症例報告(11/10UP)
足首の疲労骨折~ジョギング中の突然の痛み~
今回の症例は脛骨内果部の疲労骨折です。
今回の患者さんは、40代女性の方で5月よりランニングを始められ、その後トレランをやったりマラソンを走ったりと、強度の高いランニングを行っていたようです。練習も熱心で、5~10㎞のランニングを週3以上で行っていたそう。
数日前にランニングを終えた後、左足首に違和感を覚え、その夜から腫れてきてそれでも走り続けていたら、歩行時にも痛みを伴ってきたため、心配になり当院に来院されました。
問診時にランニング歴などのお話を伺い、足首を見せてもらいました。お話を伺った時点で想定はしていましたが、脛骨内果部に腫脹を確認、触診にて限局性圧痛も確認できたため、ほぼ確信いたしました。
脛骨内果部の疲労骨折は比較的少ない症例ではありますが、典型的な症例です。
これだけの臨床症状で十分疲労骨折と判断できますが、患者さんを納得させるためにも、そして判断材料の補完のためにも、エコーにて撮像を行います。
疲労骨折初期の場合、骨皮質に変化はないが骨膜反応が起きており、
エコー像においては骨表面に黒い低エコー像が描写される。
エコー像はレントゲン像と違い骨の全体像が映らないため、見方には慣れが必要です。
そのため、普通の患者さんにはこの画像が意味するところまで理解されるのは難しいとは思いますが、それでも、健側と比べてみると異常像が映っているのがわかり、理解してもらうよう努力します。
健患比較は必須条件です。
以上のことで患者さんに理解していただき、骨折の場合は医師の診断が必要なため、近医整形外科を紹介させていただきました。
当院では、骨折の疑いがあると判断した場合、少々遠方にはなりますが、専門医が在籍しMRIを完備されているクリニックを紹介するようにしております。昨今の怪我には、MRI画像による診断は必須となってきているように思えます。
今回、専門医にて疲労骨折の診断を受け、当院での加療の同意も得られました。
★そもそも、疲労骨折とは?
疲労骨折は、1回の大きな力で骨が折れる通常の骨折とは異なり、同じ部位に小さな力が少しずつ加わることで発生する骨折です。慢性的なスポーツ障害のひとつで、ランニングやジャンプなど、同じ動作を繰り返すスポーツ選手に多くみられます。疲労骨折が厄介なのは、痛みがあっても運動を続けられる点です。最初のうちは骨にわずかな亀裂が入った程度でも、無理してプレーを続けていると、やがて完全な骨折に至ります。ケガが原因で起こる外傷骨折と違って、強い痛みや皮下出血、大きな腫れを伴うことはないものの、運動しているときや圧迫したときに痛みを感じることが多いです。痛みのある部位が腫れたり、少し膨らんだりする場合もあります。あきらかな外傷がないため「捻挫だと思っていたら、骨折していた」というケースもあります。からだを動かしているときに関節以外の部位にも痛みがあったり、ケガをした覚えがないのに腫れや痛みが続いたりする場合は、疲労骨折が疑われるので気をつけましょう。「OMRON 痛みwith 」より抜粋
これは個人的な感想ですが、夏場に走り始め、そのレベルを維持しながら秋でも同様のランニングを行っている方に疲労骨折は多いように思います。
かくいう私自身も、同様の条件で昔、第4中足骨の疲労骨折を経験しております。
★当院での治療方法★
まず、大前提ですが、骨折の治療を行うあたって、医師の同意が必要となります。
今回の様に書面で頂ければ尚よいですが、口頭のみでも可能です。
例:
患者「接骨院で治療したいのですが」
医師「いいよー」
★超音波骨折治療は今やスタンダード★
疲労骨折が起きた場合、以前は安静指示のみが唯一の治療法でした。いわゆる「日にち薬」です。
ですが、今では超音波を使って早期治癒を目指すのがスタンダードとなりつつあります。
もちろん、当院でも超音波骨折治療器「LIPUS」を利用して早期治癒を目指します。
LIPUSは、骨の癒合を40%早められる治療法で、もちろん骨皮質だけでなく疲労骨折のような骨膜にも同様に作用します。
疲労骨折を起こされる方は、大概は練習好きな方が多いため(または部活やプロのアスリート)、少しでも安静期間を短くしたいとも思われる方が多く、また安静期間が長ければ長いほど復帰までのリハビリが長くなってしまいます。
骨折は、早く治った方が絶対に良いのです。
今回の患者さんは、比較的早い段階で疲労骨折が判明したため、早期治癒が見込めそうです。
疲労骨折は早期発見早期治癒を目指しましょう。
もちろん、疲労骨折をするには理由があります。その理由等も次回当たりに考察したいと思っています。
今回の症例の経過は随時UPしていきます。