症例報告(9/12UP)

2023-11-18 13:00:00

ふくらはぎの肉離れ~60代女性~

腓腹筋肉離れ(クラシックバレエ)|症例報告

60代・女性。クラシックバレエ練習中につま先立ちでふくらはぎに痛み。
翌日も痛みが引かず、週末イベントに向けて早期回復を希望して来院されました。

初期評価と鑑別

  • 受傷時のPOP音なし
  • 腓腹筋内側頭に限局した圧痛
  • トンプソンテスト陰性(アキレス腱断裂は否定的)
  • 腓腹筋部の陥凹なし → 中〜軽度の肉離れが示唆

参考:アキレス腱断裂の代表的評価(トンプソンテスト)

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「トレシピ!」より抜粋(アキレス腱断裂 | トレシピ! (trecipe.jp)トンプソンテストのイメージ
下腿を把持して足関節が底屈するかを確認。底屈反応が乏しければ断裂を疑う。

超音波(エコー)での状態把握

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腓腹筋肉離れはヒラメ筋との境界部に生じやすい。
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今回、大きな断裂像はなし。ただし、処置が不十分だと血腫が広がり瘢痕化の恐れ。

初期対応(RICE)

肉離れ初期はRICEが基本です。
Rest(安静)/Icing(冷却)/Compression(圧迫)/Elevation(挙上)

圧迫は「弾性包帯」で

当院では軽度の肉離れに包帯圧迫を採用。
入浴後など患者さま自身で巻き直しやすいよう、綿包帯ではなく弾性包帯を基本とし、巻き方も指導します。

※最近は、ダイヤ工業のフリーサポーターを利用することが、多くなりました(R7/10/9追記)

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弾性包帯は再現性のある圧迫がしやすいのが利点。

テーピングは使わない方針

テーピングは応急・予防には有用ですが、固定力や皮膚トラブルの観点から、
外傷初期の固定には包帯(必要に応じてシーネ)を優先します。サポーターは補助用途として捉えます。

施術方針

① ハイボルト(急性期メイン)

疼痛抑制・循環サポート・浮腫軽減を目的にハイボルトを実施。急性外傷向けのアプローチです。
ハイボルト施術の様子

② ラジオ波(温熱アプローチ)

拘縮予防と早期の機能回復を目指し、早期段階からラジオ波をリハビリに組み込みます。
出力はエコー経過を見ながら段階的に調整し、血腫拡大の兆候があれば即中止します。
ラジオ波の施術1  ラジオ波の施術2

当院のスタンス:
「患者さんの不利益にならないこと」を最優先。
早期復帰を目指す場合でも、画像(エコー)で適宜確認しながら進めます。

経過

受傷4日目からラジオ波を含むリハビリを開始(イベントに向けた目標設定)。
適宜エコーで確認し、拡大所見があれば直ちに休止する条件で進行。

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加療後6日(受傷8日):血腫は徐々に消退。ただし筋膜の乱れ・器質化リスクに留意。

動作時痛はほぼ消失し、週末イベントに無事参加
本格的なダンス復帰は段階を踏むため、受傷2週で週1通院+自宅トレへ移行しました。

まとめ

  • 腓腹筋肉離れは初期のRICEと適切な圧迫が要。弾性包帯の再現性が有効。
  • 急性期はハイボルトで痛みと炎症のコントロール。
  • 早期復帰を狙うなら、エコー監視下でのラジオ波リハビリが有用。
  • 目標(イベント等)を共有しつつ、リスク管理を徹底。

 

※本ページは柔道整復師による症例・対応の紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
症状によっては医療機関での精査・処置が必要な場合があります。 

 

2023-10-26 18:11:00

足首の疲労骨折~ジョギング中の突然の痛み~

脛骨内果部の疲労骨折(ランナーの足首内側痛)|症例紹介

40代女性ランナー。5月から走り始め、週3回・5〜10kmのランとトレイル/大会参加を継続。
ラン後から左足首の違和感→夜に腫脹、その後は歩行でも痛みが出現し来院されました。

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足首の内くるぶし(脛骨内果)周辺に症状が集中。

初期評価(問診・視診・触察)

  • 内果直上の腫脹を確認
  • 限局した強い圧痛(ピンポイント)
  • ラン後に悪化、安静でも違和感が残存

臨床像から脛骨内果部の疲労骨折を強く示唆。

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典型的な部位に一致した腫れと圧痛を確認。

超音波(エコー)による状態把握

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骨皮質直上に低エコー域(骨膜反応)を描出。

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健側と比較することで異常所見の理解が進みます(健患比較は必須)。

