症例報告(9/12UP)
小児の足関節裂離骨折の症例報告
小児の足関節裂離骨折の症例報告(8歳男児)
子どもの足首のケガは、外見では軽い“捻挫”のように見えても、実際には骨が少しはがれる「裂離骨折」であることも珍しくありません。
とくに遊びやスポーツ中の転倒は多く、保護者の方も「どこまで心配すべきか」迷いやすいところです。
今回ご紹介するのは、公園での鬼ごっこ中に転倒した8歳の男の子の症例です。
エコーでの細かな観察により骨の状態を確認し、適切な固定と医療機関との連携のもとで回復を目指したケースをご紹介します。
患者データと初期評価
- 年齢・性別:8歳 男児
- 受傷日:9月23日
- 受傷原因:鬼ごっこ中に転倒し、右足関節を強く捻って負傷
- 来院経緯:当院で施療を受けた友人の紹介
初検時の状態
- 外踝部の強い腫脹、限局性の圧痛
- 歩行困難(ケンケン歩行)、熱感あり
- 小児の骨折は見逃されやすいため、視診だけでの判断は困難
エコー観察による診断
腓骨遠位端に裂離した骨片を確認。
小児に多い裂離骨折であり、レントゲンでは見逃されることもあるタイプです。
応急施療と処置
- 屈曲整復による骨片整復
- L字シーネ固定、アイシング
- 松葉づえを使用した免荷(NWB)指導
- 整形外科への対診 → 骨折診断・LIPUS指示を受ける
松葉づえによる免荷
経過と回復の推移
9月下旬(施療初期)
- LIPUS開始(医師判断)、小児無料・1回200円の医療助成適用
- 固定をJシーネへ変更し、LIPUS併用を可能に
10月7日(受傷約2週間)
- 血腫境界明瞭、仮骨形成を確認
- 腫脹の軽減、圧痛一部残存
10月17日(受傷約3週間)
- 血腫縮小、骨片の癒合進行をエコーで確認
- 腫脹・圧痛ともに消失 → 医師より全荷重(FWB)許可、固定解除
- 軽量サポーター装着、ROM訓練開始
10月23日(受傷約1か月)
- 癒合ほぼ完了、医師および当院判断で施療終了
- ROM(可動域)も良好に回復
治癒期間の比較
一般的には、小児の足関節裂離骨折は:
癒合に4〜6週間
スポーツ復帰まで6〜8週間
かかるとされています(医療文献・臨床傾向による一般論)。
本症例では、
エコーでの早期判断、Jシーネによる適切な固定、医師の判断によるLIPUS併用、荷重コントロールなどが組み合わさり、
約3週で癒合が確認され、約1か月で施療終了となりました。
もちろんこれは“本症例の経過”であり、すべての骨折が同じ経過をたどるわけではありませんが、適切な判断と施療環境により、良い経過を目指しやすくなると考えられます。
LIPUS(低出力パルス超音波)について
骨癒合を促進する補助療法として、医師の指示のもとでLIPUSを使用しています。
小児には無料で対応しており、保護者様のご負担も少なくご利用いただけます。
当院利用の伊藤超短波「オステオトロンV」厚生労働省認可医療機器
根拠文献:
Heckman JD, et al. J Bone Joint Surg Am. 1994.
Rubin C, et al. J Orthop Res. 2001.
料金について
小児の場合、LIPUSは無料。
通常の施術も医療助成制度により1回200円程度の自己負担で対応可能です。
詳しくは受付にてご案内いたします。
症状や経過によっては、医療機関での精密検査・処置が必要となる場合があります。
LIPUSの実施には医師の同意が必要です。






