症例報告(9/12UP)

2025-11-21 15:51:00

小児の足関節裂離骨折の症例報告

小児の足関節裂離骨折の症例報告(8歳男児)

子どもの足首のケガは、外見では軽い“捻挫”のように見えても、実際には骨が少しはがれる「裂離骨折」であることも珍しくありません。
とくに遊びやスポーツ中の転倒は多く、保護者の方も「どこまで心配すべきか」迷いやすいところです。
今回ご紹介するのは、公園での鬼ごっこ中に転倒した8歳の男の子の症例です。
エコーでの細かな観察により骨の状態を確認し、適切な固定と医療機関との連携のもとで回復を目指したケースをご紹介します。

患者データと初期評価

  • 年齢・性別:8歳 男児
  • 受傷日:9月23日
  • 受傷原因:鬼ごっこ中に転倒し、右足関節を強く捻って負傷
  • 来院経緯:当院で施療を受けた友人の紹介

初検時の状態

  • 外踝部の強い腫脹、限局性の圧痛
  • 歩行困難(ケンケン歩行)、熱感あり
  • 小児の骨折は見逃されやすいため、視診だけでの判断は困難

エコー観察による診断

腓骨遠位端に裂離した骨片を確認。
小児に多い裂離骨折であり、レントゲンでは見逃されることもあるタイプです。

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応急施療と処置

  • 屈曲整復による骨片整復
  • L字シーネ固定、アイシング
  • 松葉づえを使用した免荷(NWB)指導
  • 整形外科への対診 → 骨折診断・LIPUS指示を受ける

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松葉づえによる免荷

経過と回復の推移

9月下旬(施療初期)

  • LIPUS開始(医師判断)、小児無料・1回200円の医療助成適用
  • 固定をJシーネへ変更し、LIPUS併用を可能に

10月7日(受傷約2週間)

  • 血腫境界明瞭、仮骨形成を確認
  • 腫脹の軽減、圧痛一部残存

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10月17日(受傷約3週間)

  • 血腫縮小、骨片の癒合進行をエコーで確認
  • 腫脹・圧痛ともに消失 → 医師より全荷重(FWB)許可、固定解除
  • 軽量サポーター装着、ROM訓練開始

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10月23日(受傷約1か月)

  • 癒合ほぼ完了、医師および当院判断で施療終了
  • ROM(可動域)も良好に回復

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治癒期間の比較

一般的には、小児の足関節裂離骨折は:
癒合に4〜6週間
スポーツ復帰まで6〜8週間
かかるとされています(医療文献・臨床傾向による一般論)。

本症例では、
エコーでの早期判断、Jシーネによる適切な固定、医師の判断によるLIPUS併用、荷重コントロールなどが組み合わさり、
約3週で癒合が確認され、約1か月で施療終了となりました。

もちろんこれは“本症例の経過”であり、すべての骨折が同じ経過をたどるわけではありませんが、適切な判断と施療環境により、良い経過を目指しやすくなると考えられます。

LIPUS(低出力パルス超音波)について

骨癒合を促進する補助療法として、医師の指示のもとでLIPUSを使用しています。
小児には無料で対応しており、保護者様のご負担も少なくご利用いただけます。

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当院利用の伊藤超短波「オステオトロンV」厚生労働省認可医療機器

根拠文献:
Heckman JD, et al. J Bone Joint Surg Am. 1994.
Rubin C, et al. J Orthop Res. 2001.

料金について

小児の場合、LIPUSは無料
通常の施術も医療助成制度により1回200円程度の自己負担で対応可能です。
詳しくは受付にてご案内いたします。

※本ページは柔道整復師による施術・応急対応の紹介であり、診断や治癒を保証するものではありません。
症状や経過によっては、医療機関での精密検査・処置が必要となる場合があります。
LIPUSの実施には医師の同意が必要です。