初期の疲労骨折ではレントゲンに変化が出にくく、骨膜反応の描出が手掛かりになります。
当院では画像の意味を健側比較で説明し、納得感のある方針決定を大切にしています。

医療連携(MRI評価の推奨)

骨折が疑われる場合は医師の評価が前提です。
当院では、専門医・MRI完備の医療機関へ紹介し、今回も疲労骨折の見立てが確認され、
当院での保存的アプローチ(医師の同意のもと)を進める方針となりました。

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専門医と連携しながら段階的に復帰を目指します。

疲労骨折とは?(ランナーに多い理由)

小さな負荷の反復で骨に微細な損傷が蓄積し起こる骨折です。
初期は走れてしまうことが多く、無理を重ねると完全な骨折へ進展するリスクがあります。
走行距離・路面・シューズ・フォーム・体調(栄養/睡眠)など、負荷管理の不均衡が背景にあることが少なくありません。

当院の対応方針

① 超音波骨折療法(LIPUS)

医師の同意のもと、LIPUSを用いて骨癒合の進行をサポート。
臨床的には骨癒合が早まる可能性が示されており、安静のみよりも早期の段階的復帰を後押しできます。

② 負荷コントロールと痛み管理

  • 痛みが出る走行は一時中止(ウォーキング可否は症状に応じ判断)
  • 日常は疼痛基準で活動(階段・長時間立位の調整)
  • 必要に応じてハイボルトで疼痛軽減をサポート

③ 再発予防の運動・用具チェック

  • ふくらはぎ・後脛骨筋・足部内在筋の機能づくり(痛みの出ない範囲)
  • シューズの摩耗・反発・サイズの見直し、インソールの検討
  • 路面・高下駄負荷(登り下り・段差)の段階的再開
今回の見通し:
比較的早期の段階で把握できたため、段階的復帰が見込めます。
LIPUSと負荷調整を併用し、痛みゼロ→ジョグ→ビルドアップの順で進めます。

よくあるご質問(Q&A)

Q. どのくらいで走れますか?

個人差があります。目安は「日常痛ゼロ片脚ジャンプで無痛ジョグ再開」の順で判断します。

Q. LIPUSは毎日必要?

基本は毎日20分を推奨(自宅運用/通院併用を個別提案)。高校生以下は当院で無料対応(医師同意・保険分別)。

Q. テーピングや固定は?

強い痛み・腫脹時は短期固定を検討しますが、過度な固定は筋機能の低下を招くため最小限に留めます。

セルフケアの要点

  • 痛みが出ない範囲で足関節の可動性を維持
  • ふくらはぎの軽いストレッチとフットケア(足底の過緊張を解く)
  • たんぱく質・カルシウム・ビタミンD/Kなど栄養バランスを意識
  • 睡眠・体重コントロールなど、回復環境の整備

使用機器

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当院は伊藤超短波 オステオトロンVを用いています(医師同意のもと)。

※本ページは柔道整復師による症例紹介・保存的対応の方針であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状により医療機関での精査(MRI等)・処置が必要になる場合があります。

 

2023-09-07 10:57:00

ふくらはぎの肉離れ

腓腹筋肉離れ(ふくらはぎの肉ばなれ)|症例紹介

一週間前に階段を踏み外した際、右ふくらはぎに痛みを感じた患者さま。
整形外科で「腓腹筋肉離れ」と言われましたが、固定やリハビリはなく、早期復帰を希望され当院を受診されました。

来院時の状態

  • 歩行時痛が強く、ふくらはぎに圧痛・硬結あり
  • 整形外科でのレントゲン・エコー確認済み
  • 安静指示のみで経過観察中

当院での超音波観察

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腓腹筋内側頭部に大きな血腫(液状部位)を確認

受傷から約1週間経過しており、出血は止まっているものの、血腫が液状として残存していました。
このまま放置すると、筋硬結(瘢痕化)が残るリスクがあるため、低出力ラジオ波(非加熱モード)での対応を開始しました。

施術方針

① ラジオ波(非加熱モード)

血腫部の循環を促しながら、筋の硬結解除と血腫の吸収促進を目的に使用。過度な温熱を避け、深部の自然代謝を促します。

② マイクロカレント

極微弱電流を用いて、損傷組織の修復サポートを行いました。痛みを感じない穏やかな刺激です。

③ EMS(筋力サポート)

