症例報告

2024-01-06 16:21:00

小趾基節骨骨折(足の小指の骨折)

意外に簡単折れる?!

 

足の指の骨折

小趾基節骨骨折

2.png

今回の患者さんは、もともと当院に四十肩治療で通院されている患者さんでした。

その日、足を引きずって来院されたのでどうされたのか聞いてみると

「2日前に荷物の入った段ボール箱に足をぶつけてしまった」

とのこと。

 

足の引きずり方や受傷理由が気になったので、見てみることにしました。

 

年齢は40代男性、既往としてDMあり。

右小趾基節骨部に強い圧痛と皮下出血班を認めました。また外転や屈曲をした際の運動時痛も著明、もちろん荷重時痛もあり。

私の経験上、この状態はほぼ折れていると思われます。

もちろん、このまま骨折と判断し整形外科受診を勧めることもできますが、エコーにて確認したほうが患者さんも、納得いたします 。

 

エコー画像 (7).png

 

 

エコーで確認後、やはり基節骨で骨の不正像が見つかりました。さらに若干の転移も見られましたので、応急的に牽引整復を行い、テーピングによる固定を行い、患者さんに紹介状とともに整形受診を指示しました。

 

IMG_6601.JPG    1.png

 

足趾骨折の固定には、バディーテーピングが好ましく感じます。

転移が強かったりした場合はシーネ固定も考えますが、シーネ固定は関節拘縮のリスクがありまた荷重した時点で転移が起きてしまうため、松葉杖による免荷の方が効果が高く、そちらも考慮します。

 

足趾の骨折は第2趾~第5趾では基節骨が多く、母指では末節骨が折れることが多いと言われています。

 

 

整形外科は紹介後、当日受診され骨折の診断を受けられ、休みの都合上、整形受診後4日後に当院へ来院。

整形医師からの報告書及び後療の同意を口頭で得ており、患者さんが早期治癒を希望されたため、LIPUS治療を開始しました。

 

IMG_6600.JPG

LIPUS(低出力超音波パルス療法)

骨折部位に微弱な超音波を断続的に照射する治療法(低出力超音波パルス療法)で 骨癒合が促進されます。 骨癒合期間が約40%短縮されたとする臨床研究の報告もあります。

 

月曜日から毎日通院されて一週間、当初は運動時痛と圧痛、荷重時痛を訴えられていましたが、金曜日ごろから圧痛、運動時痛が軽減し始め、一週間後の月曜日にはほぼ消失いたしました。

 

2.png

 

 固定を除去し、私生活でも通常通りの生活を送るよう勧めましたが、屈曲伸展動作で若干の制限が見られたため、ROM訓練を行い機能回復を図っていきます。

 

LIPUSを約2週後、受傷後22日目、圧痛も完全消失となり、LIPUSは終了となり、ROM制限もほとんど見られなくなったため、経過観察に切り替え、年明け後のエコーにて治癒を予定しております。

 

3.png

 

通常、「足趾の骨折は3週間固定の4週治癒」と言われるが・・・

 

今回、受傷から治癒予定までLIPUSを使って3~4週でした。

通常、足趾の骨折は保存療法がほとんどで、3週間固定を行い、4週目に治癒、とされることが多いのですが、何をもって治癒とするか、という見解があり、この「4週治癒」とは骨癒合上の治癒とされると思います。

実際は、骨癒合4週で得られても、関節可動域訓練が必要だったりと日常生活では不便さが残り、患者さんの視点では「治癒」とは言い難い状況だったりします。また3週間も固定すればその分関節拘縮のリスクも高まり、場合によっては後遺症にまでなってしまうこともあります。

 

私が足趾の骨折にLIPUS治療を強く勧めるのは、足趾の骨折は固定が難しく、かと言って完全免荷(松葉杖歩行)だとADLが急激に低下してしまうため、なるべく早く骨癒合を得たいからです。関節拘縮のリスクも回避され、日常生活への復帰も飛躍的に早まります。

 

「足指の骨折は、放っておいても治る」けど、早く治しましょう。

 

 

osteotron_detail03.png osteo.png

 

当院で使用するLIPUSは厚労省認可の機器

伊藤超短波 オステオトロンV

となります。毎日20分の照射が好ましく毎日通院する必要がありますが、リスク等はなく、照射による刺激等もありません。

 

 

LIPUS 料金表.png