離開」となります。
骨折と同意義で治療も同じですが成長に係る重要な場所でもあるので外科的な手術療法よりも保存療法が多く選択されます。
つまり徒手整復と固定です。
今回来院された患者さんは、小学生。
一カ月前にキャッチボール中に誤って小指をボールにぶつけてしまったとの事。
直ぐに整形外科受診、レポ(徒手整復)を行いシーネによる固定を行っていました。
受傷後一カ月経過もXP上、骨の癒合がいまいち進んでいないとの経過報告を受け、心配された親御さんが当院に連絡され来院となりました。
状況から判断するに、おそらく受傷時尺側転移を起こしており、橈側方向への牽引と屈曲のレポを行ったと推測できます。
受傷部位への限局性圧痛が残っており、骨癒合はまだまだの模様。
屈曲時のROM不良が見受けられましたが、小児の場合、固定による関節拘縮は稀の為、このまま様子をみて良いでしょう。
当院にてエコー撮像
小児によくある骨端線離開(骨折と同意義)。小指に外転方向の外力が加わり、基節骨の骨端線が離開。
その際に基節骨が骨折したものと思われる。S-HⅡ型。医科にて整復済み。
基節骨近位部に骨の不整と仮骨、骨端核と骨の間に若干のギャップが認められものの、尺側転移の解剖学的整復は案外難しく、この程度のギャップであれば問題ないと思われる。
エコー撮像後、骨癒合の不良を親御さんも心配され、当院にてLIPUS治療を開始することとなりました。
毎日20分のLIPUS治療を行うこと1か月
骨皮質がよりしっかりとした高エコー像を示している。
損傷部位に旺盛な仮骨生成を見ることができました。
限局性圧痛もなく、テーピングによる柔軟かつ安全な固定と自宅でのROM訓練指導を行ったこともあり、屈曲時のROM不良も解消されています。
医師の方でも経過良好との判断を頂きました。
あと少し頑張れば、大好きなキャッチボールができるようになります!がんばって!
★LIPUSとは??
超音波骨折治療であるLIPUSは、骨癒合を促し、症例によっては40%も早く骨癒合が起こったという、今では骨折治療においてスタンダードとなってきた治療方法です。
治療方法はいたって簡単。LIPUS機器を患部に取り付け、20分の照射を受け、これを毎日行うことだけです。20分の間、ゲームをしたり漫画を読んだり、YouTubeを見ていたりすればよいだけです。音波による刺激は皆無でまた副作用もありません。
そして何より、当院では高校生以下の方には無料で利用できます(保険負担分はご負担いただきます。また医師の同意が必要となります。)
当院使用の伊藤超短波「オステオトロンV」
厚生労働省認可の治療器具です。