安静期間中の筋力低下を防ぐ目的でEMSを併用。腓腹筋やヒラメ筋の活動維持を図ります。

④ 固定は行わず

受傷から一定期間が経過し、歩行時痛も軽減傾向にあったため、拘縮防止と早期復帰を優先し、テーピング固定は行いませんでした。

2週間後の経過

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血腫が吸収され、筋組織の瘢痕化は回避できた状態
  • 血腫の吸収が進行、筋線維の整列も回復傾向
  • 歩行時痛の改善、階段動作も可能に
  • ラジオ波の出力を調整し、筋柔軟性の回復を促進

現段階ではまだ完全回復ではありませんが、痛みの軽減と機能回復は順調です。
今後もマイクロカレントとラジオ波を併用し、再発防止と柔軟性維持を続けていきます。

患者さまの声:
「痛みがずいぶん楽になって、階段の上り下りもできるようになりました!」
社会復帰に向けて前向きなご様子です。

当院の考え方

肉離れは「安静のみ」では筋萎縮や再発リスクを高めることがあります。
よねくら接骨院では、段階的な温熱・電気刺激・運動刺激を組み合わせ、
痛みを抑えながら機能回復をサポートする施術を行っています。

※本ページは柔道整復師による症例紹介であり、診断・治癒を保証するものではありません。
状態により医療機関での精査・対応が必要となる場合があります。

 

2023-03-19 17:50:00

大腿骨疲労骨折

大腿骨疲労骨折|症例紹介

長距離ランナーに多い大腿骨の疲労骨折。
今回は、早期対応とLIPUS施術によって競技復帰を目指す高校生アスリートのケースをご紹介します。

概要

高校生の陸上部長距離選手が、大腿部〜膝周辺の痛みを訴えて来院。
整形外科でのMRI所見により疲労骨折が確認され、医師との連携のもとLIPUS施術を実施
骨部への刺激に加え、周囲筋群のコンディショニングを並行して行い、競技復帰を支援しました。

疲労骨折とは

繰り返しの運動や負荷によって、骨の一部に微細なひびが入った状態を指します。
主に長距離ランナーや跳躍競技など、同部位への反復ストレスが原因となります。

今回のケース

陸上部で日常的に長距離を走る高校生。
3月頃から続く大腿部の痛みを放置していたところ、MRIで疲労骨折が判明しました。
早期の対応により、長期離脱を避けられる見込みとなりました。

施術内容と取り組み

1. エコーとMRIによる部位確認

疲労骨折は初期ではレントゲンに写らないことも多く、画像による補助的な観察が重要です。
整形外科でMRI検査を行い、骨膜の炎症と肥厚を確認。当院でもエコーで再確認しました。
筋肉に囲まれた大腿骨周辺は圧痛だけでは判断が難しく、画像観察が有効です。

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整形外科でのXP・MRI所見(ご提供協力)
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当院でのエコー観察

2. LIPUSによる骨部への刺激

LIPUS(低出力パルス超音波)は、骨組織の修復過程をサポートする非侵襲的な施術法です。
医師の同意を得て導入し、疲労骨折のような微細損傷に適した刺激を加えることで、自然な回復力を支援します。

参考文献

  • 伊藤超短波株式会社「オステオトロンV」紹介ページ
  • アルケア株式会社「〈オステオトロンV〉適正使用ガイド」
  • 『臨床整形外科』第48巻10号(2013年)LIPUS特集号
  • 厚生労働省 医療技術評価提案書「橈骨遠位端骨折におけるLIPUSの有効性」

3. ラジオ波による筋コンディショニング

大腿骨周囲は大きな筋群に囲まれており、拘縮や血流低下が回復を妨げる場合があります。
当院ではLIPUSに加え、ラジオ波温熱を併用し、深部を穏やかに温めて筋の柔軟性を高め、バランスを整えます。

よねくら接骨院の取り組み

スポーツに励む学生を応援しています。
高校生以下の方はLIPUSおよびハイボルトを無料対応(医師の同意が必要な場合あり)。
骨折・捻挫・成長期の痛みなど、各年代・競技に応じた施術を行っています。

よくある誤解

「レントゲンで異常がない=問題なし」と思われがちですが、疲労骨折初期は画像に映らないことも多いです。
違和感や鈍い痛みが続く場合は、早めの相談と安静の判断が重要です。

おわりに

コーチや保護者の早期対応が、選手の未来を守ります。
当院では、学生アスリートが安心して練習を続けられるようサポート体制を整えています。
季節の変わり目は冷えによる筋緊張も起こりやすく、ウォームアップ・クールダウンの徹底がケガ予防につながります。

※本記事は柔道整復師による施術紹介を目的とした内容であり、診断や治癒を保証するものではありません。
状況により医療機関での精密検査・加療が必要となる場合があります。

 

 

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