症例報告(9/12UP)

2023-04-15 15:21:00

足底腱膜炎(筋膜炎)

足底腱膜炎(かかとの痛み)|症例紹介

歩くたびに踵が痛む――今回は、トラックドライバーの方に多い「足底腱膜炎(足底筋膜炎)」の症例を紹介します。
エコー観察で確認し、ハイボルト・ラジオ波を中心とした施術を行いました。

概要

50代男性・トラックドライバーの方。荷積みや荷下ろしなど立ち作業が多く、
以前は肩のケアで通院されていましたが、この日は踵の痛みを主訴に来院されました。
圧痛は踵と土踏まずの間(足底中央部)に限局しており、足底腱膜炎の可能性が高い状態でした。

エコーでの観察

念のためエコーで確認したところ、足底腱膜の肥厚線維構造(fibrillar pattern)の乱れが見られました。
健側の画像は取り忘れてしまいましたが、典型的な変化が観察されました。

足底腱膜炎.png
足底腱膜炎のエコー所見(肥厚と線維の乱れ)

足底腱膜炎とは

足底腱膜(足底筋膜)は、かかとから足指の付け根までをつなぐ強い結合組織で、
歩行や立位の際にアーチ構造を支える重要な部位です。
この部位に繰り返しの牽引ストレス加齢による変性が加わると、微小な損傷と炎症が生じやすくなります。

発症傾向と背景

一般的にはスポーツを行う学生層に多い疾患とされていますが、
実際の臨床では50〜70代の男性にも頻繁にみられます。
学生の場合はオーバーユースが中心ですが、中高年では筋の柔軟性低下や血流減少、足底の変性なども関与すると考えられます。

当院での対応

1. ハイボルト刺激による疼痛緩和

初期にはハイボルト刺激で痛みと炎症反応を鎮め、歩行時の負担を軽減します。

2. 下腿筋群へのアプローチ

ふくらはぎ(下腿後面)の筋緊張が強いと、腱膜への牽引が増大します。
下腿部の筋膜リリースやストレッチ的手技で柔軟性を回復させます。

3. ラジオ波温熱による足底の柔軟化

ラジオ波温熱を用いて足底腱膜に深部加温を行い、組織の柔軟性と血流循環を促進します。
再発を防ぐためには、「痛みを取る」だけでなく「動きやすい足」に戻すことが重要です。

経過と考察

足底腱膜炎は、発症からの期間や生活習慣によって改善速度が異なります。
痛みの軽減→筋柔軟性の回復→再発予防という段階的アプローチが有効です。
難治化しやすい症例もあるため、根気よく継続することが大切です。

まとめ

立ち仕事・歩行動作が多い方に多い足底腱膜炎。
早期の対応と下腿からのケアが回復への近道です。
踵や足裏の痛みを感じたら、我慢せず早めのご相談をおすすめします。

※本記事は柔道整復師による施術紹介を目的としており、診断・治癒を保証するものではありません。
状態によっては医療機関での精密検査や加療が必要となる場合があります。