症例報告(9/12UP)

2023-10-26 18:11:00

足首の疲労骨折~ジョギング中の突然の痛み~

脛骨内果部の疲労骨折(ランナーの足首内側痛)|症例紹介

40代女性ランナー。5月から走り始め、週3回・5〜10kmのランとトレイル/大会参加を継続。
ラン後から左足首の違和感→夜に腫脹、その後は歩行でも痛みが出現し来院されました。

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足首の内くるぶし(脛骨内果)周辺に症状が集中。

初期評価(問診・視診・触察)

  • 内果直上の腫脹を確認
  • 限局した強い圧痛(ピンポイント)
  • ラン後に悪化、安静でも違和感が残存

臨床像から脛骨内果部の疲労骨折を強く示唆。

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典型的な部位に一致した腫れと圧痛を確認。

超音波(エコー)による状態把握

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骨皮質直上に低エコー域(骨膜反応)を描出。

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健側と比較することで異常所見の理解が進みます(健患比較は必須)。

初期の疲労骨折ではレントゲンに変化が出にくく、骨膜反応の描出が手掛かりになります。
当院では画像の意味を健側比較で説明し、納得感のある方針決定を大切にしています。

医療連携(MRI評価の推奨)

骨折が疑われる場合は医師の評価が前提です。
当院では、専門医・MRI完備の医療機関へ紹介し、今回も疲労骨折の見立てが確認され、
当院での保存的アプローチ(医師の同意のもと)を進める方針となりました。

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専門医と連携しながら段階的に復帰を目指します。

疲労骨折とは?(ランナーに多い理由)

小さな負荷の反復で骨に微細な損傷が蓄積し起こる骨折です。
初期は走れてしまうことが多く、無理を重ねると完全な骨折へ進展するリスクがあります。
走行距離・路面・シューズ・フォーム・体調(栄養/睡眠)など、負荷管理の不均衡が背景にあることが少なくありません。

当院の対応方針

① 超音波骨折療法(LIPUS)

医師の同意のもと、LIPUSを用いて骨癒合の進行をサポート。
臨床的には骨癒合が早まる可能性が示されており、安静のみよりも早期の段階的復帰を後押しできます。

② 負荷コントロールと痛み管理

  • 痛みが出る走行は一時中止(ウォーキング可否は症状に応じ判断)
  • 日常は疼痛基準で活動(階段・長時間立位の調整)
  • 必要に応じてハイボルトで疼痛軽減をサポート

③ 再発予防の運動・用具チェック

  • ふくらはぎ・後脛骨筋・足部内在筋の機能づくり(痛みの出ない範囲)
  • シューズの摩耗・反発・サイズの見直し、インソールの検討
  • 路面・高下駄負荷(登り下り・段差)の段階的再開
今回の見通し:
比較的早期の段階で把握できたため、段階的復帰が見込めます。
LIPUSと負荷調整を併用し、痛みゼロ→ジョグ→ビルドアップの順で進めます。

よくあるご質問(Q&A)

Q. どのくらいで走れますか?

個人差があります。目安は「日常痛ゼロ片脚ジャンプで無痛ジョグ再開」の順で判断します。

Q. LIPUSは毎日必要?

基本は毎日20分を推奨(自宅運用/通院併用を個別提案)。高校生以下は当院で無料対応(医師同意・保険分別)。

Q. テーピングや固定は?

強い痛み・腫脹時は短期固定を検討しますが、過度な固定は筋機能の低下を招くため最小限に留めます。

セルフケアの要点

  • 痛みが出ない範囲で足関節の可動性を維持
  • ふくらはぎの軽いストレッチとフットケア(足底の過緊張を解く)
  • たんぱく質・カルシウム・ビタミンD/Kなど栄養バランスを意識
  • 睡眠・体重コントロールなど、回復環境の整備

使用機器

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当院は伊藤超短波 オステオトロンVを用いています(医師同意のもと)。

※本ページは柔道整復師による症例紹介・保存的対応の方針であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状により医療機関での精査(MRI等)・処置が必要になる場合があります。